400のプロジェクトを同時に進める 佐藤オオキのスピード仕事術

発刊
2016年2月10日
ページ数
222ページ
読了目安
226分
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仕事を早くこなすコツ
常に400以上ものプロジェクトを動かしているデザイナーの著者が、仕事を早く進めるための考え方を紹介している一冊。

スピードが仕事の質を高める

デザインやブランディングの仕事とスピードは、最も関係がないように思われるかもしれないが、そんな事はない。実際にスピードを重視すると仕事の質が高まる。しかも予定よりも早く仕事を仕上げると関係者にも喜んでもらえるため、依頼がどんどん増える。すると手がける仕事の幅が広がっていくので、ますます経験値が上がっていく。そして、さらにスピードもアップし、自分も成長していく。

 

「速さ」より重要なのは「同時処理能力」

仕事の速度を上げるのは「いかに並行して仕事を進められるか」にかかっている。たとえ手を動かす速度が速くなくても、同じ時間で5倍、10倍の量の仕事を処理できていれば、結果的に仕事を超高速でこなしている事になる。
「スピード」とは純粋な処理速度ではなく「同時に処理する能力」に近い。いろいろな事を並行して考えたり進めたりできるような工夫や環境づくりこそ重要である。

 

情報収集にこそ時間をかける

プロジェクト全体を俯瞰してみると、最初にしっかり必要な情報を集める事こそがスピードアップの秘訣である。情報をたくさんインプットした方がアイデアのアウトプットにかかる時間は短縮され、初期段階で方向性を明確にしておく事ができれば、プロジェクトの「軸」が決まり、その後の過程において「ブレるリスク」は最小限にとどめられる。徹底した情報収集の結果、プレゼンをそのまま形にする事ができ、結果的に時間短縮につながる。

 

「時間感覚」の把握がプロジェクトのスピードを上げる

プロジェクトを進める場合、まず全体を見渡して必要な作業を確認し、それにかかる時間を読む力をつけること、そしてその精度を高めていく事が、仕事のスピードアップにつながる。「時間感覚の把握」はより正しくできるようになるには、物事を何でも「時間」というフィルターを通して見てみるとよい。「このアイデアを考えるのにどれくらいの時間が必要だったのか」「実現するまでにかかった時間は?」といった事に注意を向けてみる。そうやって時間感覚を磨く事が、自分がそれと似たプロジェクトに関わる場面で、より精度の高い戦略を立てる事につながっていく。

 

時間をかける事が質につながるのかどうか意識する

アイデアを考える事に関していえば、時間をかける事には全く意味がない。アイデアの発想は、算数の問題を解くようなもの。1週間かけて解いても5分で解いても答えが同じなら、5分で解いた方がいいに決まっている。かけた時間によって、答えの質が変わる訳ではない。常に「この仕事は時間をかける事によって質が高まるものかどうか」という事を意識する視点を持っておく事が重要である。

 

目の前の仕事だけに集中する

仕事をする時、必ず1つの案件だけに集中する。そして、1つの案件を処理したら、それもスパッと忘れて次の仕事に移っていく。このように仕事を進めるには、まずプロジェクトごとの速度感を自覚する事が必要である。速度感を意識すれば、多数のプロジェクトのそれぞれの業務の内、優先して処理すべきものが何なのかが明確になる。仕事のスピードを上げるにはまずこれが重要である。優先順位をしっかりつけておけば、1つの仕事を処理した段階でモタモタする事なく、すぐ次の仕事に取りかかれる。

 

スケジュールには3割の空きをつくる

仕事を着実にこなすには、スケジュールに余裕を持たせる事も重要である。仕事をしていれば、急ぎの依頼が入ったり、トラブルが発生して対処に時間を取られたりといった事は必ず起きるもの。仕事にあてられる時間の内、3割程度をバッファとして空けておくようにする。

 

やりかけた仕事は必ず終わらせる

仕事を処理していく時に重視しているのは「やりかけた仕事は必ず完結させる」ということ。仕事を途中で止めたまま放置すれば、その事をいつまでも頭に残しておかなければならないので、脳に余計な負荷がかかり、処理速度が落ちてしまう。いつでも脳がきびきび動けるようにするには、どんな仕事も「保存して終了」する事が大切である。

「1つの仕事を完結させたらいったん忘れ、次の仕事に集中する」事を繰り返していると、あえて意識しなくても常に頭がリセットされた状態でプロジェクトに臨める。「人の心に刺さる、どこかに引っかかりのあるデザイン」を生むためには、そのバランスを無視する必要がある。そこで重要なのが、子供のように何も知らない状態に自分を持っていく事である。余計な情報を削ぎ落とし、プロジェクトスタート時に気づいた事や考えた事、つまりプロジェクトの「核」になる部分を大切にしなくてはならない。思い込みをなくし、曇りのない目でプロジェクトを見るためにも「たくさん仕事をこなし、終わった仕事は忘れる」という方法は有効である。

 

一番やりたい仕事をする

仕事を高速化するための重要なポイントの1つは「その時に一番やりたい仕事」を選ぶ事である。その時々のテンションに応じて仕事を選べるようにするには、常に前倒しで仕事を進めておく必要がある。常に「自分が今やりたいこと、集中できること」を選んで仕事をしていれば、スピードも仕事の質も自ずと高まる。
モチベーションというのは意識的に「下げる事はできても上げる事ができないもの」である。だから、心がけるのは「モチベーションを下げてしまわないようにすること」である。「少し飽きたかな」と感じたら、できる限り速やかに、その案件について考えるのをやめる。