#アソビ主義

発刊
2016年11月17日
ページ数
235ページ
読了目安
195分
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きゃりーぱみゅぱみゅの生みの親の仕事論
きゃりーぱみゅぱみゅのプロデュースなど、日本のポップカルチャーを発信する会社、アソビシステム社長の仕事論。

アソビシステムとは

アソビシステムという会社には、いろいろな顔がある。ワールドツアーも成功させた、きゃりーぱみゅぱみゅや中田ヤスタカなどのアーティスト、雑誌やテレビなどで活躍するガールズインフルエンサーと言われるモデルやタレントのマネジメント会社としての顔。パリやロンドン、サンフランシスコでも展開した「MOSHI MOSHI NIPPON FES」、さらには「ハラコレ」などのファッションイベントやクラブイベントを定期、不定期で数多く主催しているイベント会社としての顔など。月間150万以上のアクセスを誇る情報サイト「HARAJUKU KAWAII STYLE」など、ウェブマガジンを始めとしたメディア事業を展開する顔。

共通しているのは、原宿を拠点に地域と密着しながらファッション、音楽、ライフスタイルなど原宿の街が生み出す文化を国内外に発信し、カルチャーを創っていくことである。この街で普通に存在しているもの、自然発生的に生まれてくるカルチャーを捉え、本当に良いと思うものを見つけて発信してきた。ファッションと音楽、ライフスタイルを軸に人が集まる空間作りを進め、その過程で、人気モデルやアーティスト、ビジネスが生まれて育っていった。

アソビシステムの原点

アソビシステムの原点は、イベントにある。高校時代から、イベントが大好きで、ホールを借り、ライブイベントを開く。チケットを売って、来てもらう。たくさんの人が集まる場所が好きだった。音楽を楽しんでいる人がいて、楽しませる空間が好きだった。大事なことは、テーマを区切ることではなく、人が集まって楽しめることだった。その空間を作ることだった。

アソビシステムはクリエイターではない。一方で、広告代理店のようなバリバリのビジネスの担い手でもない。両方とうまくコミュニケーションできたのが、アソビシステムだった。イベントを組み立てることができ、お客さんを呼ぶことができる。DJやモデルや演奏する人など、クリエイターを呼んできて、一方でビジネスを手がける人たちを呼んできて、両者を組み立ててイベントができるのがアソビシステムだった。

ゼロからイチを創る

きゃりーぱみゅぱみゅが成功したから、第二、第三のきゃりーは登場しますか、と聞かれることがある。しかし、第二、第三のきゃりーには興味がないし、必要ない。人もモノも街も、第二、第三ではダメである。ゼロからイチを創り上げないといけない。小さな催しも、大きなイベントも同じ力を注ぐ。集まる人の数ではなく、人がどれだけ心を動かすかが大切なこと。だから、いずれも、ゼロからイチを創る意識でやる。

すでに創り上げられたものではなく、創っている最中のものを、一緒になっていく。それが人々に支持されていくものになる。創るプロセス、創る途中を共有できるから、より大きな面白さを味わうことができる。

今いいと思うことをやる

その瞬間、瞬間、感じることが大事。今いいと思うことこそ、やるべきことである。いいと思ったり、誰かに教えたいと思ったりしなければ、売ったりはできない。人間というのは正直だから、素直な感覚を大事にすることで結果も変わってくる。自分たちがいいと思うことだから続けることができる。いいものはいい、と思えるか。やりたい、と思えるかどうか。

だからこそ、いいと思うこと、好きになることを意識しないといけない。ただ受け入れるのではなく、きちんと吸収して、考えて自分のものにしていく。そうすることで、ちょっと前まで嫌いだったものが、好きになる可能性だってある。

「らしいよ」くらいが気になる

何が流行るのか、何が受け入れられるのか、これは常にマーケットとの勝負になる。よく言う言葉が、お茶の間のちょっと上澄み。お茶の間ど真ん中でもいけない。ちょっと上澄みというのがポイント。「あそこ、美味しいらしいよ」くらいのニュアンスで言われているのがいい。「らしいよ」くらいで表現されているものに、人はドキドキするし、気になる。商品でも音楽でも飲食でも、どんなものでも、今は一方的な宣伝ではなく、周りのザワつきが大事になっている。

レストランだって、昔はテレビで紹介されたオススメの店にみんな行った。でも、今はネット検索がある。周囲の人たちがどう考えているのかをチェックする。口コミを重視する。ちゃんと周りがザワついているか、ということがますます重要になっている。

その場その場の感覚を大事にする

何かを考える時も、何かを決断する時も、大事にしているのは感覚。その場その場でどう感じているか。感覚でフワッとしゃべった言葉が、全部バラバラにしゃべっているように見えて、最終的にちゃんとつながっている。なぜなら、軸はブレていないから。

分析して考えようとせず、その場その場の感覚を、もっともっと大事にしていい。そこに自信がなくなると、他から学びを得ようとしてしまう。考えすぎないこと。感覚を大事にすること。