デジタルレイバーが部下になる日

発刊
2018年2月16日
ページ数
200ページ
読了目安
199分
推薦ポイント 2P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

ホワイトカラーの生産性を高める仕組み
働き方改革を実現するための本命ともいわれるRPA。ホワイトカラーの業務を自動化するRPAをどのように導入すれば良いのか、その考え方を紹介している一冊。

デジタルレイバーとは

デジタルレイバーとは、具体的に請求書の発行やメール処理を行ってくれるソフトウェアで作られたロボットそのものを指す。ソフトウェアといっても、WordやExcelなどのような、人間にとってのツールではなく、人間の業務に寄り添うよう部下のような存在である。デジタルレーバーは、マニュアルや業務手順を設定さえしてしまえば、まるで人に依頼するように「マニュアル通りにこの書類を作っておいて」「請求書を発行しておいて」と「頼む」ことができる。

第4次産業革命で生まれたデジタルレイバーたちは、人間に取って代わる存在ではなく、サポートしてくれる部下のような存在になり得る。人間がこれまでかけてきた時間を使い、デジタルレイバーに張り付いて監視する必要もなくなるため、空いた時間を他のことに使うことができる。

RPAとは

RPA(Robotic Process Automation)とは、デジタル技術を活用し、主にホワイトカラーの業務領域で業務の効率化を図り、生産性の向上を図ることを指す。例えば、これまでは人力で行っていた請求書の発行やメール処理を自動化することが挙げられる。

オフィスワークでは、情報の発生と、その情報を集め、集約して、適時その情報を提供する流れを作っていると言える。この「情報作り」の生産現場は、情報の発生以降、入力・結合・検索・出力・照合・通知のステップを組み合わせながら、ルールに基づいた条件分岐をかけている一連の流れといえる。そこに「モノ作り」のような一連の流れを示す設計図があれば、まるで生産現場のようにオフィスワークの自動化ができる素地が生まれる。

RPAの機能

入力・結合・検索・出力・照合・通知を組み合わせながらルールに基づいた条件分岐をかける一連の流れを明確化した時、RPAは7つの機能を通じて、人の行っていた業務を補完する。

①項目指定&操作
Webページにある「次へ」のボタンをクリックする、ウィンドウを閉じる、決められた範囲を選択するなど

②入力
IDやパスワード、氏名やメールアドレスなど、文字を記憶し、自動で入力する

③コピー&ペースト
WebサイトからExcelへのデータ転載など

④繰り返し
あるWebサイトを1時間に1回チェックする、Excelのあるデータをコピー&ペーストし続ける

⑤メール
メールの操作

⑥条件分岐
「もし〜だったら」という条件をつけて次の行動を指示できる

⑦コマンド実行
Windowsの「コマンドプロント」を使い、文字でパソコンを制御したり、周辺環境を確認したりする

1つ1つはシンプルだが、これらのステップを上手に組み合わせることによって、これまで人が行ってきた業務を代替することが可能になる。

RPA導入のメリット

RPAは、これまで人間が考えてきたムリ、ムダ、ムラの発想や着眼ポイント、物事の優先順位付けを再定義する機会を提供することができる。その契機となるのが、連続して24時間365日、クライアントパソコンを介さず、サーバーサイドでタイマー設定の上、自動で実行できることが挙げられる。従って、この機能を通じて、作業を自動化、即ちRPA化するだけにとどまらず、業務の流れ、仕組みそのものをRPA化することができる。

デジタルレイバーを導入するとは、ワークスデザインすることである。そのデザインにあたって最初にすべきことは、現在の業務の棚卸しである。普段の仕事を最低でも部署単位で洗い出し、どこをデジタルレイバーの仕事として切り出せるかを見極め、ルーティンワークを人からデジタルレイバーに代替していくのが最も重要になる。

参考文献・紹介書籍