御社にそのシステムは不要です。 中小企業のための〝失敗しない〟IT戦略

発刊
2021年2月6日
ページ数
272ページ
読了目安
263分
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よくある無駄なシステム導入を避けるために必要なこと
使いづらい、使い方がわからないなど、導入したものの無駄になっているシステムを生み出さないために必要な考え方が書かれている一冊。会社のIT化を進めるためには、何が大切かを説明しています。

IT化でできることを理解し、課題解決の認識を持つ

お金と時間をかけて作ったにもかかわらず、使い方がわからないなどの理由で放置されるシステムが多くの会社に存在する。これは、経営課題を解決する手段でしかなかったはずの「IT化」が、いつの間にか目的にすり替わってしまった結果である。IT化を考え始めた当初は、しっかりとした課題意識を持っているが、ITツールを比較検討し、様々な情報が入ってくるうちに、この課題意識はどこかに置き去りにされてしまう。そして、目新しさや流行り、最新技術といった点にばかり目が向いて、不要なシステムを次々に導入してしまう。

 

重要なのは、「IT化は目的ではなく、手段である」という認識を常に持ち、「IT化で何を解決したいのか」と、自分自身に問いかけ続けることである。IT化によってできることには、大きく分類して次の3つがある。

 

①日々の業務のムダとムラをなくす

「時間」「労力」「お金」という3つのムダをなくすことができる。手書き、手入力の作業を効率化するなど、アナログからデジタルに置き換えることによって、操作や管理を簡単にすることができ、業務の属人化を防ぐこともできる。

 

②リソース配置の最適化

コスト削減や効率化の視点で日々の業務を見直すと、IT化によってリソース配置を最適化できそうな部分が見つかる。リソース配置の最適化は、仕組みの継続性を高めると同時に、各業務の安定性と安全性を高める。リソース配置の最適化を目的とするなら、まずは「人がやった方が良い仕事」や「人にしかできない業務」を見つけ出すことから着手するといい。

 

③新たな事業や働き方を創出

新たな事業や働き方を創出するのは、ゼロからイチを生み出す新規創出の取り組みと言える。例えば、IT化で集められたデータを使った新たなサービスを考える。あるいは、新たな技術や新たなサービスを使って、新たな働き方を確立するなどである。

 

IT化にふさわしい担当者を選べ

システム導入をITの専門業者に丸投げするのはやめるべきである。業者が「これがいいはず」と考えて作り上げるシステムが、会社の実務や社員のニーズに合致するとは限らない。また、業者に丸投げすると、会社にIT化のノウハウが蓄積されなくなる。システムの運用を開始した後には、「この機能を充実させたい」などのニーズが出てくる。

 

重要なのは、会社のことをよく知っている会社の「中の人」をIT化の担当者、すなわち業務改善の担当者にすることである。担当者が中心となって、IT化で解決可能な課題を見つける。担当者には、ITの知識はなくてもいい。「どんな課題を解決するシステムを作って欲しいか」について、正確にわかりやすく伝えることができれば、IT化担当者としては十分に役割を果たせる。むしろ、担当者として不可欠な要素は、次の3つである。

  1. 顧客目線を持っている
  2. IT化に取り組む熱量がある
  3. 失敗を過度に恐れない

 

IT化に取り組む手順

①業務の流れを分解する

細切れになった小さな課題に焦点を当ててしまうと、業務全体から見たらあまり効果のない部分を、IT化してしまう可能性がある。そうならないために、現状の業務がどうなっているのかを把握することから始める。業務を分解する際には、次の2点に注意が必要となる。

  1. 細かく分解すること
  2. 業務と人とを切り離した上で、業務を分解すること(特定の人の業務を聖域化しない)

「どんな業務を」「どんな手順で」「どんなふうに手がけているか」を細かくヒアリングして記録する。

 

②IT化で解決する課題を見つける

課題も、業務を分解する時と同様に、現場で働く人たちから意見を集める。現場には、現場にしかわからない課題がある。コミュニケーションを通して、そうした課題を上手に聞き出す。現場の声を、部署ごとに横断的に聞いていくことで、会社にとって理想的な業務フローの全体像も見えやすくなる。現場のヒアリングを終えたら、最後に経営層にも課題を出してもらう。
すべての課題が出揃ったところで、何から取り掛かるか検討を始める。この時、大切なことは「この課題は、本当にIT化しなければ解決できないのか?」という視点を持つことである。IT化ありきになっていないかを確認する。

 

③IT化の予算を確保する

IT化の予算を確保するために重要なポイントは次の3つである。

  1. 投資の視点を持つ
  2. 既存のシステムにこだわらない
  3. システム運用開始後の予算を残す