自分の時間

発刊
2016年5月11日
ページ数
174ページ
読了目安
166分
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時間術の名著
イギリスを代表する作家が書いた時間術。充実した1日を送るためには、どのように時間をつかえば良いのかが書かれています。

時間こそが貴重な財産である

時間というのは、あらゆるものを生み出すもととなる。朝、目覚めると、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしり詰まっている。そのすべてがあなたのものだ。これこそ最も貴重な財産である。

24時間の中で、健康も楽しみも、金も満足も尊敬も得ていかなければならな。また、その中で不滅の魂を向上させていかなければならない。時間を正しく用いること、最も効果的に利用すること、これこそが最も差し迫った切実な問題である。人生のすべては、この時間の利用の仕方次第で決まる。幸福もここにかかっている。

 

初めから多くのことを企てない

あなたが「やりたい」と思っていた事が何であれ、楽なやり方、王道などといったものは存在しない。聖地への道は非常に険しい。何よりも悪い事は、結局そこへは決して辿り着けない事だ。24時間という与えられた時間の中で、充実した快適な1日を過ごせるように生活を調整する際に心得ておくべき最も重要な事は、そうする事がいかに至難の業であるか、そのためにいかに多くの犠牲を払い、倦まずたゆまず努力し続けなければならないかと、冷静に悟る事である。

初めからあまり多くの事を企てないようにしよう。少しで満足する事だ。思いがけない事が起きる可能性や、人間性というやつも頭に入れておこう。失敗者の多くは、あまりに多くの事を企てすぎて失敗したのだ。

 

「内なる1日」をつくる

特別な人間でもない限り、普通は自分の仕事に対してあまり情熱を燃やしていない。あるいは、よくても「嫌いではない」といった程度であろう。彼はなかなか仕事にとりかかろうとせず、始める時は不承不承の体である。そして終業時間がくるのを、今か今かと首を長くして楽しみに待っている。仕事に全力投球するなどという事はまずない。

このような心構えで仕事をしているくせに、朝10時から夕方6時までの勤務時間があくまで本当の意味での「1日」だとみなし、勤務時間の前の10時間とあとの6時間は、単なるプロローグとエピローグに過ぎないと思っている。1日に対するこのような姿勢は、仕事時間以外の16時間に対する関心を失わせてしまう。その結果、時間を無駄に費やさないまでも、それを大切な時間だとは思わなくなってしまう。

1日の2/3の時間を単に1/3を占める勤務時間に付随している時間に過ぎないとしてしまうなら、完全に充実した1日を過ごす事など、望める訳がない。普通の人が、充実した完全な1日を送りたいと思ったら、頭の中で、1日中にもう1つ別の1日を設けるようにしなければならない。この「内なる1日」は、ひとまわり大きな箱の中に入っている小さな箱のようなもので、夕方6時に始まって翌朝の10時に終わる。16時間の1日というわけである。この16時間はすべて、もっぱら自分の心と身体を成長させ、同胞を啓発する事だけに使うのだ。

この16時間はすべてのものから解放されている。まず、給料を稼いでくる必要がない。そして、金銭上の問題に気をとられる事がない。「内なる1日」を有意義に過ごすには、このような心構えが何よりも大切である。

 

朝の時間を大切にする

人間の精力は、日常の仕事にすべてを吸い取られてしまってはならない。頭を働かせて、何とかあなたの情熱を日常の仕事だけですべてを使い切ってしまわないようにする事だ。エンジンを日常の仕事に使う前に、まずそれ以外の何かに使うのだ。簡単に言えば「朝早く起きる」という事である。

睡眠というのはある程度は習慣の問題であり、怠惰な生き方の方にこそ問題がある。大抵の人は、他に楽しみ方を知らないので、できるだけ長く眠っている。2時間、あるいは1時間でも早起きしてみるといい。仕事以外の何かをやるという点に関しては、朝の1時間は夜の2時間に匹敵する。

バランスのとれた賢明な1日を過ごせるかどうかは、普段とは違う時間にたった一杯のお茶を飲めるかどうかにかかっているかもしれない。

 

知的好奇心に満ちた生活を送る

人々がとりつかれている時間に対する思いを分析してみると、それは主に焦り、期待、願望、欲求のようなものである事がわかる。これが原因となって、人々は絶えず不快な思いをしている。「あれをやれたら、これをやれたらと思いつつ、結局半分もできずに生きてきたのが、まさに自分の人生だ」。但し、その期待や欲求がどの程度実現したかは人それぞれだ。

道義上忠実に働かざるを得ない職業としての仕事の他に、さらに何か別の事もやらなければならないという固定観念があって、そこから不満や焦りが生じている。「職業としての仕事以外に何かやりたい」という欲求は、ある程度、精神的に成熟した人達に共通する。この欲求を満たすべく努力しないと「何か始めたいのに始めていない」という焦りの感情が生じ、いつまでたっても心の平安が得られない。これは一種の普遍的な知識欲であるとも言える。