右脳思考

発刊
2018年12月26日
ページ数
256ページ
読了目安
262分
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優秀なコンサルタントはいきなりフレームワークを持ち出さない
一般的に仕事では否定されることの多い勘やひらめきの大切さを説き、右脳と左脳の両方を使う方法を紹介している一冊。
『論理思考』『仮説思考』といったロジカルシンキングの著者が、仕事を行う上での右脳の使い方まで解説しています。

ロジックだけでは人は動かない

感覚・感情、直感、勘など、論理(ロジック)では説明できないひらめき・思いつき・考えを総称して右脳。ロジック(論理)を左脳とする。ロジックだけでなく、感情や勘、すなわり右脳を働かせることで仕事をより効率的に進め、成果をあげることができる。

人間は仕事を進めるに当たってはロジカルであるべきと誰もが思うにもかかわらず、対応する相手がロジカルではない、そして、その相手に対応するために、自分もいつの間にかロジカルではなくなっている、という可能性がある。

人間を動かすのはそれが正しいか、間違っているか、あるいはやるべきかどうかという理屈、すなわちロジックではない。やりたいとか、面白そうとか、やらないとまずいなといった気持ち、すなわち感情である。

仕事の流れ

仕事で何か問題が起きた時、課題を明らかにして解決策を策定し、実行に移す。しかし、いきなり解決策は生まれない。そのために準備作業が必要である。

①インプット
・情報収集
・仮説づくり
・課題発見

②検討・分析
・真の課題の特定
・分析
・課題の構造化
・代替案の抽出

③アウトプット
・意思決定
・コミュニケーション
・実行

インプットとアウトプットでは右脳が極めて重要な役割を果たす。一方で、検討・分析では左脳で考えるロジカルシンキングがカギを握る。頭の使い方としては、右脳から始まり、左脳を使い、右脳に戻るという形になる。

右脳の使い方

①問題発見は右脳が出発点
最初のインプットである問題把握で大事なことは、事実確認である。多くの場合は現場を見たり、従業員の士気に課題があったり、あるいは顧客の行動に疑問を感じたりと、個人の感覚が出発点となるケースが多い。すなわち右脳の世界である。

②解決案は左脳で考える
次の検討・分析では、インプットした中から何が真の課題かを見出し、それに対する解決策を策定するプロセスである。こちらは分析や考察、あるいは考えた戦略・代替案の評価などが骨子であるから、ロジカルシンキングが重要となる。

③決定し、実行に移していくのは右脳が中心
検討・分析で導き出された代替案(解決案)を採用するのか、あるいは採用しないのか、さらには複数出てきた代替案の選択肢の中からどれを採用するかを決める、すなわち意思決定は極めて右脳的な判断によって決める。実行段階については、想像以上に右脳が大切になる。なぜならば、人は理屈では動かず、感情で動くからだ。そのため、人を動かしたり、組織を動かしたりするためには、まず相手がロジックを理解する以上に、感覚で納得する必要がある。

右脳で考え、左脳でロジカルチェックする

問題解決のために「答えの仮説」を考えることがよく求められる。その時に、データ、あるいはそれを加工した分析結果から仮説を出すのはまさにロジカルシンキングであり、左脳思考そのものである。一方で、なんの根拠もなく突然ひらめくのは右脳思考の最たるものである。現実には、仮説を立てるのはその両極端の間のどこかであることが普通だ。

一つのプロセスの中でも、単一の仕事の中でも、右脳と左脳の間を行ったり来たりしながら、物事は進化していくし、先に進んでいく。そのやりとりがうまくいかなかったり、どちらかが欠けたりすると、落とし穴にはまることになる。

そのためにそれぞれのステージにおいて、右脳で感じたことを左脳で確認したり、逆に左脳で考えたことを右脳の力を利用して前に進めたりといった作業が重要となる。