スタンフォードのストレスを力に変える教科書

発刊
2015年10月22日
ページ数
342ページ
読了目安
467分
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ストレスに強くなる方法
ストレスを避けるのではなく、受け入れてうまく付き合っていくことで、ストレスへの抵抗力がつく。ストレスを避けることの問題点を指摘し、いかにストレスをうまく利用するかについて、科学的な実験結果をふまえ紹介する一冊。

思い込みを変えれば変化が起こる

マインドセットというのは「自分の現実を形づくる考え方」の事で、目に見えるような体の反応にも影響を及ぼす。それだけでなく、マインドセットは長期的な健康や幸福感、成功にも影響する。さらに、考え方を変えるための簡単な介入実験にたった一度参加するだけで、その後何年にもわたって、参加者の健康状態や幸福感が向上し、成功する可能性が高くなる事が明らかになっている。

マインドセットになるような思い込みは、人生観を反映した中心的な信念である。例えば「お金があれば幸せになれる」「人間は変われない」などである。このような考え方は、自分の経験をどのように受け止め、どのような決断を下すかに大きく影響する可能性がある。

マインドセットの小さな転換は、次々に変化を引き起こし、やがて大きな変化となる。まず自分の考え方を変えれば、望んでいるような変化が次々に起こり始める。

ストレスをポジティブに捉える

ストレスについての考え方は、健康や幸福、成功に及ぼす重要な考え方の1つである。ストレスを感じた時にどんな気分になるかも、ストレスの多い状況に対してどう対処するかも、自分のストレスについての考え方(マインドセット)次第で決まる。それが究極的には、ストレスに負けずに頑張れるか、心身ともに参ってうつ状態になってしまうかの分かれ目になる。

ほとんどの人は「ストレスは害になる」と考えている。しかし、ストレスをネガティブに捉えるか、ポジティブに捉えるかによって大きな違いが表れる。研究によれば、「ストレスには良い効果がある」と思っている人達は「ストレスは害になる」と思っている人達に比べて、うつ状態になりにくく、人生に対する満足度が高い事がわかった。

ストレスには役に立つ点もあると考えている人の多くは、困難な問題を避けたり否定したりせずに、正面から向き合う。そして、ストレスの多い経験に対処する能力をつちかう。人生の試練を乗り越える自信をつけ、困った時には相談し、助け合う仲間をつくる。そして、どうにでもできない状況は、成長するための機会として受け止められるようになる。

ストレス反応を味方にする

ストレス反応は様々な点で、困難な状況にぶつかった時に最大の味方になる。ストレス反応にはいくつかの典型的な種類があり、各反応によって体に起こる生物学的な変化が異なるため、ストレスへの対処法も異なる。

①闘争・逃走反応
警戒態勢を取って瞬時に行動できるよう、交感神経系の働きによって体全体のエネルギーを結集させる。そして、行動を促し脳を活性化させる。

②チャレンジ反応
ストレスはあってもそれほど危険でない場合に「チャレンジ反応」という状態に切り替わる。力が湧いてきて、集中力が高まる。

③思いやり・絆反応
ストレスを感じると、多くの場合、人とのつながりを求める気持ちが強くなる。周りの人の考えている事や感情に気づき、理解する力が強まる。

強度のストレス反応が起こった後には、脳はストレスの経験を記憶し、そこから学ぼうとする。ストレスを経験しても、そこから学ぶべき事があると思っていると、体のストレス反応が切り替わり「ストレス免疫」の効果が高まる。

ストレス反応は、基本的なサバイバル本能だけではない。ストレス反応は、私達が人間らしくふるまい、人とつながり、周囲や世の中と関わっていくための助けになる。ストレス反応の価値を正しく理解して、うまく利用し、頼りにすべきである。