必ず書ける「3つが基本」の文章術

発刊
2015年11月28日
ページ数
219ページ
読了目安
236分
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文章の書き方の基本
新聞・雑誌で活躍してきたコラムニストが、一流の文章を書くためのコツを紹介している一冊。優れた文章を書くためのノウハウがコラム形式で語られています。

文章の3つの基本

文章というと、すぐに上手下手が言われるけど、それ以上に心がけるべきは何をどう書くか。何を書くかは、作文であれば自らが体験した事で、かつ心に残っている印象の強い話。そういうネタだと、皆が興味を持って読んでくれる。共感もある。それが大切である。思いの強さは、文章をかなりの力で後押しして読み応えのある作品にしてくれる。でも、思いの強さだけでは限度がある。そこでどう書けばいいのかとなる。

どう書くかで大切なのは、伝わるように書くということ。何より描写力が問われる。それとどう組み立てるか、文章の構成も大切である。つまり文章は①何を書くか、②どう書くか、③どう構成するか、この3つが基本でそれぞれにコツがある。

 

何を書くか

・①体験、②気づき、③普遍性
個人的に体験した事を取り上げて、体験で気づきや発見を書き、考える事を通して社会とどう関わっているか、普遍的な意味合いを見出す。いい文章の絶対条件は独自の内容である。それは「思う」ではなく体験を「思い出す」事を抜きにしては難しい。

・①初め(導入)、②中(展開)、③終わり(終結)
書くベき内容の趣旨やイメージを「初め」「中」「終わり」に即してメモ化する。そうするだけで、本文を書く時間が短縮できる。

・①有りや、②無しや、③その答え
疑問に思ったら何らかの事を有ー無(ウーム)と考える事を抜きに、大した内容は生まれない。有無の自問は、対立的な世界に身を置いての思考となる。ウームと考え書くべき内容を深め、新しい発見を得る。

・①何?、②なぜ、③それにしても
何気なく目をやったものに、ふと抱く疑問。「えっ、何?」は書くという行為の動機(モチーフ)になる。漠然とした疑問はメモにして、「なぜだろう」とこだわること。

 

どう書くか

・①人、②物、③自然
人、物、自然と自分との関係性を押さえれば、そこに1つの世界が具体的に描出できる。情感豊かな文章は周りの描き方にかかっている。外に目を向けて自分と人、物、自然との関係を確認する。

・①遠景、②近景、③心模様
景は大きくは遠景と近景に大別できるが、この遠近の距離感が胸中の表現に生きてくる。とにかく目を凝らし、耳を澄ませて感覚を働かせる。胸中はもとより書きづらく、心模様は説明しても始まらない。遠近の景に託す。

・①全体、②部分、③細部
物事を概括的に全体で捉えれば、イメージは大雑把に広がり拡散する。何を言いたいのか肝心な事もぼやけてしまう。それよりも急所とも言うべき細部を具体的に描出すれば、読み手の心象は周辺にも及び、物事全体が持つ意味合いへの理解も早まり、深まる。

 

どう構成するか

・①現在、②過去、③未来
話というのは、いま現在の状況、状態のありさまから入ってこそ興味を引く。それが物事の核心だからである。テーマに即して現在、過去、未来という時間的な流れを踏まえれば、より伝わる内容になる。

・①理解、②納得、③自己表現
物事の意味や内容がわかるというのが理解なら、納得はその上で、自分もそう思う、とはっきり受け入れたということ。つまり、理解できても、納得できない事もある。しかし、一種の屁理屈であっても、そこに情があれば、人は納得できるもの。もっともだという心からうなずける内容へと深める。

・①聞く、②事実、③真実
何を書くにも事実をおいては始まらない。聞いて知る。現場を走り回って事実をつかむ。このあとに「書く」がくる。そして事実の数が真実を浮かび上がらせる。