内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力

発刊
2013年5月14日
ページ数
360ページ
読了目安
615分
推薦ポイント 6P
Amazonで購入する

Amazonで購入する

人付き合いが苦手でも問題なし!
成功や幸福のためには外向的である事が求められる現代社会。しかし、必ずしも内向的である事はマイナスではないとし、その強みや特徴を紹介。自分の性格にあった行動をとることが大切だと説く。

気質の北極と南極

私達の人生は性別や人種だけでなく、性格によっても形づくられている。そして、性格の最も重要な要素は、内向・外向のスペクトルのどこに位置しているかである。どこに位置しているかが、友人や伴侶の選択、会話の仕方、愛情表現に影響をもたらす。どんな職業を選んで、その道で成功するか否かを左右する。

だが今日、社会が求める性格タイプはごく狭い範囲に設定されている。成功するには大胆でなければならない、幸福になるには社交的でなければならないと、私達は教えられる。私達は外向型の人間を理想とする価値観の中で暮らしている。典型的な外向型は、熟慮よりも行動を、用心よりもリスクを冒す事を、疑うよりも確信する事を好む。

内向性は、その同類である感受性の鋭さや、生真面目さ、内気といった性格とともに、現在では二流の性格特性とみなされている。

 

内向型と外向型の特徴

外向型の人間を理想とする考えを、そのまま鵜呑みにするのは大きな間違いだ。進化論、ゴッホのひまわりの絵、相対性理論、ET、グーグル、ハリー・ポッターにいたるまで、偉大なアイデアや美術や発明の一部は、自分の内的世界に耳を傾け、物静かで思索的な人々によるものだ。

 

心理学者ユングによれば、内向型は自己の内部の思考や感情に心惹かれ、外向型は外部の人々や活動に心惹かれる。内向型は周囲で起きる出来事の意味を考え、外向型はその出来事に自分から飛び込んでいく。

 

現代の研究者たちには、ユングの考えは時代遅れだとする者もいれば、正しいとする者もいる。とはいえ、最近ではいくつかの重要な点で合意に達している。その1つが、内向型と外向型とでは、うまく機能するために必要な外部からの刺激のレベルが異なるという点だ。例えば、内向型は親しい友人とワインをほどほどに飲むとか、読書するといった低刺激が「ちょうどいい」と感じる。外向型は初対面の人に会うとか、ボリュームを上げて音楽を聴くといった高刺激を楽しむ。

内向型と外向型は行動の点でも違う。外向型は素早く行動する。リスクをとったりする事も平気だ。内向型はゆっくり慎重に行動する事が多い。一度に1つの作業に集中するのを好み、素晴らしい集中力を発揮できる。富や名声などの誘惑に惹かれる事は比較的少ない。

 

私達は自分自身を詳しく知る必要がある

双生児を対象にした遺伝研究では、内向型となるか外向型となるかは40〜50%が遺伝だった。この気質を形づくる上で、脳の扁桃体が重要な役割を担っている。コーヒーや大きな音など様々な刺激に対して、内向型は外向型よりも敏感なのだ。

 

また、外向型は内向型よりも、報酬を求める古い脳の反応が敏感らしい。この報酬に対する敏感さ、つまり権力からセックスやお金にいたるまで、様々な報酬を求める傾向によって、外向型は性格づけられているという。外向型は「熱狂」と呼ばれるべき感情を頻繁に抱く。いくつかの点で、外向型は幸運だ。仕事でも遊びでも、私達をやる気にさせる。だが熱狂には否定的な面もある。肯定的な感情を増幅させた結果、反社会的で自滅的な行動を引き起こしたり、リスクにつながる事もある。

 

対照的に、内向型は報酬を重要視せず、問題点を入念に調べるように、生れつきプログラムされている。これは知的な作業をする上で役立つ。内向型が外向型よりも賢いという訳ではない。IQテストからして両者の知性は同等だ。

重要なのは、私達は熱狂を過大評価し、報酬に敏感である事のリスクを過小評価する傾向があるという事だ。つまり、私達は行動と思考とのバランスがつり合うところを探す必要がある。