「IT断食」のすすめ

発刊
2011年11月10日
ページ数
233ページ
読了目安
267分
推薦ポイント 16P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

メールや資料作成に振り回される仕事スタイルを変えるべし
膨大なゴミメール、情報価値の低い資料作成、コピペによる創造性の劣化。職場を蝕むIT化の副作用について、問題提起し、その対応策を紹介している。

メールの処理や資料作成にばかり時間をとられ、全く付加価値のある仕事ができていない人が職場の周りにいませんか?仕事の効率を高めるため、仕事のルールを組織だって行う必要があります。

IT中毒

パソコンの「せいで」忙しくなっているうえ、新しいアイデアを出したり、新規の顧客を開拓したりといった、付加価値の高い仕事をする時間が減っていることがよくある。IT依存症の中毒症状は下記の通りである。

・7割は「迷惑メール」
勤務時間の多くを電子メールの処理に割いている人は実に多い。電子メールは、受取人の承諾を得ずとも、簡単にメールを送りつけることができる。手軽であるがゆえに、深く考えずに送る必要のないメールまでも送信してしまう事が多い。結果、受け手側には膨大なメールが届く。情報洪水によって、じっくり考えたり、分析したり、人と対話したり、現場に行くといった質の高いアナログの時間が奪われる。

・拡大再生産される価値の低い情報・コンテンツ
ネットの普及により、様々なデータが手軽に入手できるようになった。表計算やプレゼンソフトが一般的になったおかげで、特別な知識や技術がなくても、見栄えのいい資料を簡単に作ることもできるようになった。結果、口頭で伝えれば3分ですむような内容が、何十ページもの資料に加工され「情報共有」の名目で拡散されるようになった。コピペにより作成されたコンテンツが、大げさな体裁で拡大再生産される悪循環に陥っている。

情報洪水に飲み込まれ、電子メールに振り回され、ひたすら価値の低い情報や資料、メッセージを生み出している。それをまじめに仕事していると勘違いし、実は付加価値を生み出していない。それを自覚していない人が多い。

 

IT断食のすすめ

ITもダイエットが必要である。IT断食は以下のように行う。

①まずは症状を自覚する
社内でIT中毒に関する調査を行い「見える化」を実施する。
・電子メールの受信状況:アクションや確認が必要なメール件数の割合
・時間の使い方:1日のパソコン利用時間
・会議の調整:1つの会議調整のために必要な時間

②経営トップが決断し、明確なメッセージを打ち出す
経営トップが明確な方向性を示し、組織全体で取り組まないとIT断食は成功しない。
各職場では推進役となるIT断食のリーダーを決め、実行に移す。

③理想的な「ベスト・ミックス」を探す
理想的なバランスを探す。ベスト・ミックスを考える際には、「時間の使い方を天引きで構成しなおす」という考え方が有効である。

④ITを「断つ」時間を強制的に設ける
ベスト・ミックスを追求するために、一度IT断食を職場単位で実施してみる。
ex.パソコンを部署で共有、ノーPCデー、ノー電子メールデーの設置

⑤新しいワークスタイルをルール化する
ex.CCやBCCの使い方にルールを設置、社内資料の枚数制限、会議の質を変える

⑥IT予算をユーザー部門に戻し、費用対効果に責任を持たせる