0ベース思考—どんな難問もシンプルに解決できる

発刊
2015年2月14日
ページ数
280ページ
読了目安
342分
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何でもゼロベースで考えてみること
偏見や既成概念にとらわれずに考えることが大切である。シカゴ大学経済学部教授が、問題解決のためのシンプルな思考法を紹介しています。

何でもゼロベースで考える

最近の風潮として、問題を解決する方法には「正しい」方法と「間違った」方法があるという思い込みを持つ人が増えている。こういう考え方でいると、言い争いが増えるし、解決できるはずの問題も解決できなくなってしまう。

現代社会では、違う角度から、違う筋肉を使って、違う前提で考える。ひねくれた不信ももたずに素直な心で考える。つまり、フリークみたいに考える必要がある。フリークみたいな考え方をする人が少ないのには3つの理由がある。

①政治的、思想的、その他のバイアスのせいで、偏った先入観をもってしまいがちだから。どんなに聡明な人でも、新しい情報を積極的に取り入れて確かな現実感覚を磨くより、自分が元々持っている考えを裏付けるような情報ばかり探そうとする。

②皆と同じ事をするのは楽だから。どんなに重要な問題についても、友人や家族や同僚の意見に合わせるだけの人が多い。でもいつも皆と同じでいると、つい現状に満足して、新しい考えを取り入れようともせず、考える事まで人任せにしてしまう。

③大抵の人が忙しさにかまけて、ゼロベースで考え直したり、物事をじっくり考える事すらしなくなっている。

知ったかぶりをしない

脳を鍛え直し、大小問わずいろいろな問題を普通とは違う方法で考える事ができれば、もの凄く得るものが大きい。最初の一歩は、何かを「知らない」という事を恥ずかしく思わない事だ。自分が何を知らないか認めない限り、必要な事を学べるはずがない。

ある問題を引き起こした本当の原因を「知る」のは、とてつもなく難しい場合がある。さらに将来を予測するのは、それに輪をかけて難しい。それなのに世の専門家は、未来がどうなるかは大体わかっていると言う。予測が特に外れがちな人は「独断的」、つまり何かが本当かどうかを知らないのに、何が何でも本当だと思い込むような人だ。研究によれば、識者らは予測が大外れに終わった時でさえ、「圧倒的に自信過剰」な事が多かったという。

誰もが意外に知らないのは、世の中の事だけじゃない。自分の事さえよくわかっていないのだ。自分にはもの凄い能力があると思い込んで、知らない事を知らないと認めずにいると、案の定ろくな事にならない。

少なくとも個人にとっては「知りません」と白状した時のダメージの方が、知ったかぶりして間違いが判明した時のダメージより大きい。しかし、答えを知らないと白状して、まぬけだとか負け犬だとか思われたくない。知ったかぶりをしたいというインセンティブはとても強い。

物事が当り前と思われるようになるのは「あと」になってから、つまり誰かが時間と労力をかけてそれを調べ、その正しさを証明してからだ。知らないはずの答えを知っているかのように振る舞うのをやめなければ、調べたいという強い思いも湧いてこない。

子供のように考える

アイデアを捻りだしたり、質問をしたりする時、8歳児みたいな考え方をするのは、とても実り多い事がある。子供がするような質問は、へんてこだったり、たわいもなかったり、とんでもなかったりする。でも子供はあくなき好奇心を持っていて、それほど偏った見方をしない。知っている事がとても少ないから、物事のありのままを隠してしまう先入観を持たない。問題を解決しようとする時、これが大きな強みになる。

子供はどんなに無茶なアイデアだろうと、臆せずに口にする。良いアイデアと悪いアイデアさえ区別できさえすれば、たくさんのアイデアを思い付くのはいいことだ。だから問題を解決しようと思ったら、子供心を解き放つ事は大きな成果につながる事がある。すべては小さく考える事から始まる。

フリークみたいに考えるとは、大きくではなく、小さく考える事だ。大きな問題というのは自分よりずっと利口な人たちが考え抜いてきた問題だ。そういう問題は扱いにくく、絶望的に複雑だ。大きな問いを立てるより小さな問いを立てた方がいい。

楽しむ、小さく考える、わかりきった事でも臆せず言ってみる。こういう子供っぽさを忘れずにいた方がいい。