共感起業大全

発刊
2023年10月30日
ページ数
608ページ
読了目安
731分
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共感を軸にビジネスをつくる方法
ビジネスを成長させる上でも必要となる「共感」はどのように見つけて、それを事業に結びつければいいのか。
ビジネスコンセプトとビジネスモデルの作り方を紹介しながら、これらを共感という軸で結びつけ、起業するための方法が紹介されています。

社会起業などが注目される時代において、参考になる起業の方法が書かれています。

共感はビジネスを支える

稼ぐことばかりが目的となった社会の価値観では「社会をより良くしたい」という想いが「それはビジネスではない」と否定されてしまう傾向にある。自分が大切にしたいことを追求でき、社会も起業家も幸せになれるビジネスは、どうしたらつくれるのか。

1つの答えが「共感起業」である。共感起業とは、自分の価値観を、社会や顧客の価値観に繋げていくこと。共感とは価値観の共有であるから、スタッフや顧客、社会などビジネスを取り巻くすべての人との関係の質に大きく影響し、事業の持続性や成長性を大きく左右する。

 

事業をつくる共感の見つけ方

共感とは、価値観の共有であるから、大切にしたい価値観を整理していくことで、共感の本質を理解し、起業する意味やテーマを見つけることができる。価値観は、次の3つの視点を用いると整理できる。

 

①真:普遍性、本質

自然の姿、社会の姿、人との関係、健康や安全など、普遍的なこと、当たり前のことがたくさんある。しかし、この当たり前を、当たり前と感じられないことが多い。この普遍性(そもそも)への共感からテーマを見つける。

当たり前と思えるようなことに気づくことは、少しな離れて外側から客観的に見てみたり、何かが少し変わってしまって違和感を感じたりするなど、いろいろな機会を自分に作ってみることも必要である。「そもそも」を辿っていくと、たくさんの意見や考え方に出会う。そうした知識を得ながら、何が本来の姿かを探究する。

 

②善:倫理観、意志

日々の中で不満、不便、理不尽といったことを感じることがある。これを「なんとかしたい」と感じる価値観が、課題を解決し、より良い状態を目指すアイデアを見つけ、ビジネスに繋がるきっかけになる。

この倫理観は「エシカル」と呼ばれ、国や自治体でも関連するビジネスが広がっている。ゴミの問題、社会の問題、地球環境の問題などに関わるものや、フェアトレードやSDGsもその1つになる。

 

③美:美しさ、感性

美しさにはそれぞれの人の中に基準があり、その感覚の基準は感性とも呼ばれる。まず自分が美しいと思うものを大切にする。感性(美意識)がビジネスにおける判断となり、ビジョンとして描かれていくことになる。

感性が反応する価値観を見つけて共感していくためには、まず感度の悪くなった五感を復活させることである。感覚の積み重ねがなければ、感性は作られないし、美意識は生まれない。

 

真善美と高めていくためには、特別な体験が必要ではない。普段の生活の中で、感情に意識を向け、自分なりの判断材料を持ち、それを異なるものや意見と重ね合わせながら、自分なりの基準を磨いていくことにある。感性から反応する価値観に意識を向け、「共感できることは何か」ということに意識を向けていけば、起業テーマやミッションに巡り合うことができるはずである。

 

共感を軸に事業をデザインする

ビジネスづくりには、次の3つの質問に答える。

  • ビジネスを通じてどんな世界を実現したいか(Will):ビジネスコンセプト
  • それをビジネスでどうやって実現するか(Can):ビジネスモデル
  • そこに共感をどう生み出すか(Need):創造・共感価値

Willをベースに描きたい世界を整理するビジネスコンセプト、Canをベースに実現方法を整理するビジネスモデル、Needをベースに創造・共有価値による共感を描くことを目的とし、それぞれの解像度を上げていく。

 

ここで大切なのは、コンセプトとモデルにおける価値を整理し、価値観としてどのように共有(共感)できるかということを見つけることである。

【ビジネスコンセプト】
①理想:実現したい理想像
②課題:理想像を阻む課題
③原因:課題の元となる原因
④対策と価値:課題を解決することによって生まれる価値

【ビジネスモデル】
⑤顧客:顧客に対して
⑥提供方法:どのような提供方法で
⑦収益モデル:どのような収益モデルを通じて
⑧顧客価値:顧客価値を生み出すのか

 

この④と⑧の価値を共有し橋渡ししていくことで、共感のストーリーを作り出す。

 

ビジネスコンセプトとビジネスモデルとで生み出される価値が繋がることによって、ビジネスが大きく成長していく。この2つは完全に一致する場合と、そうでない場合がある。ビジネスコンセプトである課題解決の受益者が、ビジネスモデルの顧客と一致している場合には、価値が一致しやすくなるため、共感のストーリーが生み出しやすくなる。

一方、社会課題など、受益者が顧客と異なる場合には、必ずしも一致しないことがある。そういった場合にも、顧客への価値を示していかなければならないから、一定の共感ストーリーが必要になる。最近では、ロジックツリーなどによってアウトプットではなくアウトカム(成果)をアニューアルレポートで制作するケースもある。