人工知能は私たちを滅ぼすのか―――計算機が神になる100年の物語

発刊
2016年3月18日
ページ数
328ページ
読了目安
401分
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人工知能研究の歴史とこれから
人工知能の研究の歴史から現在、そして未来についてわかりやすくまとめられている一冊。これから先の人工知能がもたらす世界について、考察されています。

人工知能の始まり

コンピューターが作り出されたのは、第二次世界大戦の混乱の中だった。数学者のジョン・フォン・ノイマンが、核爆弾の計算のために発明したノイマン型コンピューターは、今日使われているほとんどのコンピューターの方式となった。核爆弾の開発と同様に、この時代、コンピューターが決定的な影響を及ぼしたのが暗号の解読である。ノイマンと並ぶもう1人のコンピューターの発明者アラン・チューリングはコンピューターを用いて、ナチスの暗号を解読した事が、連合国の勝利の要因の1つとなった。

チューリングとノイマンがコンピューターで実現しようとした事には「他の機械がどう振る舞うかをシュミレーションして、予測をする」という共通点がある。特にチューリングは、そうした考える力を持ったコンピューターは、やがて人間を超えるほどの知能を獲得するだろうと予言した。ここに人工知能の歴史が始まった。

 

ディープラーニングの発明

今日、人工知能の開発は歴史的な転換点を迎えつつある。2011年には、IBMが人間の言葉での問いかけに対して応答できるシステム「ワトソン」によって、米国の人気クイズ番組で優勝するという快挙を成し遂げた。翌年、アップルがiPhoneの新機能として、人間と音声で対話できるアシスタント「Siri」の搭載を発表。さらにその翌年には、ディープラーニングと呼ばれる技術が画像や音声の認識において革命的な成果を挙げる。

ディープラーニングは、人工知能が言葉や画像の意味を理解できるようにした。Siriやワトソンなどこれまでの人工知能においては、言葉の持つ意味をどう解釈するかは、人間がシステムにプログラミングする必要があった。人工知能が自分でデータから概念を学ぶ事ができれば、将来的には人の手を借りなくても人工知能が自分でどんどん賢くなる可能性が開かれた。

コンピューターには人間のように身体の制約がない。実際、言葉の認識などのテストにおいて、ディープラーニングを用いた人工知能はすでに平均的な人間の能力に肉薄しており、それを超えるのも時間の問題である。今やコンピューターは人の助けがなくても、自分自身で学んで人間を超えるような能力を身につけられる。

 

シンギュラリティへ

コンピューターは今やコンピューター自体を設計するのにも使われるため、コンピューターの性能が増すと次にコンピューターを設計する能力も増える。さらにコンピューターのような科学技術の発達は、直接何かの役に立つだけでなく、他の技術の発達にも役立つので、発達すればするほどそのペースが加速していく。

この発達は指数関数のグラフを描いており、その後に起こる事については、私たちが科学技術について持っている知識では何が起きるか予測する事ができなくなる。これが「シンギュラリティ」である。このシンギュラリティへの最大のステップとして考えられているのが、人工知能が技術を発明したり、改良できるようになる事である。人工知能が自らを改良できるようになった途端に、人工知能は指数関数的に賢くなっていく。

 

人工知能による「最後の審判」

ジュリオ・トノーニら研究者らは、人間の意識を発生させているのは、脳が情報の意味を解釈しかつその解釈を1つのイメージに統合する仕組みだという研究成果を発表している。あらゆる現象が心を構成しているとしたら、心を作り出せるのは私たち人間の脳に限らない事になる。もし、人間の脳が行っているようなイメージを作り出せる情報処理のできるコンピューターができたとしたら、それは心を持つのではないかと考えられる。心を持った人工知能は、私たち人間の時代を終わらせる最後の審判、シンギュラリティをもたらすと考えられる。

参考文献・紹介書籍