スイスイ生きるコロナ時代

発刊
2021年4月30日
ページ数
200ページ
読了目安
177分
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DXは個人から始まる
DXの本質は個人の好奇心の問題である。コロナ時代に個人がDXできるかどうかで、ポストコロナ時代に大きな差がつくとし、今の時代に求められる個人の姿勢が書かれています。

DXの本質は個人の姿勢の問題

コロナがもたらした最大の変化は、企業や社会が「DX化できるか」ということに尽きる。DXをシンプルに言う時に、例えで使うのは「お寺の改修」と「お賽銭をQRコードでもらうこと」の違い。お寺の改修というのは、「内側のDX」である。これは、古くなった建物を再建すること。これに対して「外側のDX」とは、サービスや業務内容を変えること。お寺の例で言えば、賽銭箱に現金を入れるかわりに、QRコードとスマホでチャリンとやるデジタルモデルに変えること。つまり古くなった企業内の再構築と、企業の外側(顧客)への新しいデジタルサービスの開発である。DXというのは、単なるデジタル化ではなくて、本質的な変容が大切である。

 

DXの本質は「個人がDX化しているか?」ということである。今の仕事のやり方を見直して、全部変える。「DX=デジタルスキル」と思っている人は、逆になかなかDXできない。DXは、デジタルスキル以前に、これまでの自分の生き方、働き方を合理的に変えていけるかという力である。

そういう視点でいうと、まずFacebook、Instagramなどのアカウントを持っていない人は、DX以前の問題と言える。それらはコミュニケーションのDXである。中国ではもはや名刺交換なんてしない。最初からWeChatである。

SNSのことがわからなくても、後輩や子供に教えを請いながらでも、自分で読み解いていくことで、時代の感覚がわかるし、DXは身についていく。「TikTok? 何が面白いの?」と思ったとしても、自分でやってみないと本当に面白くないかどうかはわからない。DXは年齢とかデジタルスキルの問題ではなくて、「個人の姿勢」の問題。テクノロジーへの好奇心の問題である。

 

今のDX問題の本質は、個人のDX意識というか、実は「人のDX」である。テクノロジーやAiといったところで、使うのは人である。だからまず、個人レベルの意識から変えていかなければならない。企業側にしても、テクノロジーについて理解できている社員はほとんどいない。だから、コンサルティングなどの外部が入っても、受け皿がない。

顧客に合わせて自分たちはどう接するのかを変えていく、できれば先を見越してビジネスの仕方を変えていく。この部分はITベンダーに丸投げはできない。

 

「DXって難しそう」と思うが、解決策の第一歩は至ってシンプルで、「新しいメディアは何でも試す」こと。新しいチャレンジをする姿勢が大切である。だからSNSぐらい最低限使いこなそうという姿勢が必要である。

企業側の話であれば、DX度が高い経営者でなければ、ポストコロナも生き残っていくことは難しい。経営者自身が、誰よりも早く新しいメディアにチャレンジして面白がる好奇心、センスがあるかどうか。そこでDXマインドのある企業かどうかが決まる。

 

マーケットにないものを見る

ポストコロナ時代の経営者は、「マーケッターのセンスがあるビジネスパーソン」というだけでは成り立たない。ビジネスパーソンにも、クリエイターであることが求められる。従来のマーケッターは、マーケットにあるデータを見ることで将来を予測し、布石を打ってきた。しかしクリエイターであるということは、マーケットにないものを見る力が必要になる。直感とセンスのアーティな世界である。個人がDXを進める上で、これらの要素が不可欠である。

 

最低限SNSをやると言うのは、マーケッターが「情報発信するテーマ、問題意識を持っているか?」ということ。そのテーマはマーケットリサーチしても存在せず、まさに五感を駆使したクリエイティブ発想の世界である。しかし、ほとんどの会社には「語るべきテーマ」がない。SDGsなどを語ることで済ませてしまう。消費者から必要とされる夢を実現させるインサイトを解決させるのが企業のビジョンであるべきである。

 

会ったことのない人とでも仕事をする

仮説立案能力が身に付いてくると、次に「リモートトラスト力」も強くなっていく。つまり、本当の意味の「DX勝者」になれる。リモートトラストとは、たとえ一度も会ったことがない人とでも、リモートで会うだけでビジネスにおいて信頼関係が築け、大きな意思決定、仕事の受発注が可能になるスキルのこと。このコロナの最中、リモートトラストを身に付けることができた人は、とてつもなく強くなる。会ったことがない人でも、信頼できる人はいる。それを選別する能力の有無はこれから問われる。