ハーバード数学科のデータサイエンティストが明かす ビッグデータの残酷な現実

発刊
2016年8月5日
ページ数
280ページ
読了目安
435分
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出会いサイトのデータを分析した結果・・・
世界最大級の出会いサイト「Okキューピッド」の創業者が、男女関係のビッグデータを分析し、男女の様々な傾向を紹介している一冊。

外見に対する評価は、男性よりも女性の方が厳しい

男性が女性の美しさを評価したデータは、正規分布のカーブを描く。山が1つの単峰型と呼ばれる分布で、女性に対する評価は1つの値に集中しがちであることを示している。男性の女性に対する評価は似たような評価に集中し、普遍性があるということだ。

男性が女性の外見に非現実的な期待を抱いていることは、いわば共通認識のはずだが、データが語る現実は違う。男性は女性よりはるかに寛容だ。コインの表が出たら「魅力的」、裏が出たら「魅力的でない」とすると、男性が投げるコインは重さのバランスがほぼ取れているが、女性が投げるコインは重さが偏っていて、表は4回に1回しか出ない。

 

女性は同年代の男性を求め、男性は20代前半を求める

20〜21歳の女性は23歳の男性を、22歳の女性は24歳の男性を好む。女性の年齢が上がると共に魅力的だと思う男性の年齢も上がり、50歳の女性は46歳の男性を好む。これは出会いサイト「Okキュービッド」のサイトで相手を見つける際の様々な言動から導き出したデータだ。女性は自分とほぼ同じ年代の男性を求める。女性は30歳までは少し年上の男性が好みで、その後は少し年下を好む。そして40歳になると、その後9年間は39〜40歳が好みとなる。これは男性の性的なアピールが限界に達するのが40歳だという見方ができる。

また、女性が年を重ねるにつれて、男性の好みも進化する。男性が熟するにつれて、女性が男性に求める魅力も1年ごとに熟していく。年相応の外見の変化も、少なくとも他の長所で相殺される。ところが、男性が女性を評価するという逆方向から見ると、グラフは自由落下を描く。

男性から見て女性が最も魅力的なのは20代前半だという一言に尽きる。45歳を除くすべての年齢の男性は、最も魅力的だと思う女性の年齢が20歳、21歳、22歳、23歳の4年間に集中している。男性の好みは20歳の女性に集中しており、男性が30歳になると、35歳以上の女性は存在すらしないかのようになる。女性の若さを重視する傾向は、男性の好みが成長しないという意味でもある。

 

年齢を重ねると女性の恋愛の選択肢は激減する

もっとも、世の男性が女性に求める年齢は、表向きの「申告」と心の声とで大きく異なる。交際相手として考える女性の年齢を直接質問すると、結果はかなり変わる。9歳の差は問題ないが、10歳は大きすぎるようだ。現実の恋は、望むことと、口にすることと、行動することのバランスが取れているゾーンで生まれる。

女性が男性を選ぶ側になると、女性が30代前半までは、むしろ年齢が上の男性の方が多くのメッセージを受け取る。女性の年齢が1つ上がると、魅力を感じる男性の年齢も1つ上がるからだ。また、女性は経済的理由など、非肉体的な理由で年上の男性に惹かれる。男性が実際に受け取るメッセージの数は30代前半をピークに減るが、そのペースは恋人や配偶者のいないシングルの女性の数が減るペースより遅い。

一方、女性は年を重ねるにつれて、結婚などの理由で男性陣の人数が減るだけでなく、女性は恋愛の選択肢そのものも減る。年月が過ぎるにつれて、彼女を魅力的だと思うシングルの男性は減っていく一方だからだ。シングルの男性の人数は、年齢が上がると急激に減る。20歳の女性に興味を持つ男性が100人いる時、50歳の女性に興味を持つ男性は9人しかいない。

 

中間の人は関心を持たれにくい

音楽でも映画でも、人間に関する様々な出来事において、欠点は強力な要素となる。人間関係でも、みんなに好かれる人は心に残りにくい。誰かに嫌われることは、他の人から一層愛されることでもある。特に女性の性的な魅力は、彼女を醜いと思う人がいるほど際立つものだ。

外見の魅力のレベルが同じ女性のグループがある時、男性からのアプローチの数は、ばらつきと強い関係がある。美人コンテストで優勝しそうな華やかな女性、家庭的な女性、その中間の女性などグループの種類を問わず、最もモテるのは、グループの中で両極にいる女性達だ。彼女達が受け取るメッセージの数は、グループ内の他の女性より約70%多い。つまり、ばらつきがあれば、恋愛の序列で「同類」を飛び越えることもできる。

ばらつきがある女性は、彼女を大好きな人も大嫌いな人も多いからだ。「あなたを好きではない人」の存在が、それ以外の人にとってあなたの魅力を高めるのだ。不完全さを求める心理は、私たちの脳の構造の裏返しかもしれない。嗅覚は、脳の感情中枢と最も密接に関係していて、不調和を好む。このことは不快な臭いと好ましい臭いを混ぜた実験でも証明されており、自然界では進化の知恵と見なされている。

結局は、誰もが何かしら欠点を持っている。欠点に物怖じせず、自分らしさを大切にすること。それが真の教訓だ。周りに合わせようとするのは逆効果だ。