「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室

発刊
2014年12月20日
ページ数
221ページ
読了目安
241分
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人はどのようにすれば幸福になれるのか
NHK「幸福学」白熱教室を書籍化したもの。お金や人間関係、仕事などにおいて、どのように幸福になれるのかを、幸福学の研究者が紹介しています。

「幸」「不幸」は永遠のものではない

科学的研究では「幸運」と「幸福」の関連には疑問が投げかけられている。例えば「幸運」という言葉から思い浮かぶこととして「宝くじが当たること」がある。しかし、宝くじに当たることと「幸福」は、あまり関係がない。人の感情は常に変化している。もし宝くじが当たったら大喜びするが、時が経てば、人は自分に起きた事に次第に慣れていき、いつしか自然に元に戻っていく。

 

様々な女性たちの人生の平均では、結婚の幸せは、新婚から2年経つと消えてしまっている。どんな出来事も我々の幸福に永久に影響を及ぼす事はない。「幸福」とは、簡単に手に入ってずっと維持できるような小さな「幸運」とは違う。幸福を見つける事はケーキを作るようなもの。毎日、ゼロから始めなければならない。

 

幸せになるための条件

幸せになるには、3つの材料が必要である。

①人との交わり
幸福度の高い人達を集めた研究で、上位10%の人達に共通していたのは、ただ1つ、社会との結び付きが強い事だった。幸せな人達はみな、友人や家族と良好な関係を築いている。他者と良好な関係を築く事は、確実に「幸せになるための必須条件」である。そして、私達は普段の生活でほんの少しでも人と関わるだけで、より幸福を感じる事ができる。

 

②親切
人と交わるだけでなく、人を助けようとする社会的な行動は取る価値がある。ボランティア活動をする事は、より大きな幸福感に結びつく。「親切」と対になるのが「感謝」の気持ちを表すこと。「感謝する」という気持ちは「幸福」と密接につながっている。人に親切にし、感謝の時間を持つ事が「幸福」にする。

 

③ここにいること
人は日中の3割は物思いにふけっている事がわかった。重要なのは、人はしばしば「うわの空」になるということ。不愉快な事でなくとも、物思いにふけるのは良くない。内容に関係なく、目の前の事に集中している方が、物思いにふけるよりも幸福を感じる。「ここにいること」、今この瞬間に集中する事は、「幸福」にとって重要である。

 

現代科学は「幸運」が「幸福」に対して、ある大きな影響を与えるという。それは、遺伝的な要因で「他の人より幸せになりやすい人」がいるという事である。ある研究者によれば、幸福度の50%は遺伝によって決まるという。

しかし、遺伝子がどうであろうと、幸福の3つの条件にあたる行動を取る事で幸福度は上がる。幸福度はただ気分がいいという事ではなく、職場での生産性から寿命に至るまで、様々な影響を与えている。

 

より幸せになれるお金の使い方

お金持ちは貧しい人よりも幸せだが、その差は大きくない。最近のある研究では、アメリカで年収が7万5000ドルに達すると、それ以上収入が増えても幸福度は頭打ちになるという結果が出ている。そして、ここ10年の科学的研究では、お金から幸せを得るには「消費とは全く反対の事をすべきだ」という結果が出ている。

 

挫折や逆境から立ち直るコツ

逆境や挫折にあたってできる事は、困難を受け入れること。無理して気持ちを鼓舞せず、嫌な気分もまずは受け入れてみればいい。まずは逆境に耐え、「受け入れる」事を学ぶ。嫌な感情をごまかしたりせず、向き合ってみる。多少不快でも、それが「逆境」をコントロールできるようになる始まりである。

 

仕事を自分の幸せに結び付ける方法

人と仕事との関係は大きく3つに分類できる。

①ジョブ
仕事を単なる労働と位置付ける人達で、働く理由は「報酬」である。

②キャリア
ここに属する人達の動機は「経歴」や「向上している」という実感である。

③コーリング
ここに属する人達にとって仕事は「天職」である。「社会の役に立っている」「自分の仕事には深い意味がある」という実感が、働く動機になっている。

 

3つのカテゴリーで、最も幸福度が高いのが「コーリング」。「コーリング」の人達は、他の「ジョブ」「キャリア」に属する人達とは明らかに違う「行動」を取っている。それが「ジョブ・クラフティング」である。

ジョブ・クラフティングには3つの方法がある。

 

①社会的な交流の質や量を修正すること
人間は本能的に、他人と結びつく事や、多くの意味ある関係を築く事を欲する。仕事をしていく上で、客や同僚などの人間関係を積極的に変えてその幅を広げていくと、より仕事の手応えを実感し、業務もスムーズに進行する。

 

②自分と周囲の環境や状態を視野を広げて捉えてみる
自分の仕事を,目の前を掃除するだけの「ゴミ拾い」と思うか、世界を大きく見て「みんなの健康を向上させる仕事」と捉えるか。広い視野で考えれば、自分の仕事により大きな価値やつながりを見出す事ができる。仕事や作業が社会や他者に貢献している意味を再構築する。

 

③仕事の内容に手を加えてみる
いつもの仕事から大きく逸脱せずに、ちょっとした変化を加える。仕事に対して、より「価値を高めて」「やりがいが持てる」よう、内容を少し変化させてみる。やり方や範囲を見直し、仕事を楽しめるよう、アレンジしてみる。