ROCKONOMICS 経済はロックに学べ!

発刊
2021年6月9日
ページ数
480ページ
読了目安
708分
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音楽ビジネスを知ることから経済がわかる
音楽ビジネスを見れば、経済の仕組みがわかる。一部のスーパースターが市場の大部分の稼ぎを占めたり、ストリーミングサービスではなく、ライブが大きな収益源となるなど、音楽業界の構造を解説しながら、経済の仕組みをわかりやすく解説している一冊。

ロックな経済学7つのカギ

音楽業界を経済学で注意深く研究すれば、音楽はどこへ向かっているのか、それはなぜかを明らかにすることができる。そして、音楽業界の仕組みを理解すれば、経済の力が私たちの日々の暮らしや仕事、社会を様々な形で左右しているのを理解できるようになる。

 

①供給、需要、あれやこれや

供給と需要の力は音楽業界に大きくのしかかっている。例えば、ローリング・ストーンズのコンサートのチケットは供給が限られている。一方、ストーンズが演るのを見たいファンの需要は大きい。それでチケットの値段は高くなる。しかし、他の要因「あれやこれや」も深く関わっている。例えば、ファンに冷たいと思われるのを怖がるミュージシャンはたくさんいる。すると彼らのコンサート・チケットは、供給と需要だけで決まる値段より割安になる。彼らがファンの目を気にするせいで、チケットの値段は抑え込まれ、チケットが需要に足りなくなる。ダフ屋の転売市場がなくならないのはそのせいだ。

市場や経済をわかるには、情緒や心理、人と人の関係が、いつ、どんな時に、供給と需要の見えざる手を遮るのかをわからないといけない。

 

②規模と替えの利かなさがスーパースターを生み出す

音楽はスーパースター市場の典型だ。一握りのプレイヤーがファンの大部分の心を掴み、お金の大部分を持っていく。スーパースターが席巻する市場には、2つの欠かせない特徴がある。

  1. 頂点に立つミュージシャンやプロ、企業は大きな顧客層や購買層に手が届かせられること(規模)
  2. スーパースター市場で売られる音やサービス、製品に独自で他に見られない特色があること(独自性)

インターネット、デジタル化、ソーシャル・メディアのせいで、スーパースター市場と化す市場がどんどん増えている。一方、中堅どころはしおれてきている。中流の働き手や消費者、政治、社会、そして未来は見通しがどんどん暗くなる。

 

③運の力

才能と懸命な努力が成功には欠かせない。しかし、それだけでは足りない。予想のつかないたまたまの運の巡りが、私たちの人生を左右する。音楽業界では運は特に大事だ。好みは移ろいやすいし、品質は主観的だし、だから才能あるスターの卵は山ほど生まれてくるけど、チャンスすら手にできない。運の力はスーパースター市場ではとても大きい。

 

④ボウイ仮説

亡くなったデイヴィッド・ボウイがこう語ったことがある。「音楽そのものは水道とか電気みたいになるよ。年がら年中ツアーして回る覚悟をしといた方がいい。残ってる本当に独自なものなんて、もうそれ以外なくなってるし」。彼の見方には、録音された音楽以外に独自な売り物が必要なのが色濃く表れている。

経済学者はそれを補完財と呼んでいる。音楽の補完財のリストは長い。ライブ・パフォーマンス、グッズ、本、音楽ビデオ。成功した会社はボウイ仮説がどれだけ大事かよくわかっている。

 

⑤価格差別は儲かる

バンドや会社に他には見られない売り物があって、その売り物の転売が制限できるなら、収入や儲けを大きく伸ばすことができる。もっと高い値段でも喜んで払う人には高い値段で、もっと安くないという人には安い値段で売ればいい。消費者を分類して一部には高い値段で売るやり方を、経済学者は価格差別と呼んでいる。航空会社はずっと前からこのやり方を知っている。

これで考えると、テイラー・スウィフトが新譜を出す時、まず一番熱心なファンにアルバムを売ってからストリーミング・サービスでの配信を始めるのにも筋が通る。コンサートで会場を区切って座席の値段に差をつけるのは、ミュージシャンが価格差別を実行し、ファンにそれぞれの払う気に応じたチケット代を課すための方法だ。

 

⑥高いコストは命取り

大儲けできても、まだ成功間違いなしとは言えない。成功するバンドや会社は、コストをよく観察して最小化している。賢く投資し、決して投資しすぎない。チャンスがあったら交渉してコストを下げにかかる。

マクロ経済で見ると、生産性が伸びない業種はコストが上がり、合理化しろという強烈な圧力を受ける。

 

⑦お金がすべてじゃない

経済学の最先端になると、お金よりずっと強く人を動かすものがあるのがわかっている。人生の大きな喜びは、好きなことを追いかけ、友達や家族と過ごし、いろんな経験を楽しんでこそ得られる。音楽は素晴らしい瞬間や楽しい人付き合いの場、思い出や情緒を創り出す。

参考文献・紹介書籍