情報を捨てるセンス 選ぶ技術

発刊
2014年7月18日
ページ数
386ページ
読了目安
564分
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いかに適切な判断をすればよいか
情報が溢れる時代に、いかに適切な情報を選び、判断すればいいのか。
本当に正しい情報を見極める方法と、決断のミスを減らすためのテクニックが紹介されている一冊。

選択を邪魔するもの

選択の達人になるとは、情報の収集、選別、調査分析をうまくこなし、誰を信じ、誰の助言に耳を傾けるべきかをしっかりと見定め、様々な選択肢をきちんと分析し、異なる意見を比較評価できるようになる事だ。私達をとりまく環境には、優れた判断や賢明な選択を邪魔する強力な要因が3つある。

 

①情報の洪水
研究によると、私達の頭には別々の情報を一度に7つまでしか保持できない。情報があまりに多いと、人は逆に途方に暮れてしまう。

②中断という麻薬
メール、携帯電話、SMS、電話のコール音。近年、私達は起きている時間の3/4を情報を受け取る事に費やしている。ひっきりなしの電話とメールによって、人のIQは一時的に10ポイントも低下する。

③無秩序な時代
既成の秩序が私達の周りで崩壊している。無秩序の時代には、過去はもはや未来の道標にはならず、未来の予測もままならない。

 

正しい情報を見落とさないためのヒント

①最もわかりやすいデータの向こう側を見る
②数字は部分的なストーリーしか語っていない事を覚えておく
③どんな形態で情報を受け取っているかに気付く
④自分が考えている事を裏付ける情報を求めない
⑤自分のために考える時間を確保する
⑥他の判断や可能性を検討できる時間を自分に与える
⑦集中力を奪う「日常の気晴らし」を見極める
⑧過去を確固たる道標とみなすのはやめる
⑨プランB、C、Dといつでも方針転換できるようにする
⑩必要になるまで大きな決断は避ける

 

視界をさえぎるもの

私達の多くは、意思決定のプロセスが目的にかなったものであるかどうかを検討する事もなく、人生をやり過ごしている。とりわけリスクが高く、重要な決断の場合には、そこを変えなければならない。信頼できる良質の情報やそれを検討するための効果的な方法がなければ、私達の下す決断は、よくて次善の結果、悪ければ有害な結果しかもたらさない。

 

最初に目についたものが、最善の決断をするために必要な情報をすべて与えてくれるとは限らない。誰の目にも明らかなもの、自分の育った国の文化や伝統の面から注目してしまいがちなものの向こう側を見る能力を養う事が必要なのだ。

 

①非注意性盲目症
人は1つのものに注目するあまり、本来注意を向けるべき他のものに目がいかない事がある。人は何かに集中していると、感覚範囲に入ってくる新たな事象を記録しない。

 

②パワーポイント
明快さの基盤となるデザインツールが、現実を覆い隠す働きをする事がある。情報が消え、優先順位が偽って伝えられ、不可欠な説明と裏付け情報が排除される。パワーポイントは、過度な簡略化によって、重要な詳細が抜け落ちてしまう恐れがある。

 

③数字崇拝
数字はそれ自体に問題をはらんでいる場合がある。さらに問題は、実際には測定できないものにまで数値が付けられてしまう事がある点だ。ある数字に基づいて判断を下す前に、その数字が捉えているものは何か、その数字が語っていないものを何か考えるべきだ。

 

④聞きたいと思っている情報
私達の多くは、自分に直接影響のある事柄に関して悪い出来事が起こるとする情報は退け、よい情報だけに注意を向ける。

 

⑤先入観
自分の仮説の正しさを裏付ける情報を見つけた時、私達の中にはドーパミンが溢れ出す事がわかっている。ある結論に飛びついてしまうと、人はそれを支持する情報に注目し、それを否定するものや、最初の判断と合致しないものはすべて無視してしまう。

 

⑥過去の視点
意識的であれ無意識であれ、過去を振り返る事が正しい決断に結びついた例はいくらでもある。しかし大事なのは、過去の成功や失敗あるいは経験に基づいた洞察に固執しすぎない事だ。それでは、潮目の変化や新たな情報を見逃してしまう。

 

正しい情報を見落とさないための方法

大きく目を見開いて物事を見るためには、次のことが大切である。

 

①決断から結果までの時間を短くするため、1日のできるだけ遅い時間に決断する
②決断には柔軟性をもたせる
③評価を継続的に行い、現在や未来にも目を配る

参考文献・紹介書籍