14歳の自分に伝えたい「お金の話」

発刊
2021年5月13日
ページ数
208ページ
読了目安
201分
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わかりやすいお金の授業
お金とは何か。投資家である著者が、14歳の時に自分に伝えたいお金にまつわることを、わかりやすく書いた一冊。お金を知ることによって、人生の選択をより良いものにすることができるとして、お金の様々な側面が紹介されています。

お金とは過去を表し、未来を創るもの

お金というものは、自然と財布の中で増えるものではない。「お金がある」ということには必ず理由がある。お父さんやお母さんが仕事をして稼いだお金から分けてもらったお小遣いなのか、お手伝いによる成果なのか、誰かがプレゼントしてくれたものなのか。そこにあるお金は、必ず誰かの営みやつながりによって生まれたものである。

 

つまり、お金とは「過去の営み」が詰まった缶詰。見た目は同じでも、開けると中身はみんな違う。自分の財布に入っている千円札と友達の財布に入っている千円札では、ここまでやってきた理由が違う。今の君が持っているお金は、君がこれまで生きてきた営みの証し。努力や環境、人間関係、全部の結果があって引き寄せたもの。そういう意味で、お金は持ち主が歩んできた過去のすべてを表しているものである。

 

そして、お金は「過去の缶詰」であるのと同時に、「未来の缶詰」でもある。手元にあるお金を使って、部活に必要な道具を買ったり、観たい映画を観に行ったり、アイドルのグッズを買ったり、コンビニでお菓子を買ったり、本を買ったり、新しいものや体験を手に入れることができる。これらはすべて「未来への選択」。つまり、「お金を使って何をするか」という選択が、君の未来を形作っていく。

 

お金は未来の自由な選択を可能にする素敵な缶詰である。しかし、だからこそ争いの元にもなる。人々の幸せを大きく左右するというのもお金の本質である。お金がチャンスもリスクも呼ぶものだとよく理解して丁寧に向き合うことができたら、きっと君の人生の味方になってくれる。

 

お金の役割

お金の役割とは「人と人が価値を交換する、あらゆる活動の媒体になること」である。媒体とは、間を取り持つ役割を果たすもの。ある人が自分でつくった、あるいは何らかの方法で手に入れたモノやサービスを、他の誰かに提供したい時、その交換取引の間を取り持つのがお金である。

 

では、モノやサービスを誰かに提供する時に、なぜお金が必要なのか。モノやサービスをつくるまでには、材料や知識、労力、アイデア、色んなエネルギーやコストがかかる。これを経済学では「研究開発投資」と呼んだりする。だから、完成品を誰かに提供する時には、そのかかった分を回収するためにお金を払ってもらう。材料費のような目に見えるコストだけでなく、労力やアイデアといった目に見えないコストにも値付けをして、価値の交換をどんどん可能にしていく。

 

人類を発展させた発明品の多くは、その前にお金が誕生していたから生まれたと言っていい。「お金に交換できる」という約束がある世の中になったから、熱心に努力する人、才能を発揮する人が飛躍的に増えていった。つまり、お金の「人の努力や才能を引き出すパワー」によって、文明社会の発展は加速した。

 

貯めるだけが選択肢ではない

自分の好きなものや欲しいものと交換できるお金。これをたくさん持っていたら、生涯安泰かというと、実はそうではない。「お金があればなんでも手に入る」とは言えないからである。空気や太陽、海、あるいは愛情や友情、信頼、尊敬、人の心はお金で買えるものではない。世の中にはどんなお金持ちでも買えないもの、値段がつかない「プライスレス」な価値がある。

 

では、日本人はなぜ現金を手元に貯めるのが好きなのか。おそらく日本人はシンプルにお金が大好きである。お金そのもの、モノとしての紙幣や貨幣が大好きだから、できるだけ使いたくない。「大好きなお金をたくさん持っていれば、幸せになれるはず。だからお金はできるだけ手放したくない」、そんな価値観が「貯める」という行動を駆り立てている。

 

しかし、みんながお金を手元に残すことを優先していたら、お金がめぐらず、経済の動きが鈍くなってしまう。つまり、世の中全体の幸せにはつながらない。何となく「貯めよう」ではなく、投資など他の選択肢も知った上で、自分の意思で選べるようにしておくべきである。

 

人生を守ってくれるのは資産だと思いがちで、預金通帳の金額が多ければ安心できると考える人は多いけれど、本当に人生を守ってくれるのは、知恵であり、仲間であり、勇気である。これらは、人生をいつでも立て直すために、お金よりもずっと大事なことである。