メンバーの才能を開花させる技法

発刊
2015年4月22日
ページ数
312ページ
読了目安
410分
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優れたリーダーの習慣とは
リーダーには、メンバーの能力を引き出し組織全体の能力を高めるタイプと、メンバーの能力を消耗し、組織の人材価値を破壊するタイプの2通りがある。いかに組織全体の人材価値を高めるかという視点から、リーダーシップについて書かれた一冊。

増幅型リーダーと消耗型リーダー

世の中には、メンバーをより優秀に、より賢くするリーダーがいる。彼らはメンバーの能力を見事に引き出し、組織全体の能力を引き上げる。彼らを「増幅型リーダー」と呼ぶ。反対にメンバーの能力をダメにし、組織の中の大切な知性と能力を破壊するリーダーがいる。彼らを「消耗型リーダー」と呼ぶ。

増幅型リーダーと消耗型リーダーのメンバーから引き出す結果の差は驚く程大きい。増幅型リーダーは、自分の周囲にある様々な機会と課題を見ながら、こう考える。「自分と同じ事がわかる賢明な人間はどこにでもいるし、経験を積めばさらに賢くなる」。その上で、メンバーが自由に考え、行動できる環境を作ろうとする。

一方、消耗型リーダーは、知性とはエリートにだけ備わった稀少なものだと思い込んでいる。そして、自分はその極めて少数の賢い人間の1人だと考え、自分以外の人間はまるで物事がわかっていないと思っている。このようなリーダーは、メンバーに細々と命令し、重要な決定はすべて自分で下し、誰かが失敗しそうになると割り込んで仕事を取り上げる。

増幅型リーダーの5つの習慣

増幅型リーダーには、消耗型リーダーにない「5つの習慣」がある。増幅型リーダーは、メンバーの能力を最大限に引き出す事で、消耗型リーダーの2倍の能力を手に入れる。

①才能のマグネット(人々を惹き付け、最大限に活用する)
増幅型リーダーは「マグネットのように」人々を惹き付け、それが誰であろうと最高の力を引き出している。そんなリーダーの下では、成長と成功が叶えられるので、一緒に働きたいと願うメンバーが集まってくる。反対に、消耗型リーダーはメンバーを囲い込み、支配しながら生産性を上げる事にこだわる。なわばりを作る事で全社的な人材の有効活用を妨げる。

②解放者(自由でありながら、緊張感のある環境を作る)
増幅型リーダーは、メンバー全員が自由に考え、最高の仕事をする居場所、やる気の高まる独自の環境を作り出す。彼らはメンバーを「解放者」のように導く。恐れや不安を取り除き、メンバーがのびのびと最高のアイデアを考えられるようにする。同時に、最大限の努力を引き出すために緊張感も作り出す。反対に、消耗型リーダーは「独裁者」のようにふるまう。メンバーを批判する事で恐れを誘い、1人1人のアイデアと仕事を萎縮させる。

③挑戦者(大いに挑戦させる)
増幅型リーダーはチャンスの種を撒き、組織力を高めるような挑戦を掲げる。また、それを成し遂げられるとメンバーに信じさせる。するとメンバーは自分自身にも他の人や物事にも挑戦し、限界を超えていく。反対に、消耗型リーダーは「全能の神」のように命令し、知識をひけらかす。増幅型リーダーはメンバーが自分で方向を設定するように導くが、消耗型リーダーは方向を指示する。

④議論の推進者(議論を通じて決断する)
増幅型リーダーは、徹底的な議論を通じて健全な判断を下す。メンバーを率直な議論に巻き込み、全員の理解が得られて効率よく実行できるような決断へと導いていく。反対に、消耗型リーダーは少数の内輪の人間だけで素早く決定を下し、それ意外の大部分のメンバーの意見を聞く事はない。実行を命令するだけである。

⑤投資家(オーナーシップと責任を植え付ける)
増幅型リーダーはチームや組織の全体に高い期待値を設定し、優れた結果を生み出し、それを維持している。彼らはメンバーに、成功に必要な経営資源を提供する一方、メンバーに約束を果たすよう責任を課す。増幅型リーダーの高い期待によって、リーダー自身もメンバーも強い責任感を持つようになり、そこから次第にメンバー自らが高い目標を掲げるようになる。反対に、消耗型リーダーは自分がすべてを支配する事で結果を出そうとし、些細な事に割り込んでは成果に結びつけようとする。