伝説のハッカーが教える 超監視社会で身をまもる方法

発刊
2018年2月16日
ページ数
432ページ
読了目安
646分
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推薦者

最高にセキュリティを高める方法
伝説のハッカーが、超監視社会において、いかに政府当局からも突き止められずに、身元を消すかを紹介している一冊。おそらく麻薬の密売人や国家機密を持つスパイの人たちに有効な方法が紹介されています。

監視社会におけるリスク

私たちの細かな個人情報の多くは、大抵、本人が気づかない内に収集・蓄積されている。他人がどれほど簡単にこうした詳しい情報をのぞき見ることができるかや、どこを見ているのかさえ、知らない人がほとんどだ。そして、自分が知らないからこそ、別れた妻や夫、親、学校、上司、政府にさえも、見られていない気でいられる。問題は、どこを探せばいいかを知るだけで、ほとんど誰にでも、そうした情報が丸々手に入ってしまうことだ。

今、私たちが手にしているプライバシーは幻だ。おそらく、数十年前に幻になった。デジタル監視が行われている国で暮らすのが危険なわけは、データ収集そのものにではなく、収集されたデータの使い道にある。自分には隠すことなどないと思っているかもしれないが、アメリカでは、小さなロブスターを持っているというだけで連邦犯罪になる。実際には無視されている地味な法律がいくつも存在し、知らない内にそれを破っているかもしれない。一方で、今の時代、ほんの少し手間をかけてデータの痕跡をたどるだけで、望めば誰にでも、そうした法律違反が証明できてしまうのである。

「不可視」の技術

正当な理由で、身元を隠しながらインターネット上で誰かと連絡を取ったり、ウェブサイトを閲覧したり、それ以外のテクノロジーを使ったりする必要に迫られることは十分にあり得る。インターネット上で「不可視」でいるためには、人によって必要性に差はあるが、実際の自分から完全に切り離した別の人格を作らなければならない。そのためには、匿名の人格として行動する時にだけ使う専用のパソコンなどを買うことになる。あるいは、今使っているノートパソコンのデスクトップ上に仮想マシンをつくってもいい。

匿名でウェブを使う時、専用のノートパソコンを別に買うことが、身元を隠すための第一歩となる。本名のメールアカウントをチェックするなどで、10億分の1秒でも間違ったことをすれば、匿名の人格は崩壊する。

新しいパソコンを買う時は、インターネットではなく実店舗で、現金で買うこと。これなら、購入記録から身元を特定されることはそうそうない。他にも、新しいノートパソコンには固有のMACアドレスを割り当てられた無線ネットワークカードがついているので、注意が必要だ。何かの拍子にオリジナルのMACアドレスが流出して、無線ネットワークカードから身元を特定される危険は避けたい。

新しいパソコンには、テイルズ(フォレンジック技術で復旧できるデータをHDDに一切残さずに使えるOS)とTor(IPアドレスを隠すため、中継点をいくつか経由して通信を行うプログラム)を両方ともインストールするべきだ。元のOSとブラウザは使わない方がいい。

また、本名や本当の住所などを登録したサイトやアプリにログインしてはいけない。本物の身元を使ってウェブサイトやアカウントを利用することは、非常にまずい。また、銀行などのサイトは不正対策のため、利用者の痕跡を記録する装置を常に稼働させている。これによって、匿名のコンピューターで同じサイトを訪れれば、それがあなたのものだと判明してしまう。

自宅で匿名のノートパソコンを立ち上げる時は、事前に無線ルーターの電源を切っておくのが一番だ。匿名のノートパソコンを家のルーターにつなげば、インターネット・プロバイダーにMACアドレスが伝わる。そのため、自宅のルーターは常に自分で買ったものを使い、すべて自分で管理できるようにするのが一番いい。

公衆無線LANを探したりする前に、まずは身元を隠してプリペイドカードを買い、支払いに備えよう。但し、プリペイドカードを売っている店のレジや情報端末には、監視カメラがあるので、最大限の注意が必要だ。道端にいる人を適当に選んで金を渡し、カードを買わせて、店から十分に離れた場所まで届けてもらうといい。