エンゲージメントを築くための5つの要素
主要な事業成果は、組織を回す人々の体験とエンゲージメントの後についてくる。成功は人で始まり、人で終わる。リーダーの最も重要な仕事は、従業員が目的を共にする理由、そこにとどまる理由、エンゲージする理由を与えることである。
あらゆる組織がエンゲージメントを築くために必要な要素は5つ。
①Meaning(意義)②Autonomy(自主性)③Growth(成長)
④Impact(社会的影響力)⑤Connection(愛着)
エンゲージメントは、企業文化、志のある仕事、敬意、信頼などからなる肥沃な土壌で有機的に育つものである。リーダーができるのは職場にMAGICの要素を育むためのイニシアティブを導入することである。エンゲージメントが非常に高い組織は、リーダーが従業員の期待を管理することに腐心し、信頼を築いている。
優れた顧客体験は、優れた従業員体験から始まる
持続可能な一流のCX(顧客体験)を創出するには、組織はまず、持続可能な一流のEX(従業員体験)を創出しなければならない。従業員は、組織における自らの体験に相応した体験を顧客に提供する。
EX=体験+期待+認識
EXは、個々の認識と期待によって大きく変わる。従業員が与えられた体験をどう認識しているか、それが自分の期待に沿うものかどうかに左右される。リーダーの仕事は、適切なEXを設計、構築、維持することである。
従業員エンゲージメントとは、従業員が有意義な仕事をし、自分たちが成長している、自分たちの期待が実現している、と実感できる状態のことである。従業員の期待が理解・実現され、貢献が報いられるような枠組みをリーダーがつくれば、困難な仕事、大変な仕事でも、やりがいを感じ、仕事を好きになってもらえる。
卓越したEXをつくりだす手順
①EA(期待の整合)EAとは、従業員の主観的実体験が、その人の期待していた職場体験とどれだけ一致するかを指す。従業員の期待は、多くの要因に影響される。最も強く影響するのは、求職活動や採用時、入社後面談期間に、従業員が提示される明示的な約束である。
エンゲージメントを求めるリーダーは、組織内外に流布する事実や意見、感情を常に把握しておく必要がある。さらに重要なのは、従業員と常時コミュニケーションを交わし、従業員の持っている間違った期待と正しい期待をはっきりさせることである。
EAは、公平性、明確化、共感、予測可能性、透明性、責任という6つの柱の上に成り立つ。良い状態の柱が多く揃っている組織ほど、EAがよく行われている。
②3つの契約
契約は、関係を維持する上での決まりごとを定める明示的期待と黙示的期待の組合せである。契約は3つに分けられ、EXの質を決める。
・ブランド契約
人々がブランドのアイデンティティから読み取る黙示的約束。メディア露出やインターネットを通して、採用される前から、期待に影響を及ぼす。
・取引的契約
これだけの時間勤務し、この仕事をしてくれれば、それと引き換えに公平な報酬を支払うという明示的な合意。
・心理的契約
暗黙の期待や責任。
③真実の瞬間
「契約」の有効性が試されるような事件が起きた時が、その組織の真実の瞬間である。契約が裏付けられ、強化されればEAが達成され、約束が破られればEAは損なわれる。
④MAGIC
意義、自主性、成長、社会的影響力、愛着。5つが揃うと、従業員からエンゲージメントが得られる。
⑤EX
リーダーは期待を満たし、契約を把握・管理し、真実の瞬間においても価値観の一貫性を保つことで、信頼を更新し続ける必要がある。