ルーキー・スマート

発刊
2017年5月10日
ページ数
316ページ
読了目安
425分
推薦ポイント 12P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

ルーキーならではの強みを活かして生産性を高める方法
時として、ルーキーは、ベテランに比べて高い成果を上げる。特に増え続ける情報、仕事のサイクルの加速、知識の使い捨てといった変化の激しい世界では、ルーキーの思考と行動パターンこそが求められると説く。

ルーキーの思考と行動で成果を上げられる

私たちの社会は長年、経験を至高のものと位置づけ、キャリアの頂点に上りつめた達成者たちが持つアイデアをありがたがってきた。しかし、知識が豊富なほど、学習しなくなるケースは多い。専門知識があるために、新しい可能性が目に入らなくなり、守りに入ってしまうのだ。

大規模な職場調査では、仕事の成果は、本人が積み重ねた経験の量より、周囲の人々のスキルや技能を活用する能力に大きく左右されるという結果が出ている。

知識とスキルの不足を埋めようとする「ルーキーに特有の思考と行動」には大きな価値がある。その思考と行動のパターンは、ベテランも学んだ方がいい。

ルーキー・スマートの思考と行動パターン

人がはじめて経験する課題に取り組む時、つまりルーキーの時によく示す思考・行動には、パターンがある。これを「ルーキー・スマート」と名付ける。このルーキー・スマートには4つのモードがある。

①バックパッカー
ルーキーは大抵、重荷を背負っておらず、失うものもない。だから新しい可能性を受容し、身軽に新しい世界を探索し、一途に行動できる。既存の成功パターンにはまり込まず、新しい現実に適した新しいやり方を見つけられる。

※バックパッカーになるための具体策
・素朴な問いかけをする
・過去をすべて「消去」する
・「モンキー・トラップ」を抜け出す

②狩猟採集民
ルーキーはどう行動すべきかわからず、ノウハウもほとんどないので、周囲の状況を理解しようと努めざるをえない。必然的に、周りで起きていることに注意を払い、他の人たちにアドバイスを求め、その結果として、目の前の課題に対処するためのアイデアや資源を得る。

※狩猟採集民になるための具体策
・ルーキーだった頃の自分を思い出す
・専門家のアドバイスを求め、専門家のネットワークを築く
・部下にメンタリングをしてもらう
・見知らぬ人と話す
・地図をつくる
・期間限定で誰かと仕事を交換する

③ファイアウォーカー
ルーキーは自信がないので慎重に振る舞う。と同時に、パフォーマンスを高めるために知識の不足を埋めようと素早く動く。慎重にして敏捷。

※ファイアウォーカーになるための具体策
・リスクを恐れないように、実験の場を決める
・現場で手を真っ黒にする

④開拓者
地図のない土地を、それもしばしば過酷な土地を進まなくてはならないルーキーは、状況にアドリブで対処し、最低限必要なものを確保するために奮闘し続けなくてはならない。また、潤沢な資源がないので、物事をシンプルにし、最も重要なニーズを満たすことに集中する。そうやって新しい領域を自分のものにし、後に続く人たちのために価値を生み出すことで、世界を広げていく。

※開拓者になるための具体策
・自分をあえて「資質不足」にする
・「半分エキスパート」になる
・常に自分を問題に縛り付ける

ポイントは、必要な時にルーキー・スマートの思考パターンを呼び覚ましたり、それに切り替えたりできるかどうかだ。

ルーキー・スマートの思考パターンはすべて、学習し、はぐくむことができる。ルーキー・スマートは、馴染みのない、居心地の悪い環境にあえて身を置くことで獲得しやすくなる。重要なのは、学びたいという意志を持ち、それを実行に移すことだ。