CDO思考 日本企業に革命を起こす行動と習慣

発刊
2024年2月28日
ページ数
240ページ
読了目安
259分
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デジタル人材になるための方法
DXを進めるために多くの企業で求められる「デジタル人材」とは、どのような人のことを言うのか。デジタル人材の本質を解説し、そのために必要なスキルを磨くための方法が紹介されています。

DXを推進できる人材とは、具体的に何ができればいいのか。どのようにしてスキルを磨けばいいのかが、よくわかります。デジタルが必須の現在において、すべてのビジネスパーソンがやっておいた方が良いことが書かれています。

デジタル人材の本質

デジタル人材とは、事業とIT、経営と現場、顧客・市場と会社、双方の言葉を使って、当たり前のようにデジタルな要素を頭に入れながら、目的達成のために物事を進める、いわばビジネスの「通訳」のような人材である。「通訳」がいないと、適切な相互理解がないまま手段としてのデジタルを活用してしまい、経営課題が解決されなかったり、根本的な論点とズレが生じたりしてしまう。

 

デジタル人材に求められるスキルで大事なのは「ITに関する一定の知識とコミュニケーション能力」である。プログラミングや開発ができる必要はない。コミュニケーション力能力の中でも特に備えるべきは傾聴力である。相手の話にじっくりと耳を傾け、問題の所在を紐解くこと。現場のプロセスや根本的な課題、あるべき姿は何なのかを言語化、文書化し、双方の問題意識や業務プロセスの相互理解の解像度を上げながら、なおかつ過去の判断やシステムに不満を持つのではなく、敬意を持ちながらことを進めることが重要である。

 

デジタル人材になるための行動と習慣

①業務を整理し、デジタルツールをじっくり触る

小さな会社やお店の会計プロセスの簡単なDXなら、例えば会計のパッケージソフトを導入するなどで解決されるが、大企業や老舗企業、システム部門やITセクションがあるような会社では、いきなり導入しても大抵はうまくいかない。うまくいくため、「間に入る」人材がすべきことは大きく2つ。

  1. 普段の業務内容を正確に言語化・文書化しておく
    現状はどんな作業内容をどういう流れで、どれほどの期間で、どれくらいの量をやっているのか。例えば、会計クラウドシステムなどを導入すれば業務フローが変わるため、「As is \ To be」を想定した上で導入しなければならない。
  2. 導入しようとしているツールの手触り感や雰囲気を前もって体験しておく
    ツールを本格導入前に、デモ版でもいいのでじっくり触る。できれば他社の競合ツールも一緒に、3つほど同時に触るといい。

これを一通りこなした上で、システム部門にも現場にも、それぞれの人たちが理解できる言語で伝え、導入するかどうかを判断する。

 

②行きつけの店を手伝う

昨今の個人店の店長には、完全にデジタル人材と呼べる人がたくさんいる。お店の宣伝をSNSに投稿して、いいね数や閲覧数などの反応を数値的に見て、Canvaを使ってSNS投稿画像を作って、LINE公式アカウントを開設して、Airレジをつなげて、freeeと連携して売上と仕入れを管理し、アルバイトはタイミーを使って手配する。大手企業だったら、宣伝部、デザイン部、財務部、人事部でやるような業務を、1人でほぼデジタルを活用し尽くして実行している。

デジタルスキルを本気で磨きたいのであれば、まずはその第1歩として、行きつけのカフェや美容院、歯科医院、飲食店などを手伝うのがいい。個人店なら規模が小さいので、川上から川下に至るプロセスの全部を横断的に経験することもできる。

 

③月に数個は新しいデジタルツールを使ってみる

デジタルの感度が高い人ほど、月に数個は新しいアプリやサービスを使ってみたりして、面白そうだと思う機能をチェックしている。違う業界の使いやすいサービスを、ただ使うのではなく、視点や着眼点を少し変えれば、自社のサービスや社内システムにも適用できるヒントはごろごろ転がっている。

 

④顧客の声を直接聞く

日々顧客と接する以外の部署であっても顧客の声を直接聞くこと、つまり生の一次情報に触れるのは非常に大事である。実際に使っている人の声を直接聞くことで、自ずと日々の業務で注力すべきことが見えてくる。

 

⑤社外の優秀な人とつながりを持つ

社外の優秀な人とつながりを持つメリットは大きく2つ。

  1. 自社以外の価値観に触れられること
  2. 自社内ではもらえないアドバイスを「斜め上」くらいからもらえること

メンターとしてアドバイスをくれる外部の優秀な人が常に3人はいるのが理想である。そうした人と知り合うのに手っ取り早いのは、ビジネスカンファレンスなどのイベントに参加することである。そこではただ名刺を配るのではなく、自分と同じような課題意識や感覚を持っている人を探す。大事なのは、そういう人たちと普段からつながっておくことである。

 

⑥新しいツールやプラットフォームをキャッチアップする

常に新しいサービスや、既存のサービスのアップデートの情報を入手する。そうした会社の人と月に最低でも1、2社と会話しておく。

 

⑦自分でノーコードツールを見つけて、業務を効率化する

システム部門が作った会社のシステムが使いづらいなら、ノーコードツールを見つけてきて、自分で効率化する。その際には、どんな業務が軽減され、どんな効果が上がったのかを数値化・可視化する。