大事なことに集中する―――気が散るものだらけの世界で生産性を最大化する科学的方法

発刊
2016年12月9日
ページ数
240ページ
読了目安
293分
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集中して仕事の生産性を高めるための戦略
SNSやメールなどによって、集中できる環境がなくなった現代。短時間でも仕事を中断すると、生産性が低下することを認知科学、心理学をベースとして説明し、大事なことに集中することの大切さを説く一冊。

ディープ・ワークとは

認識能力を限界まで高める、注意散漫のない集中した状態でなされる職業上の活動。こうした努力は、新たな価値を生み、スキルを向上させ、容易に真似ることができない。

ディープ・ワークは、現在の知力から価値の最後の一滴までを絞り出すために必要なものである。影響力のある多くの人々がディープ・ワークに努めている。

シャロー・ワークとは

あまり知的思考を必要としない、補助的な仕事で、注意散漫な状態でなされることが多い。こうした作業はあまり新しい価値を生み出さず、誰にでも容易に再現することができる。

このネットワーク時代、知的労働者はディープ・ワークをどんどんシャロー・ワークに変えている。たえずメールをやり取りし、不意に邪魔が入ってたびたび仕事を中断されている。

シャローワークに没頭して多くの時間を費やせば、ディープ・ワークを行う能力は永遠に低減し続ける。

注意力を一点に集中する

熟達者と凡人との相違は、特定の分野で能力を向上させるために、生涯にわたって入念な努力を積んだかどうかである。つまり、「意図的な練習」を行ったかどうかである。意図的な練習に必要なことは次の2つ。

①高めようとしている特定のスキル、アイデアにしっかりと注意を集中する
②最も生産性の高いものに注意を向け続けるために、やり方を正すことができるようにフィードバックを受ける

特に①は重要である。最高の生産性を発揮するには、長期間、気を散らすことなく、1つの仕事に全面的に集中する必要がある。この成果を最大にする働き方こそ、ディープ・ワークである。

集中して取り組むための戦略

①仕事スタイルに合わせてディープ・ワークを取り入れる
1.修道生活的な考え方でディープ・ワークを取り入れる。シャロー・ワークを廃除ないし、最小限にすることでディープ・ワークを最大化する。

2.明確に決められた一定時間、ディープ・ワークに打ち込み、残りは他のすべてのための時間にする。この時間分割は、週単位、月単位など様々な規模で行う。

3.ディープ・ワークを単純な一定の習慣にする。取り掛かる時と場所を決めることに「リズム」を作り出す。

4.空き時間になどディープ・ワークを可能なところへはどこでも組入れる。シャロー・ワークからディープ・ワークへとモードを切り換えるのは簡単ではないため、初心者には向かない。

②儀式化で、集中を乱すものを最小限にする
儀式によって、ディープ・ワークへの抵抗が最小限になり、たやすくディープ・ワークに移り、その状態を保つ。

③どこかに「缶詰め」になる
環境を根本的に変える。

④一人で仕事をしない
ホワイトボードを共有することで単独で仕事するより深い洞察を得られることがある。

⑤「何を」と「どのように」を分ける
何をする必要があるかはわかっている。わからないのは、それをどのようにやるかだ。目的達成に必要な戦略を見極めることは簡単な場合が多いが、企業をつまずかせるのは、決まった戦略をどう実行するかを考え出すことだ。
ここで、企業が高度な戦略を首尾よく実行するための4つの規律がある。これはディープ・ワークのための効果的な行動をとる際にも効果的である。

1.最も重要な目標に絞って実行する
2.最重要目標のためのディープ・ワークに注ぐ時間を指標にする
3.ディープ・ワークに注いだ時間をスコアボードにつける
4.スコアを定期的にチェックしてリズムを作る

⑥自分の脳に休息を与える
仕事を離れて、定期的に十分な自由時間を設け、自分に余暇を与える。休息時間には、洞察力を高める効果がある。