週末は、Niksen(ニクセン)。

発刊
2020年2月11日
ページ数
192ページ
読了目安
143分
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何もしないこと時間を持つことで心を安定させる
「ワーク・ライフ・バランス」で世界1位、世界幸福度5位のオランダ流のリラックス法「ニクセン」を紹介している一冊。何もしない時間をあえて作ることで、頭をリラックスさせ、心を安定させることができると説いています。

オランダのリラックス法

「何もしない」ことをオランダ語では「Niksen(ニクセン)」と言う。何もせず、何も生み出さないこと。義務感や生産性から自分を解放して、ボーッとすること。オランダ人の生活には多くのニクセンが溶け込んでいる。

このオランダ発のニクセンは、欧米のメディアで次々に取り上げられた。デンマークの「ヒュッゲ」(ほっこり楽しい時間)やスウェーデンの「ラーゴン」(何事もほどほどに)といった北欧のライフスタイルに代わる、オランダ発のリラックス法として注目され始めている。

 

オランダでも仕事のバーンアウト(燃え尽き症候群)が増えてきているので、「ニクセン」はその対処セラピーとしてコーチングなどで使われている。一番効果的なニクセンは、夜しっかり寝ることだが、昼間にも活動の後にちょっとしたニクセンの時間を設ける。その時間を捻出するため、まずはやらなければならない仕事を減らすことから始める。

 

何もしない。次の予定を考えたり、あれこれ悩んだりせずに、自分が抱えている問題を一旦脇に置いて、心を浮遊させる。毎日少しの時間でも、意識的に生産性や義務感から自分を解放すると、ストレスが軽減され、バーンアウトを防いだり、免疫力を高めたりする効果がある。

 

ニクセンは気軽に始められる

ニクセン上手に共通しているのは、人生のプライオリティをつけ、自分で自分の時間をコントロールしていること。働く時間を長くすれば収入も増えるが、それは「ここまで」と自分で線を引き、あとはニクセンできる時間を大切にする。そして、周りの目をあまり気にせず、「自分軸」を貫くこともニクセンには必要である。

 

典型的なニクセンの例は、窓の外を眺めること。仕事の合間に、窓の外を2、3分のぞくだけで、自律神経が整うという。環境が許すのであれば、ソファに寝転がってお気に入りの音楽を聞くのもニクセンである。タオルやショールを頭から被って、1分間でも外界から自分をシャットアウトして「何もしない」を強制するのも効果的である。

 

ニクセンは「何かをしながら」でもできる。ただし、その「何か」は頭を空っぽにして、心を浮遊させることでなければならない。皿洗い、掃除、洗濯物を畳む、庭仕事、植物に水をやるなど、ボーッとしながらできることや、集中力を必要としないウォーキングやサイクリングなども効果的である。つまり、自分にとって心地よく、楽しく、呼吸や心拍数が整って心の芯から休めるような工夫をすることである。

 

スマホから距離を置くこと

私たちが1日にスマホをチェックする回数は平均110回に及ぶといわれる。スマホ依存になってしまう原因と言われているのが、神経伝達物質のドーパミンである。友人の写真やコメント、「いいね!」などを認めると、その度に私たちの脳は快楽を感じる。身体はその快楽がどんどん欲しくなり、脳内にはドーパミンが分泌される。この繰り返しが依存状態を招く。

「常にコンタクト可能な状態でなければならない」「情報を逃してはならない」「メッセージやフィードにすぐにリアクションしなければならない」という心理的な圧力は、私たちに継続的なストレスを与える。そして、判断力が鈍ったり、感情抑制が効かなくなったり、意欲を減退させる原因となる。ちょっとした空き時間にすぐスマホを手にとってしまう人は、息抜きをしているつもりが、実は脳の負担を増やし続けている。

スマホを見ている時間のほんの一部でもニクセンすることにあてれば、心身が安定し、ひらめきが生まれ、人生はもっと充実する。スマホやタブレットを脇に置いて、目まぐるしい世間の動きから距離を置いてみると、突然、自分が取り残されたような、心許ない不安な気持ちが押し寄せるかもしれない。でも、私たちは実は、自分自身がいる限り孤独ではない。むしろ、スマホを閉じて1人になってみると、自分とゆっくり向き合う時間があまりにもなかったことに気づかされる。

孤独な時間は、格好のニクセンタイムである。この時間を楽しむことができれば、孤独はもう怖いものではない。