IoTは日本企業への警告である―――24時間「機械に監視される時代」のビジネスの条件

発刊
2015年11月7日
ページ数
192ページ
読了目安
235分
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IoTは世の中を変える
スマートフォンから家電、住宅、自動車、信号機や監視カメラまで、あらゆるデバイスがネットにつながるIoTの時代がやってくる。IoTの事例や可能性について紹介しながら、IoT時代に考えるべきことを提示しています。

IoTとは

IoTとは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」とも呼ばれる。身の回りにあるものにセンサーと通信機が組み込まれて、直接インターネットに接続し、もの同士、ものと人が相互に通信できるようになる仕組みである。携帯電話やタブレット端末から、家電、住宅、自動車、建設機械や農業機械、信号機や監視カメラまで、社会のありとあらゆるものがネットにつながり、「知能」を駆使する時代が目前に迫っている。

様々なものにつながって膨大な情報が集められ、そのビッグデータを自動的に分析し、ものや人にフィードバックされて、生産性や正確性、経済的利益が向上する。この一連のプロセスにIoTの真価がある。

 

スマートフォンはIoTの先駆け

IoTがなぜ世の中を変えるほどの力を持つのか。それは、あらゆる情報や事象がインターネットでつながり、時間も距離も国境を超えて共有化されるからである。飛び交うデータを様々なアイデアでビジネスや社会課題の解決に活用できる。そこにIoTの持つパワーの源泉がある。

1つのデバイスに多様なセンサーを搭載し、リアルタイムでクラウドとつなぐ「iPhone」などのスマートフォンは、まさにIoTを具現化したツールと言える。これからIoTが進んでいくと、スマートフォンがただの携帯電話でなくなったように、あらゆるものが想像を超えて多機能化していく。IoT化が進んで、2020年には500億のデバイスがネットでつながると言われている。IoTは劇的な変化をもたらす。

 

IoTの事例

・ジェットエンジンのIoT化
ロールスロイスは、航空機エンジンの出力と使用時間に応じた利用料の課金ビジネスを開始。センサーが収集したデータを分析し、整備の必要性の判断や消耗品・交換部品の用意、フライトプランの提案などを実施。

・建設重機の遠隔管理
コマツやキャタピラーは、IoTによってリースした物件の稼働データを遠隔で監視して、アフターサービスに活用。

・みまもりほっとライン
象印は、無線通信器を内蔵した電気ポットをお年寄りが使うと、その情報をインターネットを通じて、家族にメールで送る仕組みを提供。

IoTは確実に世界を変えていく。今、世界ではIoTの果実が着々と成長している。例えばドローン(無人飛行体)。複数のローターをチップで制御する事により、誰でも簡単に安定して飛ばす事ができ、GPSを活用して自動運転まで可能にしたドローンは、世界中で普及しつつある。IoTの進歩が、リモコンヘリコプターを一気に進化させ、実用化させたと言える。

 

ビジネスモデルが変わる

IoTには新たなビジネスモデルを生み出す力がある。生産財の世界ではIoTによるビジネスモデルの革新がいち早く進んでいる。

IoTビジネスの特徴は、距離や国境を超えた巨大なネットワークと、高度なインタラクティブ性による「つながりやすさ」、そしてプラットフォームを構築する事による継続性である。魅力的なデバイスをつくるものづくりは大切だが、つくったものを「パーツ」として販売するだけでは課金は一度きりである。

これに対して、利用状況に応じてお金を請求する課金モデルの場合、収益チャンスは何度でも生じる。さらに顧客と継続的な関係を築く事が重要なので、壊れにくく愛着を持たれる製品や、ニーズを汲み取ったより付加価値の高いサービスが生まれる可能性も高くなる。