東大教授が教える独学勉強法

発刊
2014年7月17日
ページ数
174ページ
読了目安
183分
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勉強するために大切なこと
高校に行かず大学は通信制、独学で東大経済学部教授になった著者が、勉強で大切なことを語った一冊。勉強の本質とは何か、本当に意味のある勉強をするには何が大切なのかが書かれています。

勉強の本質は「考えること」

勉強の本質は、得た知識や情報を使って、何かを決めたり、選んだりする時にどう役立てるかという点にある。ネットやモバイル機器が発達した事で、勉強の形は変化しているが、勉強の本質は今も昔も変わっていない。昔は持っておくべき知識のウエイトが高かったけれども、今はネットのおかげで知識の比重が軽くて済むようになった。逆に玉石混交の情報が氾濫し、その中で何か選択を迫られた時にどう判断すれば良いか、深く考える事の重要性のウエイトが高まってきている。

 

これからは、自分の頭で考え、自分自身で判断する力をつけるための勉強が求められる時代になる。そのための有効な手段の1つが「独学」である。

 

自分の中での「熟成」が大事

勉強とは加工業のようなものではないか。部品や素材を加工して自動車をつくるのと同じように、いろいろな知識や情報という材料を取り入れて、それを自分の中で加工して違った形、違ったアイデアにする。そして、それを他の人達に伝えたり、自分の日々の生活や仕事の決定に活かしたりする。

 

加工するためには、素材になる様々な情報が必要であるし、頭の中に理論という設計図も必要となる。ありきたりの素材と設計図では、ありきたりのものしかでき上がらない。時には、自分の中にある全く違った引き出しから、情報や知識を引き出して、新たな結びつきや編集をしてみる事も、思わぬ製品を生み出す原動力になる。その加工をする際、大切なのは、自分の中で「熟成させる」という過程である。「熟成させる」とは、自分の中でしっかりその情報を吟味して、その意味を考え、自分のものにする作業である。これが学ぶ事における一番大事なプロセスである。

 

いきなり勉強してはいけない

独学の場合、いきなり勉強をしても、実はなかなか続かない。最初から意気込みすぎたり、目標を高く持ってしまうと必ず失敗する。独学は長距離走やマラソンのようなもので、いきなり最初から全速力で走ったらすぐにバテてしまう。長い時間を走り通すには、しっかりとした準備運動や助走期間が必要である。

 

まずは自分の理解のパターンや無理のないペースを探すために、時間をかけていろいろと試行錯誤する期間が必要である。勉強のテーマをあまり決めてしまわずに、いろいろな本を読んでみる事が大切である。そうすると、それまで思いもしなかった分野に興味を持つ事もある。人によって、この勉強がしたいというものが1週間で見つかる人もいれば、半年ぐらいかかる人もいるかもしれない。

 

本を読みながら疑問を持つ

勉強や学びのプロセスとは、いったん押し返してみる事である。まずは何でも疑ってかかる事が、勉強するために必要な姿勢である。そのためには数をこなすしかない。独学を始める時には「自分がどう思うか、どう考えるか」を考えるクセをつける事が大切である。1つの小さな疑問や問題意識でも、それを少し広げていろいろと考えていく事で学問的関心に広がっていく。

 

学びを熟成させる

学問に限らず、世の中のほとんどの事について、何が正解なのかよくわかっていない。だから、仕事においても、生活においても、本当に重要なのは、正解のない問題にぶつかった時に、自分なりに答えを出そうとして考えていく事である。

勉強をする際、大切なのは自分の中で「熟成させる」という過程である。「自分がどう思うか、どう考えるか」を考えるクセをつける事が大切である。

学びを熟成させるためには、以下の視点がある。

①物事を「普遍化」させていく(普遍的な構造を見出す)
②似たものを「関連づけて」いく事で、本質をとらえる(共通した構造を見出す)
③学問と現実を関連づける「応用する力」をつける(自分なりの答えを出す)
④頭にいったん入れた事を「揺らしてみる」(別の角度や状況を変えてみる)