ディープテック 世界の未来を切り拓く「眠れる技術」

発刊
2019年9月20日
ページ数
184ページ
読了目安
162分
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世界の社会的課題にいかにテクノロジーを活用して解決すればよいのか
新興国における様々な社会課題を解決する技術を日本は多く眠らせている。東南アジアの社会課題を解決するテクノロジーの事例を紹介しながら、いかに社会課題を見つけ、テクノロジーを活用すれば良いかという視点を紹介しています。

ディープテックとは

ディープテックとはテクノロジーを使い、根深い課題を解決していく考え方、もしくはその活動を指し、以下のように定義される。

①社会的インパクトが大きい
②ラボから市場に実装するまでに、根本的な研究開発を要する
③上市までに時間を要し、相当の資本投入が必要
④知財だけでなく、情熱、ストーリー性、知識の組み合わせ、チームといった観点から参入障壁が高いもの
⑤社会的もしくは環境的な地球規模の課題に着目し、その解決のあり方を変えるもの

 

日本の眠れる技術で世界各国の社会課題を解説せよ

今、ディープテックが注目を集めている理由を紐解くと、ソーシャルバリディティという視点に行き着く。ある当事者の意思決定が他の経済主体の意思決定にも影響を及ぼすことを「外部不経済」と呼び、公害などは典型事例にあたる。ソーシャルバリディティとは、あらゆるステークホルダーを取り込み、最初からこの外部不経済を起こさない経済圏を作り出していこうとする考え方を指す。

人口爆発を抱える東南アジアは、今後、外部不経済を確実に起こしうる。こうした国で、日本のあらゆる技術を応用することによって、ソーシャルバリディティの考え方に根ざした企業活動を展開できる余地が残れている。日本には多くの「眠れる技術」があるが、多くの日本人はこうした技術が、世界各国が抱えている社会課題を解決するために役立つことに気づいていない。

ディープテックとは、ディープイシューを解決するテクノロジーの集合体に他ならない。偶然集まった複数のテクノロジーが、その課題を解決する。テクノロジーとディープイシューの双方を行き来する。これこそが、日本の企業が持つべき視点に他ならない。何も、最新のテクノロジーである必要はない。むしろ枯れた技術、眠っている技術こそがディープイシューの解決に役立つかもしれない。

ゼロから新規事業を立ち上げようとするのではなく、ディープイシューと自社の強みを照らし合わせることで、何かが生まれて来ないかという発想をすることで、未来が拓ける。

ディープイシューに出会う5つの方法

①自分たちの常識を捨てる
自分たちの「当たり前」を脇に置き、純粋な気持ちでローカルのスタートアップと向き合う心がけを持つ。

②目の前の売上や利益の概念を捨てる
お金のことはひとまず後回しにして、課題に着目する。

③長期的視点と短期(1年先)の具体的イメージを持つ
課題というのは、大きければ大きいほど解決に時間がかかる。そのためには、長期的な視点が必要になってくる。一方で長期的視点は、1年間のコツコツとした積み上げでしか成り立たない。

④「初めて」を連続してやる
「初めて」をつなげていくと、初めての人が寄ってきて「これ、誰も解決していないんです」と「初めて」の課題を提示してくれるようになる。

⑤①から④までを持った上で、現場の若いベンチャーと話す
バイアスを捨て、利益を考えず、長期的視点と短期的視点を同時に持ち、「初めて」を連続してやった上で、地域の若い人たちと話をする。そうすると、不思議と「このディープイシューは、あの技術とこの技術が結びつくことで解決できる」という直観が働くようになる。