人生の公式ルートにとらわれない生き方

発刊
2020年12月25日
ページ数
256ページ
読了目安
261分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

推薦者

やりたいことを仕事にすること
テレビ局のアナウンサーを辞め、eスポーツのアナウンサーとして独立した著者によるキャリア論。自分のやりたい仕事をするための第一歩を踏み出すための心構えを書いています。

普通の人生は幸せなのかを考えよ

前時代的な会社に居心地の悪さを感じ、「いま置かれている環境を変えるにはどうしたら良いか」と考えた時、真っ先に浮かんだのが「変職」だった。具体的な選択肢は3つ。

 

①中途採用:職種を変えずに会社を変える

②起業:独立して会社を起こす

③転職:業界を変えて異業種に挑戦する

 

アナウンサーは他の局に中途採用されるパターンがあるが、これを選択しなかった。スポーツ実況の仕事は好きだったが、自分が実況しているコンテンツ自体にあまり興味が持てなかった。転職活動を始めたきっかけは、テレビ局のビジネスモデルが限界を迎えていることに加えて、「どうして自分はテレビ局に勤めているんだろう」という、根源的な疑問を持つようになったことが挙げられる。気がつけば、テレビ番組にほとんど魅力を感じられなくなっていた。

 

会社員という立場を離れるのか、それとも続けるのか判断を下す際に自問自答したのが「普通の人生は幸せなのか」という問いだった。私たちは「公式ルートから外れた人生」とか「負け組」といった言葉にあるように、「普通」から逸脱してしまうことを極端に怖がるよう、なかば仕向けられている。しかし、世間的に「普通」とされている幸せな人生のイメージが、自分にとって最高の人生のシナリオなのかどうか、若いうちから真剣に考えた方がいい。

 

天職を探る方法

たとえどんな予測不可能な状況であったとしても、守り一辺倒の人生を歩むべきではない。仮に今の職場に違和感を覚えていて、転職を視野に入れているとしたら、前向きに取り組んでみるといい。その際には、本業に支障がない限り、同時並行で積極的に動いた方がいい。

 

天職とは、生涯賃金、企業規模、地位といった社会的承認欲求を満たすための仕事ではなく、自分が心から熱狂できる仕事のことである。そうした天職に携わることは、幸せな人生を送るための要件である。天職に就くには、まずそこに繋がっていく「生きがい」を見つける必要がある。生きがいは仕事でなくても構わない。ただ、他の何を差し置いてでも取り組んでしまうこと、寝食を忘れて没頭できるようなことに限る。

 

「自分が人生を賭けてでも夢中になれることは、これかもしれない」ということに辿り着くために大切なのは、様々なことに興味を持ち、情報を集め、実際に見たり、聞いたり、体験したりする機会をしつこいくらいに設け続けることである。

 

決断したら最速で動く

転職にしろ、起業にしろ、自分にマッチする仕事が見つかったら、1秒でも早く現在の仕事を辞めるのがいい。「とりあえず区切りのいいところまで」といった感覚で、だらだらと在籍期間を引っ張っても、ほとんどメリットはない。それよりも、新しい仕事に向けて、少しでも早く動き始める方が有意義である。誰にも全く迷惑をかけずに辞めることなどほとんど不可能だということは肝に銘じておいた方がいい。

 

1秒でも早く会社を辞めようと思った理由は「その時日本にはまだeスポーツの実況キャスター」がいなかったからである。それどころかeスポーツという言葉さえ、ゲーム業界の人やゲーム好きの若い人を除き、一般にはほとんど知られていなかった。今では「eスポーツ元年」と呼ばれるほど、2018年は大きな動きが相次いだ年だった。この流れに乗るならば何としても「一番手」にならなければダメだ、という確信があった。eスポーツの実況アナウンサーという仕事も、日本での第一号になれば、間違いなくその時点で「日本の第一人者」になる。

 

コントロールできない未来をあれこれ予測することは大切だが、予測したところで、確実にそうなるとは限らない。ある程度流れに身を任せ、その都度最善を選んでいくしかない。そして、断言できることは、自分でコントロールできる未来について「今やるべきことをやらなければ、望むような明日はやってこない」ということである。