ゲーム・チェンジャーの競争戦略 ルール、相手、土俵を変える

発刊
2015年1月24日
ページ数
216ページ
読了目安
252分
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競争のルールを変える競合にいかに対抗するべきか
異業種からの市場参入や新しい競争のルールを作り出す競合によって、既存プレーヤーは常に脅威にさらされている。競争環境の厳しい時代に、どのような競争戦略をとるべきかをまとめている一冊。

ゲーム・チェンジャーの4類型

既存の業界に新たな競争のルールを持ち込むプレーヤーを「ゲーム・チェンジャー」と名付ける。ゲーム・チェンジャーには次の4類型がある。

①プロセス改革型(既存の製品・サービス × 既存の儲けの仕組み)
既存のバリューチェーンを見直す。ex.Amazon、セブンカフェ、ゾゾタウン

②秩序破壊型(既存の製品・サービス × 新しい儲けの仕組み)
既存の儲けの仕組みを無力化する。ex.スマホゲーム、リブセンス、コストコ

③市場創造型(新しい製品・サービス × 既存の儲けの仕組み)
顧客が気付いていない価値を具体化する。ex.JINS PC、青山フラワーマーケット

④ビジネス創造型(新しい製品・サービス × 新しい儲けの仕組み)
想像力と創造力を発揮する。ex.価格.com、オキュラスリフト、カーシェアリング

 

秩序破壊型

提供する製品やサービスはこれまでとほぼ同じものであるにもかかわらず、市場に新たな戦い方「儲けの仕組み」を持ち込む事で競争のルールを変えてしまう。そして、既存プレーヤーの儲けの仕組みを無力化する。

●新しい儲けの仕組み
・課金や広告料、基本サービス無料(LINE、スマホゲーム)
・消耗品で課金、本体は無料(ネスカフェ・アンバサダー)
・成功報酬(リブセンス、じゃらんネット)

新しい儲けの仕組みを作り出すには「事業連鎖」を組み替える視点が必要である。消費者が位置する「右側」から、事業の川上にあたる「左側」に向かって機能や活動の流れを見て、2つの視点で見る。

①Whoが変われば、Whatが変わる
②Howが変われば、Whatが変わる

 

市場創造型

既存プレーヤーの強みが通用しない新たな市場を創造する事で、競争のルールそのものを作り変えてしまう。

●新しい製品やサービス
・目の保護(JINS PC)
・映像講義(東進ハイスクール)

市場創造の起点は次のいずれか、あるいは両方である。いずれの場合も、消費者が抱えている潜在的なニーズに対応している。

①利便性の向上による市場創造
②不便さの解消による市場創造

こうした潜在的なニーズを捉えるには、事業連鎖を5つのアプローチで読み解く。利便性を高めるには「束ねる」「追加」、不便さを解消するには「省略」「置き換え」が有効である。①省略(中抜きする)②束ねる(結合する)③置き換え(代替する)④選択肢の広がり(選択肢を増やす)⑤追加(新しい機能や価値を付け加える)

 

ビジネス創造型

経営者や企業の強い思いから生み出された新しい製品やサービスと、新しい儲けの仕組みを組み合わせる事で、これまでにない新しいビジネスを作り出す。成功の鍵は、想像力と想像力の両方を結び付ける事である。

●新しい製品・サービス × 新しい儲けの仕組み
・MOOCs(無料オンライン教育 × 修了証の発行手数料)
・ゴルフダイジェストオンライン(ゴルフ場の代行予約 × 送客手数料)

 

プロセス改革型

競争のルールを変えるためには、必ずしも儲けの仕組みや製品やサービスを変える必要があるとは限らない。既存のビジネスプロセスに着目し、それを改善する事で,競争優位を生み出している事例もある。そうした事例では、製品やサービスを顧客に届けるまでの「プロセス」を変える事で新たな価値を生み出している。

①業界標準のプロセスをやめる(スーパーホテル、QBハウス、LCC)
②既存プロセスの一部を強化する(スタジオアリス)
③異なる商材を組み合わせる(ヴィレッジヴァンガード、ドンキホーテ)
④業務を標準化する(ベアーズ、ブックオフ、公文)