LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする

発刊
2020年1月23日
ページ数
504ページ
読了目安
683分
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優れたイノベーションを生み出す組織の作り方
起業家であり、物理学者でもある著者が、熱力学の「相転移」の考え方をもとに、組織の集団行動の変化を解説。様々な事例をもとに、イノベーションを育むために必要な組織マネジメントのルールを紹介しています。

組織も相転移する

最も重要なブレークスルーは「ルーンショット」、即ち誰からも相手にされない、一見ばかげたアイデアやプロジェクトから生まれる。そうしたブレークスルーをテクノロジーや製品や戦略に転換するには、大規模な集団が必要である。チームや企業など、何らかのミッションを持つ集団の行動に相転移の科学を当てはめることで、ルーンショットを素早く上手に育てるための実践的ルールが明らかになる。

同じ人から成るチームや企業の振る舞いが突然変わる。同じ人物が保守的な振る舞いでプロジェクトを潰すこともあれば、起業家として皆の先頭で旗を振ることもある。同じようなパターンは「相転移」と呼ばれる一風変わった物質現象の本質でもある。同じ分子が時に液体のように、時に個体のように振る舞う。多は異なり。物質の相は変化する。相がわかれば、突然変化する理由だけでなく、その変化をどう制御すれば良いかもわかる。

ルーンショットを生み出す法則

天才起業家がそのアイデアと発明によって長期帝国を築くという神話がまかり通っている。だが本当の意味で成功する起業家は、もっと謙虚な役割を演じる。彼らは個々のルーンショットを支持するというより、多くのルーンショットを育てるための優れた「構造」をつくる。先見性あるイノベーターというより、注意深い庭師に近い。ルーンショットとフランチャイズの両方に目を配り、一方が他方を支配することがないよう、それぞれが相手を促進・支援できるよう心がける。こうした庭師が築く構造は共通の原理を備えている。これを「ブッシュ・ベイル ルール」と呼ぶ。

①相分離を実行する
・アーティスト(リスクの高いアイデアを出す者)とソルジャー(成功を収め、堅実に成長している部分を担当する者)を分離する
・「相」に合わせたツール(手段)を用意する
・死角に注意する。P(製品)とS(戦略)両タイプのルーンショットを育てる

②動的平衡を築く
・アーティストとソルジャーを平等に愛する
・テクノロジーそのものではなく、トランスファー(行き来)を管理する(モーゼではなく庭師に成る)
・橋渡し役となるプロジェクト推進者を任命・育成する

③システムマインドを育む
・組織がその選択をした理由を問い続ける
・意思決定プロセスの改善方法を考え続ける
・結果重視のチームにシステムマインドを植え付ける

相転移後の停滞や低迷を防ぐこと

動的平衡:強 × 相分離:強 = ブッシュ・ベイル バランス
動的平衡:強 × 相分離:弱 = カオス
動的平衡:弱 × 相分離:強 = 罠(強制or放置)
動的平衡:弱 × 相分離:弱 = 停滞

停滞している組織を適度に分離し、均等な力を持つルーンショット集団とフランチャイズ集団(相分離)が、プロジェクトやアイデアを双方向に継続的に交換している(動的平衡)状態に移行させることが重要である。

4つ目のルール

組織には臨界規模(マジックナンバー)がある。規模がそれ以上になると、プロジェクト重視から政治重視へバランスが変化する。この閾値以下だと、全社員がルーンショットを生み出そうと奮闘するが、閾値を超えると自身の昇進の重要性が高まり、政治がいきなり顔を出す。ルーンショットは軽んじられ、フランチャイズがもてはやされる。

M=ES*2F/G

M:マジックナンバー、E:エクイティ比率、S:マネジメントスパン、F:組織適合レベル、G:給与アップ率

典型的な集団構造の場合、マジックナンバーはおよそ150だ。政治重視の相にとらわれた150人を超える集団は、その構造を修正することによって、ルーンショット重視の相を取り戻すことができる。

参考文献・紹介書籍