超予測力 不確実な時代の先を読む10カ条

発刊
2016年10月21日
ページ数
408ページ
読了目安
627分
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不確実な先を読むための方法
優れた予測をするためには何が必要なのか。優れた予測を行う人の特徴をまとめ、予測の精度を高めるための考え方を紹介している一冊。

予測は有効なのか

平均的な専門家の予測の正確さは、チンパンジーが投げるダーツと大体同じぐらいである。政治的、経済的問いに対して平均的な専門家が寄せた予測の多くは当てずっぽうとほとんど変わらない。ただ「多く」というのは「すべて」ではない。1年先といった時間軸が短い質問では、当てずっぽうより高い成果を出すのは容易で、3〜5年先のこととなると専門家の予測の正確性は落ちる、つまりチンパンジーがダーツを投げるのと変わらないレベルになっていく。

予測可能性は何を、どれくらい先まで、どのような条件で予測しようとしているかによって変わってくる。政治、経済、金融、ビジネス、テクノロジー、日常生活など、我々が予測しようとする大方の分野において、一定の状況下ではある程度の予測可能性があることはわかっている。

予測力は生まれつき備わった神秘的な才能ではない。特定のモノの考え方、情報の集め方、自らの考え方を更新していく方法の産物である。知的で思慮深く意志の強い人なら、誰でもこの思考法を身につけ、伸ばしていくことができる。

 

超予測者の特徴

優れた予測者は以下の傾向を持っている。

①モノの考え方
・慎重:確実なことは何もない
・謙虚:現実はどこまでも複雑である
・非決定論的:何が起きるかはあらかじめ決まっているわけではなく、起こらない可能性もある

②能力や思考スタイル
・積極的柔軟性:意見とは死守すべき宝ではなく、検証すべき仮説である
・知的で博識、認知欲求が強い:知的好奇心が旺盛で、パズルや知的刺激を好む
・思慮深い:内省的で自己を批判的に見ることができる
・数字に強い:数字を扱うのが得意である

③予測の方法
・現実的:特定の思想や考えに固執しない
・分析的:鼻先越しの視点から一歩下がり、他の視点を検討する
・トンボの目:多様な視点を大切にし、それを自らの視点に取り込む
・確率論的:可能性を多段階評価する
・慎重な更新:事実が変われば意見を変える
・心理的バイアスの直観的理解:自分の思考に認知的、感情的バイアスが影響していないか確認することの重要性を認識している

④努力についての考え方
・しなやかなマインドセット:能力は伸ばせると信じる
・やり抜く力:どれだけ時間がかかろうと、努力し続ける強い意志がある

 

優れた予測を立てる手順

優れた予測を立てるのに確立された手法はないが、超予測者は大体同じ手順を踏む。

①まず質問を分解する
②知り得る情報と知りえない情報をできるだけ明確に選別し、すべての仮説を吟味する
③外側の視点に立ち、問題を固有のものではなく、一般的現象の1つの事例として相対的に見る
④そこから内側の視点に転じ、問題固有の情報に焦点を合わせる
⑤自分と他の人の見解を比較し、類似点と相違点を検討する
⑥とりわけ予測市場など、群衆の英知を引き出す仕組みには注意を払う
⑦得られた多様な見解を、トンボの目のような鋭い単一の視点に統合する
⑧確立を1%単位で示すなど予測はできるだけ精緻に表現する
⑨情報の変化に応じて、予測を頻繁に更新していく

 

超予測者を目指すための10の心得

①トリアージ
努力が報われそうな質問に集中する。単純な経験則を当てはめれば正解に近づける質問、凝った統計モデルを使っても、見通せない質問に時間をかけるべきではない。

②一見手に負えない問題は、手に負えるサブ問題に分解せよ
問題を知り得る要素と知りえない要素に分解する。無知をさらけ出し、自らの仮説をはっきりさせ、吟味する。誤ることを恐れず、できるだけ頭を使って推測する。曖昧な言葉で問題を覆い隠すより、誤りは早いタイミングで見つける。

③外側と内側の視点の適度なバランスを保て
100%「唯一無二」なものはない。唯一無二かどうかは程度の問題である。一見唯一無二と思われる事象についても、比較対象を探してみる。超予測者は外側の視点を確認するために「この手の事象がこの手の状況で発生する頻度はどれくらいなのか」と自問する習性がある。

④エビデンスに対する過少反応と過剰反応を避けよ
優れた予測者は、それが起こる必要条件に関わるちょっとした先行指標に目を光らせる。気をつけなければならないのは、他の人々が気づく前に小さな手がかりを見つけるのと、誤った手がかりに踊らされることの差はわずかだということだ。最高の予測者は、アップデートを小刻みにする傾向がある。

⑤どんな問題でも自らと対立する見解を考えよ
優れた政策論争では、少なくとも頭に入れておくべき反論が常に存在する。主張を固める前に、どんな兆候があれば自らの意見を逆方向に修正すべきか考えてみることだ。

⑥問題に応じて不確実性はできるだけ細かく予測せよ
世の中には絶対確実、あるいは絶対ありえないということは少ない。だから不確実性について、頭の中に3つ以上の選択肢を持つこと。細かなニュアンスが必要だ。不確実性の段階を細かく区別できるほど、予測の質は高まる。

⑦自信過少と自信過剰、慎重さと決断力の適度なバランスを見つけよ
超予測者は、決断力を発揮するタイミングと自己主張を抑えるべきタイミングの切り替えを常に意識する。長期間にわたって正確性を維持するには、予測の正確さと明確さの両面で高スコアをとる必要があり、予測のスタンスをコロコロ変えるようではいけない。

⑧失敗した時は原因を検証する。但し、後知恵バイアスには用心せよ
自分の失敗を正当化したり、言い訳をせずに向き合う。決然と事後分析に取り組む。

⑨仲間の最良の部分を引き出し、自分の最良の部分を引き出してもらう
高度なチーム・マネジメント技術を身につける。特に重要なのが、相手の立場を理解すること、正確な問いかけ、建設的な対立である。

⑩ミスをバランスよくかわして予測の自転車を乗りこなせ
何かを習得するには実際にやってみる必要があり、そこにはフィードバックが必要である。