90歳まで働く 超長生き時代の理想の働き方とは?

発刊
2020年9月18日
ページ数
256ページ
読了目安
212分
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推薦者

長く働き続けるために必要な考え方
現在86歳の現役ジャーナリスト田原総一朗氏が、人生100年時代の働き方として大切なことを語った一冊。自身の若い時代の仕事などを振り返りながら、定年以降も働くために必要な考え方を説いています。

ビジョンを描け

80歳を過ぎても人生はまだまだ続く時代になり、「人生100年」という言葉が盛んに使われるようになった。そして、人生100年どころか、人間の寿命は120歳くらいまで延びようとしている。そうなれば、40年働き終えた60歳は、まだ人生の折り返し点。定年を迎えても、人生はまだ半分も残っている。

20年学んだ後、「40年働く」という生き方は、すでに時代に合わなくなっている。60代の日本人は、まだまだ働ける人たちばかりである。人生の後半を幸せに生きていきたければ、日本人は人生設計そのものをドラスティックに書き換えるしかなくなっている。

 

人生設計の何を、どう書き換えたらいいのか?

京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、留学時代に研究者には「V」と「W」が重要であることを教わったと話していた。Vはビジョン、Wはワーク・ハードのことを指す。これは、日本人の人生設計を再構築する上でも大きなヒントになる。山中教授は、留学して最初に指導されたのは、価値ある研究をするために、まず「自分でビジョンを描け」ということだった。

多くの日本人の仕事観には、このVとWの関係が欠落している。元来、勤勉な国民性と言われている日本人は、与えられた仕事を忠実にやり遂げるというワーク・ハードの観点では、非常に優れた働き手と言える。他方、ビジョンに関して言うと、他人(会社)任せである人も多い。

極論で述べれば、日本人の就職は仕事を選ぶというより、会社を選んでいるのが実態である。ところが、終身雇用は崩壊しつつあり、そのうちに年功序列もなくなる。その上、多くの日本人が会社を退いてからも長く生きる時代になった。会社を拠り所にした人生設計は、もはや幸せに生きることを保証するものではなくなっている。

 

今必要なのは、自分自身でビジョンを描くことである。60代以降も続けられる「何か」を仕事とリンクさせて生きていくという発想を持たなければ、幸せな生涯を送るのは難しくなる。

 

60歳で会社に再雇用されても、数年で退職させられるのが現状である。そこから自分らしく働ける生き方を探し始めても、簡単には見つからない。現時点での会社からの評価は「働けるうちは働く」ことを約束するものではない。会社の仕組みの中で生きるのではなく、自分で描いたビジョンを軸に生きていくのであれば、社内での評価には執着しない方がいい。「会社でしか通用しない働き方」と、「人生100年時代を生き残るための働き方」とは、決して同じではない。

 

ドロップ・イン思考のすすめ

ドロップ・アウトと言えば、本流から逸脱することを意味し、サラリーマンに例えれば出世コースから外れて、独立する人間のことである。一方、ドロップ・インというのは、理想とする森鴎外の生き方を独自に解釈して表現した言葉である。

森鴎外は、最終的には軍医のトップである軍医総督まで務めた。つまり、組織の中での自分の役割を全うしながら、作家としても活動していた。ドロップ・インが意味するのは「組織から外れることなく、自分のやりたいことを存分にやる」という生き方である。

 

森鴎外は、誰かが与えてくれる務めではなく、自分がやりたいことに全力で取り組むのが「しごと」の本質であると考えていた。ドロップ・インは「会社でしか通用しない働き方」に代わる、「自分らしく生きるための働き方」を可能にする思考と言ってもいい。

 

4つの資産を育てる

好奇心、教養、人脈、目標は現役サラリーマンにとって大事な資産である。同時に、定年を迎えて会社を辞めた途端に失いやすい資産である。この4つの資産を60歳で使い切るものと思わずに、定年後の人生にも存分に活かせるよう、磨き続けることが大切である。

 

自分が持っている情報には、時間の経過とともに古くなるものがたくさんある。知見と感性をアップデートしていくためには、若い人たちから得る情報はとても貴重である。