第四次産業革命 ダボス会議が予測する未来

発刊
2016年10月15日
ページ数
236ページ
読了目安
317分
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これから予測されている未来
ダボス会議(世界経済フォーラム)の創設者として世界の経済と政治を40年間にわたって観察しつづけてきた著者が、来るべき第四次産業革命を解説している一冊。

第四次産業革命とは何か

私たちは第四次産業革命の入り口にいる。第四次産業革命は、今世紀に入ってから始まり、デジタル革命の上に成り立っている。第四次産業革命を特徴づけるのは、これまでとは比較にならないほど偏在化しモバイル化したインターネット、小型化し強力になったセンサーの低価格化、AI、機械学習である。

第四次産業革命は、相互接続されたスマートな機械やシステムのことだけに限定される話ではない。今、遺伝子配列解析からナノテクノロジー、再生可能エネルギー、量子コンピューターに至る分野で新たなブレークスルーの波が同時に起きている。第四次産業革命がこれまでの産業革命と異なるのは、これらのテクノロジーが融合し、物理的、デジタル、生物学的各領域で相互作用が生じたことである。

第四次産業革命ではエマージングテクノロジーと幅広いイノベーションが、これまでの産業革命をはるかに凌駕する速度と範囲で普及している。世界の一部では、これまでの産業革命が未だに進行中のところもあるにもかかわらずだ。第四次産業革命は過去の三度の産業革命と全く同じように強烈で、影響が大きく、歴史的にも重要なものになる。

メガトレンド

新たな変化やテクノロジーにはすべて、1つの重要な共通する特徴がある。それは、デジタル化と情報テクノロジーの浸透力を活用していることだ。第四次産業革命の技術的な推進力の大まかな特徴は、物理的、デジタル、生物学的の3つに分類される。これら3つともすべて深く相互に関連し合っており、様々なテクノロジーがそれぞれでの発見や進歩に基づき恩恵を受け合っている。

①物理的なメガトレンド
物理的な技術のメガトレンドは、「自動運転車」「3Dプリンタ」「先進ロボット工学」「新素材」という主に4つの形で現れている。

②デジタルなメガトレンド
IoT、すなわちモノやコト(製品、サービス、場所など)と人間とを結びつけるコトが、様々なプラットフォームと関連技術により可能になった。物理的世界にあるモノやコトをバーチャルネットワークに接続するためのセンサーやその他の多くの手段は、驚くべきペースで拡大している。

③生物学的なメガトレンド
ここ数年、遺伝子配列解析のコストとハードルの低下、遺伝子の発現の制御や、遺伝子情報の編集といった分野でかなりの進展が見られた。次のステップは、合成生物学だ。合成生物学により、DNAを書き換えて臓器をカスタマイズすることができるようになる。

第四次産業革命の影響

①経済への影響
巨大で多面的な性質ゆえに、重要なマクロ変数(GDP、投資、消費、雇用、貿易、インフレなど考えられるすべて)は残らず影響を受けるだろう。

②企業への影響
第四次産業革命を支える技術そのものが、企業の経営、組織体制、リソースに大きな影響を及ぼしている。企業の平均寿命と、新規参入企業が市場を支配し、大きな売上目標を達成するのに要する時間は短くなっている。

③社会への影響
第四次産業革命の進展によって、さらに不平等が拡大する可能性がある。ロボットやアルゴリズムにより、労働力ではなく資本の必要性が高まる一方、投資には大きな資本をあまり必要としなくなっている。かたや労働市場では求められる技術的スキルセットに偏りが生じ、世界的に統合されたデジタル・プラットフォームや市場は少数の「スター」に桁外れの報酬をもたらしている。

④個人への影響
プライバシーの意味、所有の概念、消費パターン、労働と余暇に費やす時間、キャリア形成、スキル開発など、多種多様でアイデンティティや関連する多くの側面に影響がある。