「人生が充実する」時間のつかい方

発刊
2023年10月6日
ページ数
320ページ
読了目安
456分
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幸福度を高めるための時間術
仕事や家事、育児に追われて時間がない人へ向けた、幸福度を高める時間のつかい方を教えてくれる一冊。UCLAにて、時間のつかい方と幸福度の関係性を研究する著者が、幸福学の観点から、どのように時間を費やすべきなのかを紹介しています。

幸福度を高める活動の共通点、幸福度を下げる活動の共通点、楽しくない時間を楽しくする方法など、人生のあらゆる時間の価値を高める方法が書かれています。

時間をいかに過ごすかが幸福度を左右する

私たちは生産性を重視する文化に生きている。そのせいで、忙しさが人の価値を表すステータス・シンボルになってしまった。しかし、常に追い立てられた状態は、ステータスのように良い気分になどしてくれない。

1日の可処分時間が約2時間を切った場合、幸せの度合いが下がる。これはやるべきことややりたいことを、すべてこなすだけの時間がない感覚「時間貧乏」による。時間貧乏のせいで人は気分が落ち込み、ストレスを抱え、精神的に疲労する。一方、1日の可処分時間が約5時間以上あっても、幸せの低下につながる。可処分時間がありすぎると人生に満足できない理由は、生産性を実感できないからである。ある程度の忙しさは、日常生活に目的意識を与えてくれるため価値がある。

 

可処分時間は短すぎても長すぎても幸福度を下げるが、手にしている時間の長さは幸せと無関係である。手にしている時間をいかに過ごすかが大切である。もっと幸せになるためには、時間を手に入れることではなく、自分が手にしている時間を豊かにすることが大切である。

 

人生における成功や満足度を決める真の要因となるのは、お金をどれだけ稼ぐかより、時間をどう過ごすかである。お金あるいは時間をどれだけ持っているかにかからわず、時間に意識を向ける方が、幸福度は高まる。時間に焦点を当てることの利点は、時間を楽しく有意義で、自分の価値観に沿った活動に投じることから生まれる。

 

時間貧乏な人がもっと時間を費やすべきこと

時間の感じ方は驚くほど主観的である。1日や1時間の長さをどう経験するかは、人によって著しく異なる。なぜなら、1分間、1時間、1日、10年がどれほど長いと感じるかは、自分が「充分」な時間を手にしているか否かの感覚に影響するからである。この感覚には、次の2つの主観的なことが含まれている。

  1. やりたいこと、やるべきだと思うこと
  2. 手にしている時間内にこのすべてをやりこなせるという自信

 

重要なのは、自分ができるとか、すべきだとの考えは、まさに考えに過ぎない点である。自分ができる、すべきだと考えたことをすべてこなすのは現実的ではない。実際に何をやるかは、自分でコントロールできる。自分が今現在、何に時間を使っているか、時間をかける価値のある活動は何かを考えることが大切である。

また、時間がないと感じないようにするためには、自分には何ができるかを理解することが大切である。「自己効力感」とは、自分がしたいことや、やるべきと思うことをすべてこなせるという自信を意味する。人は強い自己効力感を抱く時、時間がたくさんあるように感じる。つまり、自信を高める方法を実行すれば、時間貧乏の感覚を弱められるのである。

 

時間的な豊かさを感じるために自信を高める方法には次のものがある。

  1. 運動:運動に時間を費やすと、自分が手にしていると感じる時間も増える可能性がある
  2. 他者の手助け:自分以外の誰かのために時間をつかった人は、時間が多くあるように感じる
  3. 畏敬の念:畏敬の念を思い出した場合、慌ただしさをあまり感じない

 

自己効力感は、単に何がこなせるかという信念だけの話ではなく、実際に何に時間を費やすかに影響する。そして、それが再び、自己効力感や幸福感に影響する。体を動かすこと、人とつながれる何か、もっと広い視点で物事とのつながりを感じられる何かに時間をつかうことで、自分に対する自信は高まる。

豊かだという実感をはっきりと増やすには、時間を節約するのではなく、費やす必要がある。

 

幸せな活動の共通点

①誰かと一緒に過ごすこと

親しい相手に投資する時間は、時間のつかい方として最善であることが、実験で証明されている。幸せな人たちはより多くの時間を友達、家族、恋人と過ごし、1人の時間がそこまで長くない。一緒に過ごす相手との良い関係性が良い投資になる。

 

②外へ出ること

データの結果から人は屋外にいる時の方が幸せであることが明確になった。屋外での幸福感の高まりは、天気、活動の種類、環境に依存しない。大切なのは、屋外に出るだけである。

 

幸せでない活動の共通点

ある活動が次の3つの基本的な欲求のどれかを妨げる場合、自分は不幸せだと感じる可能性が高くなる。

  1. 関係性:人とつながっているという感覚
  2. 自律性:自力でコントロールできるという感覚
  3. 有能感:自分にはできるという感覚

 

①孤独

何かの活動のせいで孤独を感じる時、感情的な打撃となる。うつに最も直結するのは孤独感である。

 

②やらないといけないことをやること

人は、自分の時間をどう過ごすか、選択肢や自由意思があると感じたい。そのため人は指図されるのが嫌いだし、しなければならない活動には不快感を覚える。

 

③時間の無駄遣い

人は、生産性を感じるよう駆り立てられており、目標を達成すると気分が良くなる。そのため、無意味な活動、そこから何の価値も生まれず、楽しくない活動に時間を費やすと、時間の無駄だと感じる。