ザ・ビジョン やる気を高め、結果を上げる「求心力」のつくり方

発刊
2020年7月30日
ページ数
226ページ
読了目安
266分
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組織を前進させるビジョンのつくり方
飾りだけのビジョンは意味がない。みんなが共感し、組織を前進させる「ビジョン」の作り方と実践の方法を紹介している一冊。物語形式で、読みやすく書かれています。

ビジョンこそがリーダーシップの出発点

マネジャーが偉大なリーダーになるのを妨げている最大の要因は、目指すべき明確なビジョンを描けずにいることだ。自分は何者なのかという「目的」、どこを目指すのかという「未来のイメージ」、ビジョン実践の羅針盤となる「価値観」がはっきりしていないからだ。

どんなリーダーシップをとるにしても、出発点はビジョンにあるから、明確なビジョンがないのは問題である。そもそもリーダーシップとは、どこかを目指して進むものだ。しかし、そのビジョンにみんなが共感できなければ、リーダーシップも自己満足に終わり、結局は失敗してしまう。

 

ビジョンとは

ビジョンとは、自分は何者で、何を目指し、何を基準に進んでいくのかを明らかにすることである。

「自分は何者か」がわかれば、「目的」が明確になる。

「何を目指すか」がわかれば、「未来のイメージ」が描ける。

「何を基準にするか」がわかれば「価値観」がはっきりする。

 

何かを目指すには、基準となる「価値観」をはっきりさせなければならない。なぜなら、壁にぶつかった時、正しい判断を下せないからである。

 

ザ・ビジョンのモデル

ビジョン創造のプロセスは、ビジョンの内容そのものと同じくらい大切である。いきなり新しいビジョンを発表しても、みんながすぐに理解して、賛同してくれることはありえない。ビジョンの作成に誰に参加してもらうかを考えて、その人たちの考え方や夢、希望、ニーズを受け止める必要がある。さらに、いかにビジョンの中身を伝えるかも大切である。たとえビジョン作りに参加しなくても、自分たちに関係してくるということをわかってもらう必要がある。そして、ビジョンをどう実践すればいいかも重要である。

 

「説得力あるビジョン」は、「内容」と「プロセス」という、等しく重要な2つの部分からなる。

 

・内容:ビジョンの中身のこと。ビジョンには「目的」「未来のイメージ」「価値観」の3つの要素がある。

・プロセス:ビジョンをいかに創造し、伝達し、実践するかということ。

 

ビジョン作りは直線的には進まない。ビジョンの3要素を明確にしていく過程では、3つの「いかに」を意識することが大切である。

  1. いかに創造するか
  2. いかに伝達するか
  3. いかに実践するか

 

「説得力あるビジョン」の3要素

・目的

  • 自分たちの存在意義
  • 単に自分たちの役割や活動を述べるのではなく、その「理由」に答えるもの
  • 有意義な目的は情熱と意欲を高め、逆境にあっても前進し続けられる

・未来のイメージ

  • 曖昧なものではない最終結果のイメージ
  • 何をなくしたいかではなく、何を生み出したいかに注目する
  • 場当たり的ではなく、先を見据えたイメージ
  • 思い描くのは最終結果。そこに至るプロセスではない

・価値観

  • 特定の資質を望ましいとする、心の底からの信念。様々な選択や行動の基準となる
  • 「日々の出来事に対して、どう行動するか」の答えとなるもの
  • 価値観を実際の行動に移した時、どのような行動になるのかを説明するもの
  • 価値観は少数に絞り、優先順位をつける
  • 価値観はどんな状況でも実践すること
  • 個人の価値観と組織の価値観が一致する必要はないが、その人が充実感を得るには連携している必要がある

 

3つの「いかに」

・いかに創造するか

  • みんなを巻き込む
  • 現実を直視する
  • 創造的緊張を受け入れる

・いかに伝達するか

  • たえず話題にし、進行状況を伝える
  • 出来事をビジョンに基づいて解釈
  • 理解できたらスローガンをつくってもいい

・いかに実践するか

  • ビジョンに沿った具体的目標を定める
  • 実際に行動に移す
  • ビジョンから目を離さず、目標を手直しする
  • 「支援の仕組み」をつくる