日経テクノロジー展望2017 世界を変える100の技術

発刊
2016年10月22日
ページ数
336ページ
読了目安
457分
推薦ポイント 8P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

2017年以降に実用化が進むテクノロジー
2017年以降に実用化が進む100のテクノロジーをわかりやすく紹介している一冊。テクノロジーによって変化する社会を考えさせます。

チャットボット

ボットはロボットの略で、あたかも人間のように仕事をこなしてくれるコンピュータープログラムを意味する。チャットボットとはチャットをするボットのこと。これを使えば、ネット店舗で商品を選ぶ場合、店員と対話ができ、質問をしたり意見を聞いたりできる。2017年以降、チャットボットの利用は普通になっていくだろう。

においセンサー

においセンサーの用途は主に健康管理分野が考えられる。呼気を始め、人体が発するガスからは、癌など様々な疾患を把握できる。センサーを高機能にすれば、人の嗅覚では検知できない成分の違いから、疾患を見つけられる可能性がある。スマートフォンやウェアラブルデバイスと組み合わせてセルフ健康チェックをしたり、薬局などに置いて手軽に健康チェックできるようになる。

生体埋め込み機器

生体情報は微細な電気信号であるため、ウェアラブル機器を使って体の外側から計測することは難しい。そこで、体の内側に埋め込む「インプラント機器」が登場する。これは生体情報の計測に加えて、神経などを刺激し、発作を抑えるなど、人の活動を支援する役割も持つ。

3Dプリンター

課題として実現できる部品の大きさや材質の制約、造形時間の長さがあったが、2017年は特に業務向けを中心に、これらの課題を解決するような装置の登場や活用が進むだろう。構造材などの工業用途だけでなく、医療や建築、食品といった用途に向けた実用化も進んでいる。例えば、リコーは、細胞をインクジェットヘッドから吐出する方式のバイオ3Dプリンターを開発中である。細胞を3空間上に自由に配置して組織モデルを構築するバイオ3Dプリンターは、再生医療や創薬での活用が期待されている。

自動運転

運転者に代わって車が自分自身を操縦する技術。自動運転の究極の目標は運転者が介在しなくて済む完全自動運転だ。2020〜2021年にシステムがすべての運転操作を制御するレベルの自動運転を実用化することを目標として掲げる企業が増えてきている。その筆頭のグーグルは2020年前後に完全自動運転車の実用化を目指すとしている。

再利用可能ロケット

これまで使い捨てにしていた、高価なエンジンを搭載するロケット本体を地上で回収して再利用する。打ち上げコストを劇的に下げられる可能性があり、実用化されれば、企業の研究開発や個人旅行も身近になり、新たな宇宙時代が始まるだろう。アマゾンCEOのジェフ・ベゾス率いるブルーオリジンと、テスラ・モーターズCEOのイーロン・マスク率いるスペースXは、すでに再利用可能ロケットの回収実験を成功させている。

免疫チェックポイント阻害薬

一昔前まで、医薬品といえば化学的に合成された物質を用いるのが一般的だったが、ヒトゲノムの解析など生命現象の解明が進むにつれて、生理活性蛋白質や抗体といった生体分子を用いたバイオ製品が登場してきた。抗癌剤「オプシーボ」も抗体を用いたバイオ医薬品の1つで、癌細胞が免疫反応から逃れる仕組みを妨げることで、患者自身の体が持つ免疫力により、癌細胞を攻撃できるようにする。

腸内細胞の利用

医薬品の投与前に効く人と効かない人を見分けるバイオマーカーの探索が重要な研究課題として浮上している。手がかりの1つが腸内細菌だ。食事として取った様々な物質に常にさらされている腸には、その物質を免疫反応で排除すべきか、体に必要なものとして免疫反応を起こさないようにすべきかを調節する高度な仕組みが備わっている。腸内細菌が、癌に対する免疫力の調整にも何らかの形で関与している可能性がある。

ゲノム編集

CRISPR/Cas9は、ゲノムの目的に特定の遺伝子を挿入したり、特定の遺伝子の働きを停止したりといった操作を、簡便、迅速、高効率に実施する技術だ。ゲノム編集と呼ばれるこの技術の登場で、自分の細胞を取り出し、特定の遺伝子だけを改変して体に戻す、といった遺伝子治療がより簡便かつ確実に行えるようになるとみられている。

AI(人工知能)

AIとは、コンピューターを使って人間の知能と同等あるいはそれ以上の機能を実現しようとする取り組みの総称である。その応用については、いくつかの領域に分けられる。写真や映像を認識する「画像認識」、音声を理解して文章に変換する「音声認識」、文章を理解して受け答えする「自然言語処理」、膨大なデータから将来の出来事を予測する「予測分析」はいずれもAIに含まれる。コンピューティングの向上と低価格化が後押しになり、応用範囲を明確にすれば、AIが人間を超える精度と速度で認識と判断ができるようになってきた。

VR(仮想現実)

VRは三次元コンピュータグラフィックスを使って、あたかも現実のような世界をコンピュータ上に再現する技術。ここへ来て、利用者の頭部に装着するゴーグル型装置HMDが登場、よりリアルな体験が可能になってきている。ゲームや動画鑑賞など消費者向け以外に、建築土木や設備保守、運転などのシュミレーターなど、様々な分野でも応用が期待されている。

AR(拡張現実)

現実の風景の中に仮想的な物体やネット上の情報などを重ね合わせて表示するのがAR技術。ARもVRと同様にビジネス分野への利用に関心が高まる。VRが現実と異なる新たな世界を生み出すのに対して、ARは現実に様々な情報を追加して世界に新たな意味を追加する。実際に存在する店舗の映像に仮想的な商品を陳列したり、実際の風景に建物のCGを重ね合わせるといったことが可能だ。HMDによるVRと実写映像と組み合わせて、さらに現実感を高めたMR(複合現実)技術も出てくる。