限界国家 人口減少で日本が迫られる最終選択

発刊
2017年6月13日
ページ数
272ページ
読了目安
310分
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外国人の受け入れこそが、人口減少への唯一の対応策だ
これから日本の人口は年間100万人近いペースで減少し、2060年には9000万人になる。高齢化も進み、現時点での打開策は、外国人の受け入れ以外にないと説く。

人口減少は加速度的に進んでいく

現在の日本はまだ人口減少の入口にたったばかりに過ぎない。2015年1年間の日本人の人口減少は27万1834人と過去最大となった。今後、人口減少は恐ろしいほど加速する。人口減少は、2010年代には273万人、20年代には620万人、30年代には820万人、40年代には900万人、50年代には910万人と予測されている。10年の間に1千万人近い人口が減少すれば、単に経済問題を超えて、社会の土台を形成する様々なシステムに影響を与え続ける。あらゆる既存のシステムは見直しを迫られ、日本はすべての面で急速に縮小し、国の仕組みそのものが大きく変わることが予測される。

日本の人口減少の恐ろしいのは、単に総人口が減るだけではなく、高齢者が増加する一方で、若者、子供が急減する点だ。65歳以上の高齢者人口は既に3461万人と、総人口の27.3%となっている。現在では元気な高齢者の活躍が目立つが、80歳を超えれば日々の暮らしに他者の助けを必要とする高齢者が大半だろう。80歳以上の人口は1000万人を超えており、2030年には1571万人にまで増加すると予測されている。

高齢者の増加で年金制度も崩壊する

高齢者の状況が逼迫するのは将来の話ではない。高齢者の介護の現場では既に限界が迫っている。介護人材は慢性的に不足しており、今後さらに深刻化する。2025年度に必要な全国の介護職員は253万人に上るが、38万人の不足が発生すると予測されている。

働き手となる生産年齢人口の減少が今後も続けば、我々の年金制度も維持できなくなる。今後、保険料を負担する人は減る一方で、高齢化によって年金受給者は増え続ける。年金のための金を払う人をどう増やすか、という回答を出さない限り、我々の年金の目減りは果てしなく続く。日本人口の減少が続く以上、外国人材の定住化以外に方法がない。研究によれば、外国人の定住化は、年金制度に大きなプラスの影響があることが明示されている。

外国人の受け入れは経済的にプラス効果をもたらす

人口減少の厳しさが増しているとはいえ、外国人の受け入れに対しては国内の警戒感が根強い。研究によれば、外国人労働者の受け入れは、日本のGDPを大きく引き上げる効果を持つ。GDPの引き上げ効果は、受け入れ数が120万人の場合1.6%(8兆円)、300万人の場合3.8%(20兆円)、1000万人の場合13.4%(71兆円)との結果が出た。また受け入れの経済的インパクトは、介護などの第3次産業の方が大きいという結果となった。医療、金融保険、卸売小売、建設などでは特に大きなプラスの効果がある。また当然、高技能の外国人労働者の受け入れの方が経済的効果は大きい。

「限界国家」脱出プラン

政府が移民に対して神経質になっているのは、合理的な理由というより、国民の間に広がっている情報不足による移民政策への反発と、現在の中国・韓国との緊張関係による一部のナショナリスティックな反応を気にしているせいと言える。しかし、いつまでも「移民政策作り」を先延ばしにしておいて良いのか。安心・安全な外国人受け入れ法として、次の3つの政策が望ましい。

①入国割当政策
日本としてどこの国から、何人、どのような移住者に来てもらうかを決定する。ポイントは3つ。「小規模から始めて段階的に拡大する」「親日的な国に限定する」「ふさわしい人材の基準を設ける」。

②ソフトランディング政策
受け入れた移住者が日本で活躍できるための、様々な体制を整える。高い日本語能力を持っていたり、納税額の多い外国人には、永住申請までの期間短縮などのインセンティブを設ける。

③多文化パワー政策
受け入れ側の日本人自身が、移民に対して正しい知識や理解を持ち、彼らと交流し、ウィンウィンの関係を構築する。前提として、在住する外国人に対し「日本はあなたがたを歓迎します」という明確な意思表示を行う。