ブランディングの科学 誰も知らないマーケティングの法則11

発刊
2018年7月6日
ページ数
312ページ
読了目安
540分
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これまでのマーケティングの常識を疑え
従来のマーケティング理論や常識を覆し、新しい視点からマーケティングやブランドの育成方法を提案している一冊。

広くライトユーザーに認知させよ

①マーケットシェアは認知度が上がることで、つまり、いかなるタイプの購買客であれ、その数が増えることで成長する。その多くがブランドをたまにしか買わないライトユーザーである。

②ブランドは、多少の差別化のポイントはあっても、その多くがまるで類似製品のように競合し合っている。しかし認知度には差が生じている。

③ブランドが競合しあい成長すると、市場を基盤とする大きな2つの資産が根付くことになる。フィジカル・アベイラビリティ(購買機会の高まり)とメンタル・アベイラビリティ(ブランド想起の高まり)だ。多くの場合、消費者が購買しやすいブランドほどマーケットシェアは大きくなる。そして革新と差別化がうまく機能すると市場に資産が形成される。それは先行製品を競合製品が模倣した後も永続する。

従って、マーケターは自分の担当する製品が目立つようにブランディングを改善し、ライトバイヤー広く効率よく継続的にリーチする必要がある。

市場浸透率を高めることがブランドを成長させる

マーケットサイズが大きく異なるブランドは、平均購入回数にそれほど差がなくても、その市場浸透率が大きく異なる。ブランドロイヤルティに大きな差はない、とも言える。

売上が低いブランドは、ブランドの購買客数が少ない上に購買頻度も低いという2重苦を背負っているためである。ブランドはまず市場浸透率を上げてから成長する。ブランドを成功に導くための戦略は、市場浸透率を伸ばすことである。

但し、この法則は、マーケットシェアの割には非常に小さい顧客基盤と非常に高いブランドロイヤルティを持つニッチブランドには成立しない。ニッチブランドの数は一般に考えられるよりもはるかに少なく、私たちが考えるほどニッチではない。

既存顧客の維持よりも新規顧客の獲得に注力せよ

顧客の維持と新規顧客の獲得のどちらにマーケターは力を入れるべきか。今日のマーケティングの教えでは、顧客維持は新規顧客獲得よりも低コストで実施可能であるとされている。

しかし、離反率を永久に下げることは現実的には困難であり高い費用を伴う。ブランドの離反率はマーケットシェアとそのブランドが属しているカテゴリーの関数である。この離反率が競合し合うブランド間で大きく変わることはない。顧客離反率は、マーケットシェアが大きいブランドの方が低い。つまり、マーケットシェアの大きいブランドほど、ロイヤルティが高い。

多くのサービス業界の顧客離反率は、3〜5%が通常であり、顧客離反率をゼロに抑えることができたとしても、それによる増収はわずか数%である。あらゆる市場で、新規顧客獲得が売上を伸ばす可能性は、顧客離反を防ぐことよりも圧倒的に大きい。

ライトユーザーが売上の半分をもたらす

すべてのブランドが多くのライトユーザーを抱えている。そして、ブランドの売上の約半分は、ライトユーザーからもたらされる。なぜ、ライトユーザーは頻繁に買わないのか。それは彼らがそもそもそのカテゴリー自体での購入頻度が少なく、かつ彼らは他のブランドも購入しているからだ。

ヘビーユーザーに注力するという戦略は、彼らの現在の個人消費が今後も継続して将来の売上に貢献することが期待できない限り、確実性に欠ける。

通常、マーケティングが成功して売上やシェアが伸びている時、そのブランドは、今まで以上に多くのヘビーユーザーとミディアムユーザーを獲得し、それ以上に多くのライトユーザーを獲得する。これは、ブランドの成長を継続的に維持していくためには、マーケティング戦略が最終的にはそのカテゴリー全体の消費者に到達しなければならないことを意味している。マーケティングは、ライトユーザーとノンユーザーにリーチできた時に最も成功する。