アテンション――「注目」で人を動かす7つの新戦略

発刊
2016年2月26日
ページ数
320ページ
読了目安
459分
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人の注目を集めるための戦略
情報過多の時代にいかにして「注目」を集めれば良いのか。人の注目を集めるための7つの戦略を紹介している一冊。

希少資源となった「注目」

情報過多の時代になり、我々の注意力は到底すべての情報に行き渡らなくなった。手元のデータが増えれば増えるほど、それを消費するための注意力は細切れになってしまう。その結果、「注目」は希少資源になった。「いいものを作れば、お客は来る」という考え方だけでは通用しない。注目されるかどうかが肝心だ。企業なら自社ブランドを売り込む方法を、慈善団体なら寄付者に真っ先に思い出してもらう大義を見つけなければならない。

 

「注目」の3段階

焚き火と同じように、注目を継続させるには次の3段階を踏まなければならない。

①点火:「即時の注目」
周りの世界に対する人々の素早い無意識の反応。怖れ、怒り、憎しみなどのネガティブな感情の方が、ポジティブな感情より即時の注目を喚起しやすい。

②藁火:「短期の注目」
特定の出来事や刺激に対する人々の短期的な集中。大切なのは、集中と目新しさである。

③焚き火:「長期の注目」
アイデア、製品、メッセージ、目標、仕事などに対する人々の長期的な興味。大切なのは、関心と一定レベルの親しみやすさである。

 

「注目」で人を動かす7つの戦略

メッセージに注目の焚き火を燃やしてもらいたいなら、即時、短期、長期の注目を獲得しなければならない。この3種類の注目を得るためには次の7つのトリガーを欠かす事ができない。

①自動トリガー
安全と生存にかかわる光景や音などの感覚的手がかりに、無意識の内に注意を向ける傾向を指す。自動トリガーは、注目を「対比」と「連想」という2つの方法で捉える。色、音、触れること、その他の感覚的経験が、無意識の内に注目に影響する事は、生存にとって必要なメカニズムである。考える間もなく、自動的に影響は及ぶ。

②フレーミング・トリガー
送りたいメッセージを相手が受け入れやすくなるように、アイデアの見せ方を変える。フレーミング・トリガーで注目を得るには次の2つの方法がある。

・適応:相手の判断基準に合わせて、伝え方を変える
・議題設定:相手の思考の中にある特定の話題の重要性や顕著さを変える。鍵は「適度な反復」である。

③破壊トリガー
人々の期待をあえて裏切り、注目するものを変えさせる。破壊トリガーは次の3要素で注意を惹き付ける。

・驚き:どの種類の驚きが効果的かは、伝えたいメッセージのトーンによる
・単純さ:複雑さを減らして注目を集中的に得る
・重要性:顧客にとって意味があり、妥当で大事な要素を冒頭15秒に入れる

④報酬トリガー
報酬トリガーで注目を獲得する鍵は、状況に応じて内外の報酬を使い分け、顧客がその報酬を得たくなるモチベーションを探り当てる事だ。

⑤評判トリガー
人や会社やアイデアに出会うたびに利点をいちいち評価する暇はないから、我々は希少な注目を向けるのに近道を使う。日常的に使う近道の中で最も強力なのは評判だ。専門家、権威者、大衆の評価を用いて信頼性を高め、相手を魅了する。

⑥ミステリー・トリガー
謎や不確実性やサスペンスを作り出して、最後まで関心をつなぎ止める。ミステリー・トリガーを効果的に発動できるかどうかは次の4つの要素にかかっている。

・サスペンス:解決されていない謎に直面した時に感じる興奮や不安や緊張の状態
・感情移入:感情をジェットコースターのようにくるくる変化させる
・予期せぬ展開
・クリフハンガー:ストーリーのひとまとまりが終わる時に宙ぶらりんの謎を残す

⑦承認トリガー
人は何らかの形で自分を認め、評価し、共感してくれる人やアイデアに注目する。我々は誰だって認められたい。長期の注目は、自分を認知し、評価し、理解してくれる人やものを見つけた時に最大になる。