ウルトラ・ニッチ 小さく始めろ!ニッチを攻めろ!

発刊
2024年1月31日
ページ数
328ページ
読了目安
406分
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海外向けの新規ビジネスを考えるためのヒント
日本の和牛をブランディングし、海外で高く売るビジネスを展開する「WAGYUMAFIA」の主宰者が、全くのゼロからどのように和牛ビジネスを立ち上げたのかを紹介している一冊。

国内では競争が激しい市場であっても、海外に目を向ければ、ビジネスとして成功し得るニッチな商材はたくさんある。和牛ビジネスをお手本に新規事業を立ち上げるヒントがたくさん書かれています。これから海外へ向けた新たなビジネスを考える上で、参考になります。

WAGYUMAFIAとは

WAGYUMAFIAは、日本の和牛を世界に広めるべくスタートさせたプロジェクト、会社、店舗である。世界では「WAGYU」は、超高級牛肉として知られている。この和牛のポテンシャルに気付き、世界に向けてビジネスを展開しようと考えたのが、2013年だった。

WAGYUMAFIAの一部店舗では、おいしさだけでなくエンターテインメントも強く意識し、ショー的な要素も取り入れている。その上で、最高級の和牛料理を食べてもらう。これが、とりわけインバウンドの外国人から高い評価を得た。すでに海外展開もしており、全世界25店舗を展開。

こうした店舗展開を行なっていく間「WAGYUMAFIA WORLD TOUR」を行った。世界中の様々な都市に出向き、地元の著名レストランやシェフと一緒にポップアップイベントを通じて、最高級和牛を現地の料理や食材も交えて食べてもらうというツアーである。これが次第に料理関係者の間で話題となり、すでに世界100都市以上でのツアー開催を成功。このツアーの様子やWAGYUMAFIAの活動は、すべてインスタグラムを通じて世界に発信し、これを見た外国人たちが、次々に日本のWAGYUMAFIAを訪れるようになった。

 

小さく始めよ

和牛のビジネスは7年前に1人で始めた。和牛の輸出は参入障壁が高く、誰でもできるわけではない。さらに高付加価値の商品で、差別化ができて、メイド・イン・ジャパンを象徴できる。本気でやれば海外に日本をアピールできる。そんなアイテムは和牛以外にないと思った。

当時ずっとオフィスはなく、自宅のリビングや近所のスターバックスが仕事場で、iPhoneが仕事道具だった。1人でやろうと考えれば、すべてのことが可能で、圧倒的なスピードも手にする。大きな可能性が見えてくる。

 

和牛に関しては、元々門外漢だった。「和牛を扱うなんて、無理に決まっている」という声をよく耳にした。しかし、そう言う人は何か和牛ビジネスのチャレンジをして、ダメだったから言っているのかというと、実はそんなことはない。なんとなくのイメージで語っていることが多い。むしろ、門外漢だからこそ、新しい発想や売り方というのがある。自分なりのアプローチ方法を考えればいい。

和牛ビジネスをやると決めて、真っ先に行ったことは、和牛に関わる書籍をとにかく読むことだった。そして、もう1つの取り組みが、和牛に関わる色々な人たちに直接、会いに行ったことである。生産や加工の現場も見に行った。頼み込んで働かせてもらったこともある。きちんと勉強し、きちんと見聞きしておくからこそ、自分の言葉で和牛についてしゃべれるようになる。独自の世界観やストーリーが出せるかどうか。そのためにも、学びを深めないといけない。

 

新規で門外漢がビジネスをやろうとする時に大事になるのは、センターピンをどこに定めるかということ。情報収集していく中で、わかったことは「海外での和牛ビジネスは始まったばかりで、まだ誰も儲かっていなかった」ということ。海外で和牛を高く売って、外国人に食べてもらうことはできていなかった。和牛という極めてセグメントされたニッチなマーケットでは、ビジネスはまだ活性化していない。だからこそ、たくさんの人に会い、色々な現場を見せてもらうことで、どうしてそうなっているのかを見つけに行った。

準備の段階で確信したのは「海外を意識するしかない」ということ。「海外に和牛を売る。しかも、海外で一番高く売る。外国人に一番食べてもらえる。そういう存在になろう」、これをセンターピンに据えた。

 

ニッチを狙え

これからは規模の経済を追う流れは弱まり、よりパーソナルな方向へ移行していく。そこにフォーカスしていけば、ビジネスチャンスは大きく広がっていく。目指すべきは、ニッチカテゴリーで世界一になることである。

日本初の世界を狙えるニッチカテゴリーは、他にも色々あるのではないか。国内ではすでに競争の激しい市場でも、市場を海外まで広げてみると、とんでもないファンがいたり、その購買市場が広がっていたりする。

 

和牛で取った戦略は「ハイエンド」を攻めていく、というものだった。ハイエンドの中で、世界最高峰の和牛をブランディングしていくことにした。キーワードは「グローバルコミュニケーションの中で通用するもの」である。食材ならばコーヒーやワインは、明らかにグローバルコミュニケーションで通用する。グローバルコミュニケーションの中で、価値と語られるようなものがしっかり見えてきて、受け入れる人がそれなりに多いなら、ニッチでもスケールする可能性を持っている。

こうしたグローバルコミュニケーションの価値づけにおいて「共通した層」というのが、世界中にはいる。価値のあるもの、クリエイティブなものに対してお金を惜しまないという人がいる。それは、アートやインテリア以外にも、食やエンターテインメントも同じである。