加工食品のせいで脳が働かない
お腹のぜい肉、弱った手、二重あご、むくんだ肌などを引き起こしたいるのは脂肪ではなく、炎症のせいである。炎症は、病原体、毒素、ストレス、外傷への体の自然な反応である。ストレスを加えるものがある時、体は自ら治ろうとして腫れ上がる。炎症は適切な組織回復に必要なのである。自分では炎症の症状をあまり感じていなくても、脳は体のどの部位の炎症にも極めて敏感で集中力を弱められてしまうから、炎症を放っておくと、体の痛みや不調を感じ出すよりずっと前に、頭のキレが鈍る。
炎症の原因となる「反栄養素」は、ごく普通の食品におびただしい数が含有されている。腸を刺激して免疫系を発動させ、体の回復や解毒システムを損なう。この反栄養素のせいで継続的に腸にダメージを負っていると、体はそれを敵と見なして絶えず反応を起こし、炎症性の「サイトカイン」という微細なタンパク質性因子を血中に放出する。それは最後には脳に達する。脳は炎症を生じると低パフォーマンスになる。
反栄養素を避ける
大切なのは、反栄養素を含む食品はなるべく摂らないで、免疫系を刺激する食品は完全に避けて、免疫反応を抑制する事である。自然由来の反栄養素の主なものは以下の通り。
①レクチン
タンパク質の一種で、細胞膜を覆った糖質と結合する事で、小腸の代謝を阻害したり、腸絨毛や間接に損傷を与える事がある。豆類、ナッツ、穀物等の植物性食品は他より圧倒的に多く含んでいる。トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモなどナス科の植物に見られる種類のレクチンには多くの人が敏感。ほとんどのレクチンは熱で破壊されるので、加熱する事で排除可能。
②フィチン酸
鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウムに結合し、ミネラルの吸収を阻害し、食物からわずかしか栄養を得られなくする。主要源は、穀類、ナッツ類、種子類。人体は一定量のフィチン酸に対処できるが、主要源はなるべく食べない方がいい。
③シュウ酸
血中のカルシウムと結合し、小さく尖った結晶となって体内に堆積し筋肉痛が起こる。ケール、ホウレン草等の生野菜、黒コショウ、パセリ、チョコレート、ナッツ、ベリー、豆類に見られる。酸に漬けるか、湯がいてその湯を捨てれば、最小限にできる。
④カビ毒
カビ毒は食べれば食べるほど体にダメージが蓄積していく。カビ毒の主要源は、コーヒー、小麦、トウモロコシといった穀物、ピーナッツ、果物、チョコレート、ワインが汚染されている事も多い。低炭水化物ダイエットが成功する理由の1つは、穀物を食べないから食事中のカビ毒の濃度が下がっていく事にある。カビ毒は、作物の一定の生産ロットにあるかないか確認のしようがない。
ヘルシーな脂肪を食べる
脂肪は最も炎症性がない主要栄養素で、完全無欠ダイエットでは1日のカロリーの50〜70%を正しい種類の脂肪で摂るように定めている。脂肪には太らせる脂肪が存在する一方で、かなりの量を食べても太らない脂肪もある。炭水化物を摂り過ぎず正しい脂肪を充分に食べれば、体は効率よく脂肪を燃やしてエネルギーにし、健康な細胞膜を形成していく。平均で男性は1日120〜150g、女性は90〜120gの脂肪を摂取すると良い。
グラスフェッドの動物性脂肪、ココナッツオイル、MCT油、グラスフェッドバター、オリーブオイルといった、ヘルシーな完全無欠の脂肪は炎症を減らしてくれる。一方で、避けるべきは、キャノーラ油、コーン油、大豆油等の植物油である。