2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

発刊
2019年11月14日
ページ数
352ページ
読了目安
387分
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2030年には世界はどのようになっているのか
2030年の世界について、国際的な枠組みであるSDGsを読み解くことで、解説している一冊。10年先の世界がどのようになるのか、人口やテクノロジーの動向などから読み解いています。

テクノロジーの発展

今日、テクノロジーが重要な意味を持つのは、インターネットの普及以降、20世紀まで存在していた様々な境界を超える性質を持つからである。情報テクノロジーによって境界を超える優れたハードウェアやソフトウェア、ITプラットフォームは、国家や人種や宗教を問わず、世界中の人々に商品やサービスを販売し、手数料や広告料によって富を徴収する。90年代には、マイクロソフトがウィンドウズOSで世界を席巻し、現在はGAFAMが国境を超えるサービスで世界中の人々から利益を得ている。

情報テクノロジーを基盤にした営利企業とそこに宿る力は、時に1つの国家より大きな影響力を持つこともあるかもしれない。さらに今後は、自動運転やVRといった身体性に付随する技術がAI関連技術と共に広く浸透することで、人々はより多くの時間を、情報テクノロジーを基盤とした生活インフラに接続するようになる。

5つの破壊的テクノロジー

テクノロジーによる時代の変革を考える上で重要なのが「破壊的テクノロジー」の存在である。破壊的テクノロジーは、既存の評価基準に代わる新たな価値を提示することで、業界のルール自体を変革する。それは時に、ある商品が量産化され広く行き渡ることによって、社会の様相を一変させるような社会現象を引き起こす。2030年の世界に影響を与えることになるであろう、破壊的テクノロジーは5つ。

①AIなど機械学習関連技術領域
スマートフォンの登場やクラウドサービスの普及によってITサービス開発が「民主化」したように、データ収集のフレームワークや学習済みモデル、教育のオンライン化を含め、AI化、自動化、省人化のための技術領域の広がりは今後10年の大きなテーマである。

②5G
現行のスマートフォンの通信規格4Gに代わる国際的な方式。日本では2020年のサービス開始を予定している。5Gは、4Gと比較すると、通信速度は10倍、接続端末数は100倍で、遅延は1ミリ秒程度、映画1本分のデータの転送にかかる時間は3秒と言われている。VRやARの大容量データのやりとりが容易になる他、低遅延を生かした自動運転やロボットなど遠隔操作への利用や、接続端末数の多さからIoTへの応用などが期待されている。

③自律走行(自動運転)
人間の介在しない自動車や移動機械の操作。現在、海外メーカー各社が「レベル3」の実用化に向けて動いている。これは特定の場所で自動車の走行が自動化される技術で、緊急時には人間の対応が前提となる。自律走行の主流化の目処は10年以上とされている。

④量子コンピューティング
1つの量子に様々な状態が重なり合う量子現象。それを量子ビットとして用いることで、計算する課題によっては従来のノイマン型コンピュータを上回る計算力を発揮すると言われている。

⑤ブロックチェーン
ブロックチェーンの活用と実際の取引の方法に関しては、未だ開発段階だが、遠くない未来に生活の中に組み込まれ、活用されるかもしれない。

テクノロジーで変わる2050年の未来

SDGs(持続可能な開発目標)で掲げられている17の目標の中には、テクノロジーの進歩によって解決が図られるべきものがいくつも含まれている。2050年までの間に、画期的なイノベーションとそれに伴う社会変革が期待される。

・AIとブロックチェーンによる食品流通の管理でロスがなくなる。
・農業の自動化と培養肉の増加。
・再生医療や、ゲノム編集技術による遺伝病の克服が可能に。
・太陽光発電などの再生エネルギーの増加。
・住宅のスマートグリッド化や、空飛ぶ車の実用化
・現在の職業が段階的にAIに代替される。