やりたいことがある人は未来食堂に来てください 「始める」「続ける」「伝える」の最適解を導く方法

発刊
2017年4月1日
ページ数
256ページ
読了目安
280分
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何か新しいことを始めたい時に読む本
メニューは1種類、在庫リストからオーダーメイドで料理を注文できる。これまでの飲食店の見方を変えたユニークな定食屋の店主が、何かを新しく始める時に大切な考え方を紹介している一冊。

未来食堂とは

未来食堂は、1人で回している、カウンター12席だけの小さな定食屋。毎日『日替わり1種類』だけを出すため、オーダーを取る必要がない。このため、お客様は着席してすぐに食事をとることができる。結果的にランチタイム平均4.5回転、最高7回転を記録し、徹底的に効率的な定食屋として注目された。

メニューは1種類だが、夜以降は『あつらえ』というシステムがあり、おかずのオーダーメイドができる。レニューの代わりに『冷蔵庫の在庫リスト』を用意してあり、2点ほど食材を選んで「炒め物で」など希望の調理法を伝えてもらう。そのため、ロスも出ないし、お客様にとってみれば自分だけのとっておきの一品が提供される特別感もある。

従業員は1人だが、『まかない』という一度お店に来た人なら誰でも50分お手伝いで1食無料になる仕組みがある。実際は『まかない』をする人と一緒にお店を回している。開店1年半でまかないさんは年間のべ450人以上。大抵はまかないさんが誰か1人はいる。

このような未来食堂のあり方に驚く方も多いが、1つ1つはそこまで奇をてらったものではなく、既存のものの見方を変えただけにすぎない。

何かを始める前、知っておきたいこと

昔からあるものの見方を変え、独自の考え方で物事を回すには、いくつかコツがある。

①「自分がやりたいこと」を深堀りする
この世の中に軋むように感じる「違和感」をヒントに、皆が理解できるレベルにまで落とし込み、そのイメージを描いていく。

②今できなくても、頑張りで結果は変わる
自分は頑張っていないと思うなら、もっと頑張ればいい。「ここまでやれば悔いはない」というところまで自分が鍛錬できれば、後悔なくチャレンジできる。

③「当たり前」を解体する
未来食堂を始めるにあたり疑問に思った「当たり前」は、「なぜ飲食店にはメニューがあるのだろう」ということ。メニューありきでは、お客様の望みを叶えようとするとメニュー数が膨れ上がり、用意する食材の数が増える。大切なのは「お客様が満足すること」である。それだけを考えると「ならメニューがなくても、お客様が何を望んでいるのか聞いてそれを調理すればいい」という考え方が浮かぶ。これが未来食堂のオーダーメイド『あつらえ』の発想原点である。

④問題点と恐怖を混同しない
ある問題が発生したとして、その対処は大事だが、対処した後、気の持ちようで解決することをくよくよ考えていても仕方ない。「やること」は何で、「覚悟すること」は何か。この2段階で考えると気持ちも整理できる。

⑤黒字であることを最低ラインとする
儲けは悪ではない。大きく儲けて大きく返せばそれでいい。儲けなくてもいいからといって赤字を出すよりも、利益の数%を社会寄付に充てた方がずっと合理的である。

⑥あるもので考える
「それではいけない」と思い込んでいるのは、お客様なのか自分なのかをはっきりさせる必要がある。未来食堂では、閉店後にお客様が来て、おかずがほとんど何も残っていない場合がある。そういう場合も、ご飯と作り置きのおかずや、梅干しだけでも、お客様が喜ぶのであればそれで良い。大切なのはお客様がそれで納得していること。

⑦必ずしも満点である必要はない
「15分待って、90点のおいしさのランチ」と「30秒待って、80点のおいしさのランチ」を比べると、平日日常のランチにおいて、お客様が価値をより感じるのは後者ではないか。求められているものをある程度用意できれば、それ以外の軸を磨いて、トータルで100点に近づければいい。

⑧時間を効率的に使う
新しいことを始めようと思っても、時間は有限である。どうでもいいことにエネルギーを割いて、本業に力を回せていないケースが多々ある。大事なこと以外は全くしないことで、時間を使えるようになる。

⑨「やらないといけないこと」の質を変える
人間は、一度慣習化してしまった「当たり前」に疑問を抱くことが大変難しい生き物である。