チームの生産性をあげる。―――業務改善士が教える68の具体策

発刊
2017年7月6日
ページ数
328ページ
読了目安
327分
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生産性の高めるための手順書
「時短」だけでは生産性は上がらない。業務をどのように見直して、生産性を高めればよいのか、具体的な手順を紹介している一冊。

「時短」では生産性は上がらない

業務改善には2つのタイプがある。

①処理高速化型
エクセルの技を身につけて集計作業をスピードアップする、標準テンプレートを作って作業を効率化する、トークのスキルを鍛えて短時間でテレアポを取れるようになるなど、作業単位の所要時間を短くするアプローチ。
ところが、どんなに頑張って時短をしても、業務量が増えたらその効果は一気に吹っ飛ぶ。さらにこれは人のスキル依存になりがちである。

②プロセス見直し型
業務全体のプロセスを俯瞰し、不要な作業をなくしたり、統合したり、順序を入れ替えたりする取り組み。時間はかかるが、業務量の増加による労働時間増を抑えることができる。

①は即効性があり、その時点においての時短効果が目に見えてわかるため安心しがちだが、②にも取り組まなければ生産性は向上しない。

業務を洗い出す

見える化は、改善の基本である。現状把握をしなければ何が問題なのか、どこにムダがあり、改善の余地があるのか、何をどのように改善したらいいのか、チームで意識合わせができない。

①まずはすべての業務をリスト化して全体像をざっくり把握する
頻度と所要時間を感覚でよいので記載する。

②「隠れ業務」をあぶり出す
「地味で目立たない業務」「季節業務」「レア業務」「属人化した業務」といった忘れられがちな業務も洗い出す。

③各業務の目的を確認する
特に「報告業務」「資料作成業務」「定例会議」といった定例化したルーチン業務は、ムダが潜んでいるので注意する。

④各業務を5つの要素に分解して問題の原因にアタリをつける
「インプット」「アウトプット」「目的・目標」「関係者」「効率」の5つに分解し、異常や不都合の有無をチェックする。

⑤ルーチン業務を減らして付加価値業務を増やす
定常業務の割合を減らす努力をする。

⑥各業務の4つの方向性を決める
「強化」「効率化」「現状維持」「縮小・廃止」の4つに分類する。すべての業務に同じように力をかけない。

⑦施策の効果を定量化する
何を問題視して、何を測るかを決め、振り返る。

ムダをなくす

まずは様々な切り口、発想で業務のムダに気づけるようにする。

①ネガティブな仕事を洗い出す
「わざわざ」「いちいち」「毎度毎度」といったネガティブな形容詞がつく仕事や工程を見直す。

②あいまい語を「数字」に変えて改善する
「結構多い」「すごく」などのあいまいな形容詞・副詞を数字に置き換えて確認する。

③本当は必要ない業務に時間を奪われていないか見直す
過去から続いている業務、ルーチン化している業務を改めて、今必要かどうか見直す。

④「もしやらなかったら」の想定をして、やめていい仕事を探す

⑤当事者以外の視点から業務を見直す
外の専門家や転職者の視点を活用して、ムダがないか確認する。

⑥4つの時間をなくす努力をする
「思い出す時間」「探す時間」「悩む時間」「問い合わせる時間」の4つにムダがないかを確認する。

改善策を考える

改善策には「ムダをなくすもの」と「生産性をあげるもの」の2種類がある。処理高速化、マニュアル化、システム導入、会議のやり方の見直し、業務の廃止、業務の外注化、サービスレベルの見直し、オフィスレイアウトの変更、新しい働き方の導入、学習機会の提供、人事制度や評価制度の変更など、改善策には様々なものがある。なるべく多くの改善策を出して、絞り込み、実行計画を作り、やってみることが大事である。