「ネジザウルス」の逆襲 累計250万丁の大ヒット工具は、なぜ売れ続けるのか

発刊
2015年9月30日
ページ数
240ページ
読了目安
276分
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ヒット商品を生み出すための方法
ネジをはずす工具「ネジザウルス」の販売本数は、累計で250万丁を超える。1万丁売れればヒットと言われる工具業界で異例のヒットとなった商品はどのように生み出されたのか。

累計250万丁売れているネジザウルス

「ネジザウルス」は、プライヤーという工具の一種である。他のプライヤーと違うのは、「つかむ」だけでなく「回す」動作にも優れている点。先端部分に施された特殊な加工などによって、物をぐっとつかんで、その状態のまま、左右に回す事ができる。この特徴を活かして、どんなネジでもはずしてしまうのがコンセプトである。ネジの頭の溝が潰れてしまった、ネジがサビてしまったなど、ドライバーではずせないネジをはずす事ができる。

2014年6月「ネジザウルス」シリーズの累計販売数が200万丁を突破した。初代ネジザウルスが発売された2002年から、10年以上にわたって年間16万丁以上のペースで売れ続けた事になる。普通、工具は年間1万丁も売れれば大ヒットとされ、200万丁というのは工具業界では過去に例がない。

 

ネジザウルスの誕生

ある時、ガスクッションプライヤーというガス管など円形のパイプをつかむための工具に別の用途があるのではないかと思い付いた。ドライバーでは手に負えないネジをはずすというニーズは確実に存在する。2000年「小ネジプライヤー」という名前で、価格3600円で販売したが年間で800丁足らずしか売れなかった。売れなかった原因は価格と考えて、2002年に2400円へと値下げした。さらに形状に改良を加えた。それでも期待したほど売れなかった。

そこで、プロ用工具として開発した「小ネジプライヤー」をホームセンターや金物店でも販売してみる事にした。パッケージデザインも変更し、商品名も親しみやすいものに変えようと考えた。パッケージに恐竜のイラストが入り「ネジザウルス」として生まれ変わった新商品は、2002年8月の発売と共に、驚くほどの勢いで売れ始め、初年度は約7万丁売れた。その後も、ネジザウルスは安定して売れ続け、2008年には累計販売数42万丁に達した。

その後、シリーズ4代目となるネジザウルスGTを開発し、トラスネジもはずす事ができる機能を追加し、はずす事のできるネジの種類を飛躍的に増やして販売した。さらにプロモーションでは「ウルスくん」というキャラクターを制作し、大ヒットした。

 

ヒット商品はMPDP理論から生まれる

ネジザウルスGTにおける大ヒットの要因を分析すると、MPDPという4つの要素が導き出される。

①M(Marketing):マーケティング
お客様に直接、インタビューを行ったり、ハガキやメールによってアンケート調査をするなど、いくつかの方法があるが、留意すべきはお客様の「声なき声」をすくいあげること。ネジザウルスの場合、それは「トラスネジをはずす」という事だった。多くのお客様が望んでいる時点で、それはすでにニーズではない。そこには驚きがない。そのお客様が気付いていないという意味で、少数意見には驚きがある。

②P(Patent):パテント
ヒット商品にパテントは不可欠である。パテントが商品の売行きに急ブレーキをかけるような不測の事態を未然に防いでくれるからである。

③D(Design):デザイン
お客様は必ずしも機能や価格における満足だけを求めている訳ではない。そうした価値とは別に、商品を購入する事によって共感や感動といった要素も手に入れたいと考えている。

④P(Promotion):プロモーション
プロモーションは最もバリエーションが豊富な要素で、必ずしも「正解」のない分野だが、チャンスも多い。

この4つの要素を意識した開発や販売促進活動を行った時、その商品やサービスはヒットする確率が高まる。