選択の科学

発刊
2010年11月12日
ページ数
384ページ
読了目安
645分
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「選択」という行動心理を理解し、マーケティングのヒントにする本
コロンビア大学ビジネススクール教授の著者は、20年間ずっと「選択」をテーマに様々な実験や調査を行い、その行動心理を研究してきた。その結果、「選択」に関する意外な事実が判明し、それを豊富な事例と共に紹介している。人間が行う「選択」という行動心理の理解は、マーケティングにも応用できるため、ビジネスにも使える内容になっています。

選択には不確実性がある

人間は「選ぶこと」を本能としている。誰もが自分の人生を自分の力で選択でき、コントロールしたい。人はどのような状況であっても、自己決定権を要求する。

一方で、人は必ずしも正しい選択をするとは限らない。選択をするにあたっては、衝動、熟慮、知識、経験、バイアスなど様々な要素が絡むからである。また、選択というプロセスは、時に人を混乱させ、消耗させる。選択の力を活用するには、選択には不確実性がある事を理解しておく必要がある。

 

豊富な選択肢は必ずしも利益にならない

人は本能的に自己選択権を要求し、選択肢の多さを歓迎する。しかし、必ずしも選択肢の多さは満足度にはつながらない。

 

「ジャムの研究」(著者がスーパーのジャム売り場で行った実証実験)

結論:品揃えが豊富すぎると売上げが下がる。

内容:六種類のジャムと二四種類のジャムを試食販売した。試食客が試食したジャムは平均二種類程度。六種類のジャムを試食した客は30%ジャムを購入。二四種類のジャムを試食した客はわずか3%しかジャムを購入しなかった。

 

人に対処可能な選択肢の数は、限られている。選択肢の数が多くなると、すべての選択肢を認識し、違いを見つけ、評価する事ができなくなる。そして人は混乱し、消耗することで、選択を諦める。

 

では多数の選択肢から選り分けるにはどうすれな良いか。それには選択のプロセスを単純化すること。一つの方法は専門知識を培うこと。多面的な比較により選択肢を処理する。

それができない場合には、専門家の知恵や集団の知恵(カスタマー・レビュー等)を利用する方法がある。また、選択肢を分類することも、選択の負担を軽減する方法の一つである。選択肢群を扱いやすい数に分類し、それぞれの分類に扱いやすい数の選択肢を含める。こうすれば、顧客に選択の幅が狭まったと感じさせずにすむ。