Love the Problem 問題に恋をしよう ユニコーン起業家の思考法

発刊
2024年3月15日
ページ数
472ページ
読了目安
753分
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ゼロから成功するサービスを生み出すための思考法
2社のユニコーン企業を作り出した連続起業家である著者が、これまでの起業における成功と失敗から学んだノウハウを詰め込んだ一冊。

いかにユーザーに求められるサービスを作ればいいのか、これまでの経験と事例をもとに起業家にとって役立つ内容が書かれています。スタートアップを立ち上げるにあたっての原理原則となることが書かれており、なぜスタートアップがイノベーションを起こせるのかの一端を理解することができます。

解決策ではなく問題から始める

スタートアップの多くは、似たようなはじまり方をしている。まずは何かに不満を感じ、それから、他の人たちも同じ不満を感じていることに気づき、その不満を和らげる方法を探していく。「問題」の存在を教えてくれるのはいつも不満だ。その後で、それが大きな問題かどうか、つまり解決に値する問題かどうかを見極める。非常に大きな問題を解決したら、たくさんの価値が生まれ、成功できる。

 

まずは問題を見つけることから始めること。次に「その問題を抱えているのは誰か?」を考える。その問題を抱えている人がたくさんいるなら、その人たちのところへ行って話を聞き、問題をどのように「認識」しているのかを理解する。解決策を作るのは、それからだ。解決策から始めると、誰にも気にかけてもらえないものを作ってしまう危険がある。多くのスタートアップが消える理由は、PMF(プロダクトマーケットフィット)を達成できないからだ。PMFを達成できない理由は、問題ではなく解決策にばかり目を向けているからだ。

 

問題から始める理由は、価値を生み出せる可能性が高くなる以外にもたくさんある。1つは、起業家が紡ぎ出すストーリーが、ずっとシンプルで人の心を掴むものになるからだ。ストーリーを聞いた人は、起業家が抱く不満を理解し、共感してくれるようになる。

 

早く失敗する

スタートアップの立ち上げは本質的に失敗の旅だ。起業家はこれまでに誰もしたことのないことをしようとしている。うまくいく道のりを見つける可能性を高めるには、単純により多くのことに挑戦するのがベストだ。そして、より多くのことに挑戦するには、早く挑戦して、早く失敗するのがベストだ。そうすれば、次のことに挑戦するのに十分な時間とランウェイを確保できる。

 

失敗の旅はいつでも、PMFを達成することから始まる。PMFが見つかれば、成功への道を進んでいる。見つからなければ死んでしまう。旅の各工程で、最も重要になるのは、どれだけ早くリカバーできるかであり、早くリカバーするには、早く失敗しなければならない。次のアイデアやコンセプト、テーマへの挑戦に向けて、どれだけ早く持ち直すことができるか。この「早く失敗する」手法を取り入れる起業家は単純に成功の機会が増える。

PMFが見つからないか、ユーザーが「その問題は本質的ではない」「あなたが生み出そうとしている価値は重要ではない」と言っている場合には、ピボットすべきだ。前提とする仮説を考え直すことが必要になる。

 

PMFを達成するか死ぬか

PMFを達成すれば、バリュープロポジションが見つかり、プロダクトはそれ以上変化しない。バックエンドでの変更はあるかもしれず、ビジネスモデルが作られ、スケーラビリティの可能性は山ほどの開発を必要とするが、価値創造は変わらない。

 

PMFの唯一の指標となるのは、ユーザーが留まっているかどうか、つまりリテンションだ。ユーザーが戻ってくれば、PMFは達成されている。B2Cでは純粋にユーザーの継続に目を向ける。今月初めてプロダクトを使い、3ヶ月以内に戻ってきたユーザーを数える。B2Bでは、追加で購入してくれた顧客に目を向ける。つまり、年間契約の更新や契約範囲の拡大だ。B2Bでは、新規顧客による初めての購入ではなく、同じ顧客による追加の購入が重要になる。

 

リテンションを高めるポイントは次の2つだ。

  • ユーザーのファネル
  • 新規ユーザー

ファネルの最上部は、獲得可能な最大の市場規模。ファネルの最下部は継続ユーザーである。ファネルの途中には、ユーザーがプロダクトを受容するまでのいくつかのフェーズがある。ある程度は、1人の新規ユーザーについて、アプリのダウンロードから価値を得るまでに、何が必要かを考えるべきである。

ユーザーのファネルを最大限に活用するには、次の2つを習得する必要がある。

  • 指標
    それぞれの障壁についての正確で一貫性のある測定値。改善の取り組みを集中させるべき場所を知り、改善できているかを判断する方法となる。
  • 学習
    それが障壁となる理由を理解するため、その障壁を通らなかったユーザーと話をし、シンプルに「なぜ?」と質問する必要がある。

 

プロダクトの側から障壁に対応するには、次の4つの方法がある。

  1. 取り除くか、ユーザー体験のより遅い段階に移動させる。
  2. シンプルにする。
  3. コピーやマイクロコピーを書く。
  4. 視覚言語を使う。

 

何より最も重要なのは、ユーザーの声を聞き、ユーザーを「観察」することだ。新規ユーザーを観察し、使うのをやめた人に理由を尋ねる。コンバージョンに関する問題を理解し、その見識をその後も使い続ける。そのため、必要となる唯一の指標はファネルの効率性で、唯一のロードマップはその効率性を高めるものとなる。

それぞれの障壁に1つずつ取り組み、それを取り除くために必要な行動を起こす。ユーザーを観察する時は「間違ったユーザー」はいないと覚えておくことだ。