38億年の生命史に学ぶ生存戦略

発刊
2020年8月29日
ページ数
240ページ
読了目安
276分
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推薦者

生物の生き残り戦略からビジネス戦略を考える
生物の生存戦略とビジネス戦略は似ているとして、生物がどのように生き残ってきたのかを解説している本。自然界の中で生き残る生物たちの姿から、ビジネスに活かせる教訓を紹介しています。

ビジネスの戦略は生物の戦略と似ている

自然界は激しい生存競争の場である。競争に勝利したものが生き残り、競争に敗れたものは滅びる。私たちの目の前にいる植物や生き物たちは、すべて38億年の進化の歴史の中で勝ち抜いてきた勝者たちである。この進化の歴史の中で、生き物たちは勝ち抜き、生き抜くための「戦略」を発達させてきた。

 

自然界では、ナンバー1しか生きられない。競争を行えば、必ずどちらかが排除され滅びる。但し、ナンバー1を分け合うことができれば、どちらも生存することができる。ナンバー1になれる場所は、それぞれの生き物だけのオンリー1なのである。すべての生き物は「ナンバー1になれるオンリー1の場所」を持っている。この場所を、生物学では「ニッチ」と呼んでいる。ニッチを獲得できなかったものは、滅びていく。

 

生物のポジショニング戦略

すべての生物はニッチをずらしながら、自分の居場所を確保している。サバンナには草食動物がたくさんいるように思えるが、それらの草食動物もニッチを分け合っている。シマウマは、草の先端や穂の部分を食べている。ヌーはその下の茎や葉の部分を食べる。そして、トムソンガゼルは背丈の低い地面の際の草を食べている。こうして、同じサバンナの草食動物も、食べる部分が異なり、ニッチをずらしている。これは生物学では「棲み分け」と呼ばれている。

 

他の生物とニッチをずらしながら、自らのニッチを確保する。これはビジネスの世界の「ポジショニング戦略」そのものである。どこにポジショニングするのかは、ナンバー1になれるニッチを獲得するために、極めて重要である。ポジショニングを誤れば、生存は約束されない。

 

競争を生き抜くために生物が発達させてきた戦略が「戦わない」という戦略である。厳しい競争を避けることのできない自然界だからこそ、生物はできるだけ戦わない道を選んでいる。自分のコアなニッチを軸足にして、近い環境や条件でナンバー1になる場所を探していく。このずらす戦略は「ニッチシフト」と呼ばれている。ニッチシフトを図るには、何を変えてはいけないのか、何を変えるべきかを明確にすることが不可欠だ。

 

生物の選択と集中

ビジネスの世界でよく用いられる戦略に「ランチェスター戦略」がある。ランチェスター戦略は強者の戦略と弱者の戦略とに分けることができる。弱者の戦略の基本は「差別化」である。さらに弱者には「一点集中主義」が求められる。兵力を集中することで、部分的に強者を上回ることができる。

これに対して強者の戦略は「ミート戦略」と呼ばれている。これは弱者との差をなくし同質化していく戦略である。弱者と強者の差がなくなれば、弱者と強者の力の差がはっきりと勝敗に出るからである。

 

自然界では圧倒的な強者となるような生物はいない。そのため、生物はほとんど弱者の戦略を選んでいる。「差別化」と「一点集中」である。ニッチは小さい方が有利であり、あれもこれもと広げるよりも、絞り込んだ方が、ナンバー1になりやすい。

 

変化の大きい環境では様々な生物が生き残れる場所が生まれる

様々な生物がニッチを求めれば、ニッチは埋め尽くされてしまう。生物にとって、住み慣れた環境が変化するということは恐ろしいことである。しかし、変化こそが、埋め尽くされたニッチに新たなニッチを生み出す最大のチャンスとなる。

 

変化がない安定した環境では、生物同士の激しい競争が起こる。そして、強いものが生き残り、弱いものは滅びていく。一方、ある程度、変化がある条件では、必ずしも強いものが勝つとは限らない。撹乱によって環境が変化し、様々な環境が生まれる。このような複雑な環境がたくさんのニッチを生み、多くの種類の弱い生物が生存の場を得る。

 

ナンバー1になる4つの方法

①単純なナンバー1:体が一番大きい、足が一番速い、戦いに強いなど

②反対方向のナンバー1:体が小さく敏捷性が高いなど

③独自のものさしでナンバー1:寒さや乾燥などの環境ストレスに強い、変化に強いなど

④独特の世界でナンバー1:独特の生息空間やエサなど